【感想・ネタバレ】竜馬がゆく(四)のレビュー

恥ずかしながら初めて読みました。昔から有名な作品ということは知っていましたが「どうせ竜馬は死ぬんだろ…」と手をつけなかったのです。何ともったいない!
沢山のビジネス書や自己啓発書がありますが、若人たち、まずは『竜馬がゆく』を読みましょう!物語を通して自由闊達な発想・先を読む力・間の取り方・人脈などの大切さを実感することができます。また、そのためにいろいろと勉強したくなります。100年以上前の話ですが新鮮に感じます。
さらに竜馬以外の登場人物もみな魅力的。若かりし木戸孝允や板垣退助など、日本史の授業に興味がなかった私でも知ってる人物や、三菱財閥の創始者・岩崎弥太郎など、様々な人物が登場します。一粒で2度3度とおいしい作品。とにかく出来るだけ若いうちに1度は読んでおきたい作品です。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2024年04月11日

▼司馬さんの「語り口」が全て。それが良く分かる巻かも知れません。

▼どうしてかっていうと、「主人公は、ほとんどなにもしないから」ですね。長州の京都での没落とか、土佐藩の武市一派の没落などが、実にドラマチックに描かれますが、竜馬さんは、ぜーんぜん関わってない。

▼そして竜馬さんは脱藩してうろうろし...続きを読むていますが、まあ簡単に言うとなんにもできてない。勝海舟の使いっ走りをしているだけです。

▼だからまあ、列伝というか。もちろんそういう竜馬以外の状況を分かってないと、竜馬さんが幕末史の表舞台、七三花道スポットライトに躍り出たときに、訳が分からないから。それにしても語り口が上手い。ダイジェスト講談版幕末史、ですね。

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Posted by ブクログ 2024年02月28日

竜馬、やっと、やっと船をもらえたーっ!
勝さんに取り込んだ甲斐があったーっ。        
ううう、ヽ(;▽;)

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Posted by ブクログ 2024年02月25日

またしても★5つ!
竜馬とおりょうの「一室に馬鹿がふたりそろってしまった」の行やお登勢さんに気持ちの描写が面白いです。
とはいえ、新選組も出始め、粛清だらけです。。
独眼竜清岡、半平太の行は。。凄惨です、悲しいです。
一方で、その後「さな子」さんとの片袖のエピソードが凄くホッコリし、艦上での初日の出...続きを読むシーンで感動。
司馬さん読みやすく、楽しく読めます!

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Posted by ブクログ 2022年05月23日

幕末からの歴史って学校ではあまり時間をとらず詳しく習わないけど、現代社会の構造とか成り立ちとかもっと早く深く知っていたら人生が変わっていただろうと思う。でも20年前に1回読んだ時にはそこまで思わなかったってことは、大人になったからこその感想なのかもしれない。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年03月17日

竜馬が海軍作りに動き出した四巻
その一方で土佐勤王党は容堂公によって弾圧されて行く。

四巻にもなると登場人物達に感情移入してくる。
この巻で特に感心したのが、勝海舟の先を見る力と視野の広さ。幕臣でありながらも、幕府の終焉を悟り、次の政権へ穏便に移行出来るよう奔走するというのは、藩・幕府...続きを読むが世界の全てだった江戸時代では、そうとう先進的な考え方の人だったんだろうなと。
だから、皆んなから命を狙われる訳だけど。

観念的に物事を考えるんじゃなく、視野の広さと現実をしっかり見据えて、丁寧かつ大胆に行動を起こすことの大切さを学んだ巻でした。

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Posted by ブクログ 2020年03月20日

竜馬の親友、武市半平太の投獄から切腹まで、泣きます。

当時の日本の切腹エピソードの多さに驚くし、その一つ一つが今の日本をつくったんだな、と神聖な気分になりました。

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Posted by ブクログ 2019年09月20日

◯ 人間の動き、働き、の八割までは、そういう気の発作だよ。ああいう場合は、相手のそういう気を抜くしかない(294p)

★武市半平太死す。龍馬はついに軍艦を手に入れる。長崎の地を訪れる。

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Posted by ブクログ 2019年09月02日

八一八の政変で京都から長州藩が追い出され、情勢が一気に変わる。盟友武市半平太も切腹に・・・
一方竜馬は遂に軍艦を手に入れる。一介の浪人が軍艦持ちになるとは何という人たらし
しかし、もっと時代が動く

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年03月30日

武市半平太が亡くなる場面などはつらいなぁ。でも物事を大きくみることができなかったのは時代を読みきれてなかったのだろう。勝さんと竜馬のところは読んでてもたのしいな。そして竜馬を可愛がっている様子もたのしい。竜馬は剣の達人でありながら、決してそれを無駄に使わないところはこの時代に生きていて、竜馬独特の美...続きを読む徳と考えによるものなんだろう。新撰組と遭遇したときのかわし方は抜群だった。竜馬の恋模様も少し出てきて、人間くさくていいな。

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Posted by ブクログ 2017年11月19日

本巻、いよいよ濃密な内容です。神戸の軍艦訓練所の創立から、新撰組との掛け合い、清河八郎の暗殺、長州藩の京都からの一時失脚、武市半平太の土佐藩山内容堂による断罪。容堂の徹底した佐幕主義や土佐藩の山内志士、長宗我部郷土の確執が産んだ悲劇とも言え、痛ましい。
変転する時代のなか、合間に挿入されるさな子、お...続きを読むりょう、お田鶴様との掛け合いが一服の清涼感があり、そして楽しい。片袖のエピソードも客観的には大岡裁き的でナルホドと納得してしまう。
そういえば竜馬は蝦夷、屯田兵の影の創始者なのか?
竜馬はいよいよ観光丸を得て大いなる仕事に向かっていく。暴れ長州藩とどう格闘するのか、ますます先が気になる。

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Posted by ブクログ 2024年02月19日

京に新撰組がうまれshuku・shuku・粛清。
土佐勤王志士たちの切腹シーンが続き、泣ける。
竜馬のセリフや行動に、笑う。

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Posted by ブクログ 2024年01月25日

長州が京から撤退。保守派の薩摩との軋轢の深化。
土佐勤王党の弾圧、武市半平太や岡田以蔵らの無念に竜馬念願の軍艦入手と、明暗が別れた1冊。
特に武市と富子夫人のエピソードが切なく哀しい。
動乱の幕末を翔る志士たちの生き様、此処にあり。

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Posted by ブクログ 2023年12月12日

新渡戸稲造の『武士道』を読んでおいてよかった。この4巻には当時の武士道精神に基づく切腹の流儀が述べられているが、上記の本を読んでおくことでさらに理解が深まる。

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Posted by ブクログ 2023年08月31日

ついに船を手に入れた竜馬。自分の信念を貫き、目標に向けて自分の足で一歩一歩進んでいく姿がとても良く、続きが楽しみ。

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Posted by ブクログ 2023年03月11日

「よくないのは気と気でぶつかる事。殺る殺ると双方同じ気を発すれば斬り合っている。逃げるのも同じ事。やる逃げると積極消極の差こそあれ、同じ気だ。向こうがやたらと追ってくる。人間の動き、働き、の八割まではそういう気の発作だよ。相手のそういう気を抜くしかない。」

現代の人間関係にも通じます。
龍馬は思い...続きを読むつきで動いているようで、とても良く時勢をみている。
少しでも見習いたい。

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Posted by ブクログ 2022年08月12日

叙述の見事さに惹き付けられます。酒を呑みながら朝日を迎える場面が心に残りました。時の運を待つ雌伏の巻。次巻が楽しみです。

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Posted by ブクログ 2022年02月27日

薩摩藩の巧みな工作により長州藩は朝廷守護の役目を解かれ京を追われた。土佐の老公は長州過激派のこの失速にのっとり、長州寄りだった土佐の勤皇党の弾圧に踏み出し武市半平太も切腹せしめてしまう。このような情勢変化の中、竜馬の海軍事業はどうにか前進し、ついに幕府所有の軍艦一隻を神戸海軍塾の練習艦用に調達するこ...続きを読むとに成功する…
という第四巻において最も印象的だったのは千葉家のさな子がいよいよ文字通り決死の覚悟で竜馬に想いを伝える場面である。しかしここで何ともタイミング悪く竜馬を迎えに千葉道場に現れたのが陸奥陽之助である。重要な局面で水を差された苛立ちもあってかさな子は容易に陸奥を通そうとせず、玄関先で押し問答の末とうとう陸奥を締め上げてしまう。このふたりのまるで水と油のような反発が何とも愉快なので第四巻の注目人物は陸奥陽之助としたい。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年05月02日

p.51
「ついでに海も歩く気か」
「歩けとおっしゃれば歩きます。ただ、歩き方を教えてください」

顔を背けたくなるような切腹の場面もあれば、恋愛小説のようなほんわかするシーンもあり、いろいろ感情を揺さぶられます。

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Posted by ブクログ 2021年02月05日

ようやく半分まできました。

面白いんやけども、読み方が雑なのか、途中で「この人誰やっけ??」という人が続出です。。

軍艦を手に入れるシーンは感動でした。

感想を書けるまでに至ってませんがとりあえず記録を残しときます。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年05月17日

5/17

ついに私塾の海運学校を設立、船も手に入れた竜馬。一方、京で新撰組が活躍、長州藩が薩摩の策略で後退。その影響を受けて、土佐勤王党までもが容堂の手で崩された。最後まで理想に生きた武市と、勝を師に開国攘夷思想を学ぶ竜馬。船での移動が定着し始めた。

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Posted by ブクログ 2020年03月04日

【感想】
歴史小説としては、いよいよ攘夷が無謀なものだという世論に満ちてきて、「攘夷派の後退⇒開国」という流れに傾き始めた点がこの4巻でした。
何度読んでも個人的に勉強になるのは、歴史の流れという大きな視点ではなく、その時々に登場人物が垣間見せる考え方であったり、台詞の1つ1つですね。
やはり竜馬の...続きを読む考え方やトラブル回避術、自分と人との関係の在り方(「君子の交わりは淡きこと水の如し」など)は、今の時代にもとても有効だなと舌を巻いた。

最近自分の生活において個人的に重要視しているのは、「いかに対人的なトラブルを減らすか」ということです。
やはり、怒ったり揉めたり争ったりしてしまうと、時間や人間関係、その他あらゆる問題点が生じて、トータルで大きなマイナスになってしまう。
その点、新撰組の土方・沖田と遭遇した際の竜馬のように「いかに相手の気を抜くか」という考え方は、現代人でも特に持つべき考え方の1つだなーと読んでいて思いました。

「アンガーマネジメント」という言葉が出て久しいですが、僕自身あまりムキにならずに冷静に考えれる様、日々過ごそうと思います。


【あらすじ】
志士たちで船隊を操り、大いに交易をやり、時いたらば倒幕のための海軍にする――。
竜馬の志士活動の発想は奇異であり、”ホラ吹き”といわれた。
そして世の中は、そんな竜馬の迂遠さを嘲笑うかのように騒然とする。
長州の没落、薩摩の保守化、土佐の勤王政権の瓦解。
激動の時代に、竜馬はついに一隻の軍艦を手に入れた!


【引用】
1.幕末における長州藩の暴走は、侍とのゲリラ戦に手を焼くという厄介さを列強に与え、また列強間の相互牽制と国内事情によって、結果的に国を守ることにつながった。
いずれにせよ、長州藩は幕末における現状打破のダイナマイトになった。
が、「これでいける」という無知な自信をその後の日本人の子孫に与えた。特に長州藩がその基礎を作った陸軍軍閥にその考え方が濃厚に遺伝した。
昭和初期の陸軍軍人は、この暴走型の幕末志士を気取り、テロを起こし、内政・外政を壟断し、ついには大東亜戦争を引き起こした。
彼らは長州藩の暴走による成功が、万に一つの僥倖であったことを見抜くほどの智恵を持たなかった。

2.禁門ノ政変
京都の政界に明るく、手管が擦れている薩摩藩が、会津藩と組んで天皇と密かに意見を交わし、天皇の許しを受けて勅旨をもって、長州藩の京都における勢力を失わせた。
朝廷が長州藩を蹴落としてその藩論を否定した以上、土佐藩の上層部はおそらく勢いづき、長州と通じている武市半平太らを遠慮会釈なく弾圧するに違いない。
長州だけでなく天下の勤王党にとって最悪の時代が来たのである。

3.新撰組との接触時
新撰組と対面したが、道端にいたネコを追いかけて難なく隊の中央を横切った竜馬。

「やつら、気が削がれたようですぜ」
「そういうものだ。」竜馬は言った。
「ああいう場合に良くないのは、気と気でぶつかることだ。闘る・闘る、と双方同じ気を発すれば、気がついた時には斬り合っているさ」
「また、闘る・逃げるでも、積極と消極の差こそあれ、同じ気だ。この場合はむしょうやたらに追いかけられる。人間の動きの八割までは、そういう気の発作だよ」
「こういう場合は、相手のそういう気を抜くしかない。相手の気をみるみる融かすことができれば、相手も和やかとなり、争い事など起こらない」

4.君子の交わりは淡きこと水の如し
礼記(らいき)の言葉。信義のある紳士という者、いかに親友に対してもさらさらした態度でおり、そのくせ実が深い。
手を取り肩を抱いてことさらに親しみも表さなければ、弱点で引き合ってのめり込むような付き合いの仕方もないとのこと。

竜馬は男女間でもこうでありたかった。
恋愛は、心ののめり込みである。
愛情の泥沼にのめり込んで、精神と行動の自由を失いたくない。


【メモ】
竜馬がゆく 4巻


p41
(わずかに他人より優れているというだけの智恵や知識が、この時勢に何になるか。)
いかに一世を覆うほどの才知があろうとも、とらわれた人間は愚物である。
竜馬は容堂をそう評している。

一藩の指導者でありながら、流れを白眼視し、流れに逆らい、役にも立たぬ自分の「定見」に必死にしがみついている者は所詮は敗北しかない。


p59
幕末における長州藩の暴走は、侍とのゲリラ戦に手を焼くという厄介さを列強に与え、また列強間の相互牽制と国内事情によって、結果的に国を守ることにつながった。
いずれにせよ、長州藩は幕末における現状打破のダイナマイトになった。

が、「これでいける」という無知な自信をその後の日本人の子孫に与えた。特に長州藩がその基礎を作った陸軍軍閥にその考え方が濃厚に遺伝した。

昭和初期の陸軍軍人は、この暴走型の幕末志士を気取り、テロを起こし、内政・外政を壟断し、ついには大東亜戦争を引き起こした。
彼らは長州藩の暴走による成功が、万に一つの僥倖であったことを見抜くほどの智恵を持たなかった。


p77
・京でからまれた新撰組に対して
「おれの仕事に諸君一同が参加するなら、喜んで受け入れてやるよ。船を教えてやる。
日本は狭い。が、海はどこの領国でもない。これを舞台に大いに儲け、新しい海の日本をつくる。男子の本懐ではないか」

「心を変えろ、心を。日本を背負う気になってみろ。その気になって背負えば、日本などは軽いものだ。いや、それがむしろ哀しい。病み呆けた老婆よりも軽い」
竜馬は眼に涙をいっぱい溜めている。


p94
・江戸で、清河八郎が非命に斃れた
清河は、剣は北辰一刀流の達人で、秀麗な容貌、堂々たる体躯をもち、学問弁才あり、さらに謀才あり、その上に並外れた行動力と生家からの豊かな仕送りがあった。
ただ、「百才あって一誠足らず」というところがあり、人徳の点で万人が清河を押したてて死地に赴くというところがない。

また、清河には竜馬における土佐藩、西郷における薩摩藩、勝海舟における幕府などといった、活動の背景や基盤がなかった。

だから清河八郎が世に大事を起こすには、あちらを操りこちらを騙すという一種ブローカー的な策謀を用いるしかなかった。

清河八郎は、才に任せて奇策を用いすぎた。
また、人を引きずるときに、肝心の人の心理を掴んでいない。それではいざ事成るという寸前に同志からほっぽりだされてしまう。


p149
「世の中は口先だけでは動かぬわい」と、竜馬はよく同志の者にいった。
竜馬の今の時期は、「浪人艦隊」をつくる事だけが目標であった。
ゆくゆくはそれで海運業を営み、その利益で倒幕資金を作り、いざ戦というときには荷物を下ろして砲弾を積み、その威力をもって天下に発言しようという風変わりな行き方である。


p169
・禁門ノ政変
京都の政界に明るく、手管が擦れている薩摩藩が、会津藩と組んで天皇と密かに意見を交わし、天皇の許しを受けて勅旨をもって、長州藩の京都における勢力を失わせた。

(ただ恐るべきは、この政変が土佐藩に及ぶ事だ。)
朝廷が長州藩を蹴落としてその藩論を否定した以上、土佐藩の上層部はおそらく勢いづき、長州と通じている武市半平太らを遠慮会釈なく弾圧するに違いない。
長州だけでなく天下の勤王党にとって最悪の時代が来たのである。


p204
勝は痛烈な批評家だから、勝の日常はのべったら皮肉は言うし、聞こえよがしの悪口は叩く、やられた連中はみな根に持ってしまう。
勝ほどの万能選手の、たった一つ他人の感情に鈍感という欠点があった。
「ひとの感情なんざどうだっていい、というのがあの人の流儀ですよ」
だから、事が進まなくなる。


p230
武市は最後に、島本、島村両人の手を握り、
「事ここに至るのは天命である。三人それぞれ牢舎を異にするであろうから、いま別れれば今度は黄泉以外では再会できまい。たがいに、男子の大節、凛乎(りんこ)として俗吏の心胆を寒からしめよう」といった。

武士とは不思議なものだ。
かれらの自律、美意識は、こういう時になると凛々として生気を帯びてくるものらしい。
明治維新は、フランス革命にもイタリア革命にもロシア革命にも類似していない。
徳川300年の最大の文化財ともいうべき「武士」というものが担当した革命だということが、際立って違うのである。


p285
「わしは早まらん。幕府がどうこうといったところで、潰す時勢というものがある。腫物もヨクヨク膿まねば針を着けられん」
竜馬はそう見ている。
長州人や土佐勤王党のようにああせっかちでは犠牲ばかりが多くて何もならぬ。
時勢、幕府といった腫物は、竜馬のみるところ、まだ針をつけるところまで行っていなかった。


p294
・新撰組との接触時
新撰組と対面したが、道端にいたネコを追いかけて難なく隊の中央を横切った竜馬。

「やつら、気が削がれたようですぜ」
「そういうものだ。」竜馬は言った。
「ああいう場合に良くないのは、気と気でぶつかることだ。闘る・闘る、と双方同じ気を発すれば、気がついた時には斬り合っているさ」
「また、闘る・逃げるでも、積極と消極の差こそあれ、同じ気だ。この場合はむしょうやたらに追いかけられる。人間の動きの八割までは、そういう気の発作だよ」

「こういう場合は、相手のそういう気を抜くしかない。相手の気をみるみる融かすことができれば、相手も和やかとなり、争い事など起こらない」


p311
「北添、人が事を成すには天の力を借りねばならぬ。天とは、時勢じゃ。時運ともいうべきか。時勢、時運という馬に乗って事を進めるときは、大事は一気呵成(かせい)に成る。その点を洞察するのが、大事を成さんとする者の第一の心掛けじゃ」


p316
「幕府もまた日本人じゃ、わしは敵とは思うちょらん。とにかく、金。金がなくて、事が成せるか」


p322★
・寿命は天にある。
「乞食でも90まで生きるし、たとえ10人の医師を雇っている王侯でも儚くなる時はある」
竜馬は、この町医の言葉が心の別の部分を打って、ふと眼がひらけたような思いがした。
(さすれば、人間、生死などを考えるべきではないな)
自分へそう話しかけている。
寿命は天にある。人間はそれを天に預けっぱなしにして、仕事に熱中してゆくだけでいい。


p413
・君子の交わりは淡きこと水の如し
礼記(らいき)の言葉。信義のある紳士という者、いかに親友に対してもさらさらした態度でおり、そのくせ実が深い。
手を取り肩を抱いてことさらに親しみも表さなければ、弱点で引き合ってのめり込むような付き合いの仕方もないとのこと。

竜馬は男女間でもこうでありたかった。
恋愛は、心ののめり込みである。
愛情の泥沼にのめり込んで、精神と行動の自由を失いたくない。

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Posted by ブクログ 2019年10月21日

時代の流れを待つ竜馬。半平太をはじめとする他の志士たちに苦難の時が流れても、じっと自分の出番を待つ。英雄って時の流れが目に見えるんだなあって実感します。いつ竜馬の機は熟するんだろう。待ち遠しく思いながら、四巻終了です。

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Posted by ブクログ 2019年09月07日

この巻の主役は武市ですかねぇ。 自分的にはさな子さんです。 司馬さんは、「竜馬がゆく」には、ちょいちょいこういうエピソードを入れてきますよね。それがまた堪りません!

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Posted by ブクログ 2019年08月04日

この時代に政変の波に流されずにひたすら船を求めるところは偉人か変人か紙一重の気がしますが、結果的には彼に時代が付いて来て英雄になったのですね。
一歩間違えば歴史上の奇人として別の名を残したんだろうと思う。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2017年11月29日

苛烈を極める攘夷思想に対して幕府は弾圧の動きを取り、勤王攘夷思想の武市半平太も遂に切腹となる。勤王攘夷を掲げ暗殺を繰り返した武市と、当初は一緒にやろうと誓いながらも、開国論者勝海舟の門人になっている竜馬。お互いの思想が異なっていることはお互いが一番理解していたが、竜馬が「まあ、長い目で見ろや。わしを...続きを読む」と、武市に言い、いつかぶつかる可能性があることを分かっていながらもそれぞれのやり方で進むことを認めるように語り合うシーンが2人のやり取りの中で印象に残っている。この時に竜馬が武市に言った通り、奇策を嫌い、周りからはのらりくらりと見られながらも、着実に物事を進め、期が熟すのを待つ。それを徹底してきた竜馬は確固たる自分の道を見つけ、切腹となった武市の一方で、神戸海軍操練所の資金繰りや船の調達に奔走、ついに軍艦を手に入れたのである。竜馬のブレないやり方には感心するばかりである。

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Posted by ブクログ 2020年05月17日

司馬遼太郎の長編時代小説の4巻目

竜馬は勝海舟とともに着実に海軍学校の立ち上げを進めていく。一方で、武市半平太は土佐藩を裏で操っていたが、長州藩の京都での失脚を機についに山内容堂に動きを抑え込まれてしまう。4巻の1番の読みどころであろう、武市らの処刑は本当に切なくて、無念だと感じた。

夢が進み続...続きを読むける者と夢がついえる者、失脚し再起を図る者と色々な人物・組織の変化が読み取れる今作であった。

主人公の竜馬は、天命に全うすべく自分がすべきことを着実にこなしており、その姿は脚色があるといえ立派だなと思う。また、色恋ともいえる、さな子やお田鶴様、おりょうとの関係の深まりも別の緊張を与えてくれる。

明治に向けてどうなるのか気になり続きが読みたくなる1冊でした。

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Posted by ブクログ 2017年06月06日

神戸に海軍の訓練施設を持った勝と竜馬だったが、融資先と船がなく、その調達に奔走した結果、遂には船を手に入れ長崎へと向かう。
一方で苛烈を極める攘夷思想に対して幕府は弾圧の動きを取り、勤王攘夷思想の武市半平太も遂に切腹となる。
長州藩も外国、幕府、朝廷を敵に回し没落していく。
幕末に向けて時代は動いて...続きを読むいき、坂本竜馬が独自の感性でどの様に時代を切り拓いていくのかがとても楽しみです。

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Posted by ブクログ 2020年04月05日

段々濃厚になってきました、司馬遼節が。でも筋立てについてはまだ保っていると思う、この先どう転ぶか見物ですが。
しかしこのお方、江戸時代(ひいてはその礎たる家康)が相当お嫌いなんですなぁ、それは良く分かります。彼の関心はやっぱり文化ではなく、政治なんだと。そこははっきりしてます。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2018年09月15日

2018/9 4冊目(2018年通算130冊目)。土佐藩での親友武市半平太の切腹、京都での新選組の台頭など、情勢は波乱含み。そんな中龍馬は軍艦を手に入れるために西へ東へと駆け回る。この辺の歴史が詳しく頭に入っていると、この文章も面白いのだろうなと思うのだけど、そうでないのが読んでいて悔しい所。新選組...続きを読むの元を作ったのが有名な近藤勇や土方ではないのが意外な感じがする。この後どう展開していくのか。龍馬視点で文章を読んでいきたいと思う。

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Posted by ブクログ 2018年07月18日

竜馬の周囲の人間が立ち上がり、そして命を落としていっていることを思えば、軍艦バカの竜馬はお田鶴さまが言うとおりいささかのんびりしているのかも、と思わせる4巻目。残り4冊で一気にドラマチックになっていくことを期待しながら5巻目へ。

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