フェルディナント・フォン・シーラッハのレビュー一覧

  • 刑罰
    短編の切れ味が悪い。これは褒め言葉。澱のようにとどまり、ぞっとする。遅効性の毒のようにじわじわと心が歪に変形する感じ。
  • 犯罪
    ドイツの作家「フェルディナント・フォン・シーラッハ」の短篇集『犯罪(原題:Verbrechen)』を読みました。

    ドイツの作家の作品は… 「エーリヒ・マリア・レマルク」の長篇戦争小説『西部戦線異状なし』や、幼い頃に読んだり、聞かせてもらった「グリム兄弟」の童話『ヘンゼルとグレーテル』や『赤ずきん』...続きを読む
  • テロ
    9.11なども経て創作された架空裁判劇。二幕終わりに観客に投票を促し、その結果で結末も変わる。二幕の検察、弁護士それぞれの主張がおそらく重要だが、劇として上演するには少し固いかもしれない。それまでの被告、証人の証言の方が自分の身に迫ってくるところはある。被告の行いを受け手にゆだねるやり口は、森鴎外の...続きを読む
  • 禁忌
    本を閉じてカバーを外してじっくり眺めて、あ゛〜。そして最初のページから読み直して愕然、というか底知れぬ味わい。なんか凄い。これまでのシーラッハの作品らしさを感じながら、より真摯に人間の内面を見つめている。芝居にもなるみたいだけど、上演台本難しそう。芸術ってホントややこしい。読み終わって、あれ?アレ?...続きを読む
  • コリーニ事件
    わずか190ページの長編(?)だが、重い。
     
    舞台はドイツ。
    新人弁護士の主人公が担当してしまったのは、家族同然の友人の祖父を殺害した男の弁護だった。

    ネタバレになるのでこれ以上は慎みますが、付いている帯を読むと予想できてしまう。
    が、分かっていてもおもしろい。
    いや、おもしろいなどという感想は...続きを読む
  • 罪悪
    感情を抑えた文体で、とつとつと語られるように感じるが事件の内容自体は非常に凄惨なものも多くあった。翻訳小説が苦手な私でも読みやすく感じました。
  • コリーニ事件
    筆者のフェルディナント・フォン・シーラッハさんのファンで、自分が小説を書くならこういうのが書きたいと思ったのがシーラッハさんの「罪悪」でした。
    著者が勝手に盛り上がらずに、読者の気持ちを盛り上げてくれるのが読んでて落ち着く。
  • 犯罪
    小説とルポタージュの境目を漂い、不思議な読書感を味わう。

    作者は弁護士という職業から見た、様々な刑事事件を小説にしたという。
    (守秘義務から実際に担当した内容は用いていないとあとがきにあったけど)
    そこには大掛かりな組織犯罪や陰謀もなく、サイコキラーなどの強烈な犯罪もない。
    一歩逸れれば誰にでもあ...続きを読む
  • 犯罪
    評判通りのすごい短編集だ。
    犯罪にいたるまでの経緯を事細かに描写したもの、事後の顛末を描いたもの…どの話も興味深く、かといって興味本位だけで終わらず、何かしら考えさせられる。
    犯罪の内容も様々、中にはショッキングなものも出てくるが、最後の「エチオピアの男」のおかげで読後感はいい。

    残念ながら誤訳が...続きを読む
  • テロ
    ハイジャックされ、大量殺人を目的にサッカースタジアムに墜落しようしている飛行機をその手前で撃ち落とすことは許されるのか?何万人の命を守るために、何百人を奪うことに正当性はあるのか?法哲学では鉄板のテーマ、功利主義を考える題材に適している。カントのトロッコ問題よりも、現実的で昨今の時世に鑑みても、本当...続きを読む
  • 犯罪
    本屋大賞のみならず、各所で評価されているのを見て、これは是非!ということで。実際に自分が扱った案件を元にしたフィクション、ってのが売りみたいだけど、確かにそういう目線で見ると、事実は小説よりも奇なりを地でいくというか、なかなかにゾッとするものがある。背景になった事実の方を知りたい、みたいな気持ちにも...続きを読む
  • 犯罪
    同業者の友達に勧められて読む

    ベルリンって、こんなに治安が悪いの?と思ったが、いやいや、これはフィクションで、この描写がベルリンの全てではないと思い直す
    それでも、ネオナチや移民の存在感は日本では想像できないものだった

    著者が弁護士であることもあり、描写が細かく具体的でリアリティがある 被告人に...続きを読む
  • コリーニ事件
    事件が進むにつれ、一見残忍に見える犯人が、法の僅かな落とし穴によって如何ともし難い苦痛を味わっていることに気づく。重厚な後味を残す一冊でした。

    所々、表現が長ったらしく退屈する文があったので星4にしました。
  • コリーニ事件
    ドイツの映画を観たいと思い探していたところ、このタイトルに行きつき、原作であるこの小説をまず読んでみることにした。
    理解したことを書いてみると、戦争中の殺人は、命令だから罪にならない。指導者側にいたとしても時効がある。
    そのような現代の法と照らし合わせた矛盾を暴く、重いストーリーだった。
    私のこのよ...続きを読む
  • 犯罪
    「物事は込み入ってることが多い。罪もそういうもののひとつだ」読み始めたら一気読み。犯罪に関わった人たちの人生を語るこの途轍もなく面白い元弁護士による短編集は不思議な気持ちにさせる。弘兼憲史『人間交差点』か安倍夜郎『深夜食堂』みたいな味わいだ。登場人物は様々で極悪人もいれば誠実な人、運が悪いだけの人、...続きを読む
  • コリーニ事件
    このドイツ人著者の作品を読んだのは「犯罪」に続いて2作目。この作品をきっかけにドイツ政府も動いたというから衝撃作ですね。殺人事件の裁判を通して、過去のナチ時代と向き合った今作は、ページ数も少ない分内容も凝縮されている。
  • コリーニ事件
    映画が気になってたのですが劇場に行けず。なので、原作を読んでみました。
    全くと言っていいほど無駄がなく、淡々と物語が進みます。一気読みです。面白かった!著者の他の作品も読んでみたい。
  • 罪悪
    ふるさと祭りで突発した、ブラスバンドの男たちによる集団暴行事件。秘密結社にかぶれる男子寄宿学校生らによる、“生け贄”の生徒へのいじめが引き起こした悲劇。猟奇殺人をもくろむ男を襲う突然の不運。麻薬密売容疑で逮捕された老人が隠した真犯人。弁護士の「私」は、さまざまな罪のかたちを静かに語り出す。

    第二短...続きを読む
  • 犯罪
    一生愛しつづけると誓った妻を殺めた老医師。兄を救うため法廷中を騙そうとする犯罪者一家の末っ子。エチオピアの寒村を豊かにした、心やさしき銀行強盗。―魔に魅入られ、世界の不条理に翻弄される犯罪者たち。弁護士の著者が現実の事件に材を得て、異様な罪を犯した人間たちの真実を鮮やかに描き上げた珠玉の連作短篇集。...続きを読む
  • コリーニ事件
    新米弁護士のライネンは、ある殺人犯の国選弁護人になった。だが、その男に殺されたのはライネンの親友の祖父だったと判明する。知らずに引き受けたとはいえ、自分の祖父同然に思っていた人を殺した男を弁護しなければならない――。苦悩するライネンと、被害者遺族の依頼で裁判に臨む辣腕弁護士マッティンガーが法廷で繰り...続きを読む