プラトンのレビュー一覧

  • ゴルギアス
    7, 8年ぶりに読み返した。カッリクレースはツボ。何度も腹を抱えた。もう、価値観の問題。彼を説得するには真理をもってしては不可能で、ソークラテースこそ、その使命を果たすためにゴルギアースから弁論術を学べばよかったんじゃないかな。キケローの言う「学識ある弁論家」となって。彼が本当にアテーナイ人の教育を...続きを読む
  • メノン
    徳とは何か、どういう性質で人に教えられるものかどうかを探ります。
    今回ソクラテスと対話するメノンは傲慢なところがなく好感が持てる青年です。

    この話の中では、魂が既に学んだことを「想起する」という考え方が出てきます。
    ソクラテスは言います。
    「知らないものは発見することもできなければ探求すべきでもな...続きを読む
  • 国家 下
    上巻の終盤で放たれた超弩級の思想(哲人統治、イデア論など)に引き続き、下巻も読みどころ満載である。有名な《善のイデア》や《洞窟の比喩》は、下巻の割と早い段階で語られる。下巻の中盤では、国家の諸形態の分析がなされる。名誉支配制国家、寡頭制国家、民主制国家、独裁制国家のそれぞれの特徴を論じたこの部分は、...続きを読む
  • ゴルギアス
    政治家は何をしたらいいの?といういまとあまり変わらない話を延々としている。
    国家は民衆に「快」と「善」とのどちらを示すべきか?それともどちらかがどちらと合一なのか?それともどちらかがどちらの下にあるのか?それとも上にあるのか?ということだ。
    プラトンは最終的に、「政治家は民衆の料理人や給仕ではなく、...続きを読む
  • メノン
    プラトン対話編の内のイントロダクションとして好適であり、珠玉の掌編でもあるそうだ。

    「徳」とは何か、それは教えられることで獲得されうるのか。
    この問いを軸に、老境円熟のソクラテスが、(明晰で素直だが世俗的な感性の)メノンを諭し、啓発し、さらに真摯な知の態度ーーー自分があることを知っていると思ってい...続きを読む
  • メノン
    ここ半年に読んだ本の中で、
    最も知的に好奇した。
    結局のところ、徳がなんなのか、
    またどのように身につくのかという結論には至らないものの。
    たとえば、勇気や経験、度量が優れた性質となるのは、
    そこに「良い行いにおける」という形容詞がつくことを前提としており。
    では、その【良い】モ何によって担保される...続きを読む
  • メノン
    徳については善きものを望んで獲得する能力があるのがすごいと思い、メノンが金や銀を手に入れることも国家において名誉や官職を得ることがありメノンが獲得するのが世界一のトップだと思いました。善きものの獲得はできないことと比べると徳であると言えない。自分が一所懸命に獲得すれば徳であると言えると思いました。
  • ゴルギアス
    最強の敵、カルリクレス登場!(笑)というコピーがぴったりの対話篇。というか『ゴルギアス』という書名で本当にいいのか!(笑)
    著名な弁論術家ゴルギアスのもとに「弁論術」とは何かという議論をふっかけにいったソクラテス。法廷や政治の場において人々を説得する技術だというゴルギアスに対し、説得する以上、全ての...続きを読む
  • 饗宴
     「研究発表会」「討論会」を意味する「シンポジウム」という言葉は、古代ギリシャの「饗宴」に由来し、「一緒に酒を飲む」ことを意味しました。古代ギリシャ人にとって、飲み会が研究集会であり、研究集会が飲み会だったのです。
     ジョージ・スタイナー曰く「劇作家としてのプラトンは、多くの点でシェイクスピアと互角...続きを読む
  • パイドロス
    恋している男よりも恋していない男に抱かれろ!と少年(!)に説くリュシアスの衝撃的な言説に見事に喰いついたソクラテスが、パイドロスと真夏のお花畑の木陰で物語るという図式です。(笑)神に憑依された(!)ソクラテスは詩的な調べで「恋」(エロース)についてのいくつかの見解を披露してパイドロスを翻弄する。(笑...続きを読む
  • 饗宴
    いつか読もうと思って古本で買ったまま積んどいたものをなんとなく読み始めたもの。しかし、疲弊していたからだとこころには予想以上に響いた。

    多くの参加者が饗宴のなかでエロス讃歌を披露していくわけだが、最終的にはやはりソクラテス(とデュオニソス=プラトン)をして締められる。古代のものとして舐めているとし...続きを読む
  • ゴルギアス
    カリクレスの弱肉強食の自然の摂理を礼賛することに反駁していくソクラテスには本当に心を打たれた。

    「不正を受けることより不正を行うことが悪いことである,さらに不正を行いながら裁きを受けないのが害悪の中で一番ひどいものである」というのを示すくだりは,今後も忘れないようにしなければ,と思う。
  • 国家 上
    プラトンの「国家」。

    政治に関心のある僕としてはずっと読みたいと思っていた本で、周囲からは「難しい」と言われていたのでなかなか踏み出せなかったが、勇気を出してその扉を開いた。

    構成は上下巻2冊で、さらにその中で大きな話を1巻(章)ごとに区切っている。

    プラトンの理想国家について考察をソクラテス...続きを読む
  • 国家 下
    正義とは何か、正しい国家とは何かについて語られる。哲人王の統治や有名な洞窟の比喩もコンテクストの文脈で語られると意義深い。広範に渡って語られるため全貌を掴むにも何度も読み込む必要がありそうだ。理想の国家から堕落していく国家のあり方はアテネだけでなく、古代ローマ、フランス革命などと照らし合わせても正し...続きを読む
  • メノン
    大学時代、課題図書だった為に読んだが、かなり面白く、好きになった本。

    徳を積むとは何か。
    徳とは何か。
    人生とは。

    答が出ないところを延々と回るやりとり。
    哲学の本。
  • 国家 上
    プラトンがソクラテスに仮託して語る国家の理想像、正義の本質。その議論は古代から今日に至るまで多くの人々に影響を与えてきた。今日の、建前上民主主義国家のなかで生きている我々にとっては、議論の前提となっている支配者/被支配者の二分法は非常に違和感があるが、この点を乗り越えていくことに『国家』の議論を批判...続きを読む
  • ゴルギアス
    ソクラテスが弁論家、その弟子、政治家と議論し次々に論破していく。三人は矛盾をつかれたり、論旨をすり替えようとしたり、揚げ足をとったり、逃げようとしたり、感情的に非難したりするが、ソクラテスの首尾一貫した論理には黙らざるをえない。哲学書ではあるが議論の正しいやり方としても読める。哲学的には公共善とは何...続きを読む
  • ゴルギアス
    プラトンの初期対話篇。

    弁論家(ゴルギアス、ポロス)や現実政治家(カルリクレス)に代表される価値観と、哲学者(ソクラテス)に代表される価値観と、二つを対比して後者の方こそ真に目指されるべき生き方であることを論証していく。前者は、カネ・権力・快楽以外の価値を認めずそれら計量可能な「快」をより多く獲...続きを読む
  • 国家 上
    これからもずっと読み継がれるであろう名著。「哲学」の全てが詰まっている。政治とは?徳とは?正義とは?幸福とは?答えよりも、思考方の勉強になるのでは。
    プラトンは本当にユニークでロマンがあると思う。アリストテレスよりずっと好き。
    岩波文庫にしては訳も分かりやすく、すらすら読める。
  • パイドン 魂の不死について
    ソクラテスと論客の丁寧な対話は二千何百年の隔たりにもかかわらず新鮮に見えるものだなーと。
    結論はさておき、死を目前にした状況でなお、愉快そうにかつ真摯に議論するソクラテスを見、その死の描写を見た後でも、何か余韻によって生きていて、何かを語っているかのような錯覚があった。