「今日の芸術」岡本太郎著をやっと読み終わりました。
ただいま私の中に岡本太郎ブーム到来という感じです。
実はこの本、ちょっとショックなことに文庫版の再販を買えば500円前後らしいのに、廃刊と勘違いして、中古のしかも文庫版初版を入手。マニア的には価値がありかもですが倍の値段を出して買ってしまいまし
...続きを読むた。でもまあそれを補えるほどの内容なので、良し。としましょう。
この本は1954年にはじめて出版され、その10年後1964年に新版、さらに9年後の1973年に文庫版が出ているのですが、文庫版の序文に岡本太郎氏自身が「この本は、十年、二十年と、ますます若返ってくるようです。」と書いているいう言葉通り、21世紀の今この本を読んでも本当にちっとも古い感じがしません。
本書の大きな流れの中で、芸術という言葉が、自分の生命から溢れ出てくるような本然のよろこびという意味で使われています。見るものを圧倒し世界観を根底からくつがえしその人の生活自体を変えるほどの力を持ったものとも言えば良いのでしょうか。
アバンギャルドとして常に孤独に問題と向き合い、突き抜けること。
生きることが苦しいということを認めることからはじまる、ある意味、青春であったり、新しくて認められない価値観であったり。
芸術の本でありながら人間としてのあり方を問いている本だと思いました。
岡本氏は爆発してるだけじゃなかったのですね。(あのテレビCMは幼き頃見たとき実はちょっと怖かった)
魅力的なキャラクターに間違いはないと思ってましたが、ナカナカ深い人柄でハマります。
本書の内容とはちょっとズレますが、下記の言葉は、デザインを考える上で重要なポイントかも。
・力学的に言って、また機能的に、もっとも合理的なものが形式を決定する
・流行の「創造」と「模倣」の二つの要素が時代を作っている
デザインは芸術かということに関しては諸説あるので、私としては今回は言及をさけますが、アバンギャルドとして一歩突き抜けるのではなく、突き抜けるけど、一歩引けるのがデザイナーとしてのスキルなのかなという気がしました。一歩引くのは、一歩前に出ないのと同じくらい難しい気がしますが。
本当に岡本太郎氏のように自由な精神を持って生きていきたいものです。
時間があったら他の岡本太郎本も読む所存です。
美術館にも記念館にも行きたいなあ...。