安部龍太郎のレビュー一覧

  • 信長燃ゆ(下)
    対立構造は極めてわかりやすい。

    そして、守旧勢力に織田信長は破れてしまう。
    本能寺の変で亡くならなければ、どうなっていただろうか、そんなことを考えてしまった。
  • 信長燃ゆ(上)
    本能寺の変、その黒幕はいったい誰なのか。
    諸説あるなかでも、著者なりの仮説があり、
    それに則ったうえで、物語が構築されている。

    それにしても、近衛前久、とても格好よい。
  • 血の日本史
    正直かなりマニアックな作品だったと思う。
    大和時代から明治維新にかけての
    日本の血が流れたという
    裏の裏のそのまた裏側に触れたような。
    読んでいてあまりの恐ろしさに
    背筋がぞわぁ〜っとしたのもあるし
    なんか感動すら覚えたのもあるし。
    たくさんの血が流れて今があるのよね、ってしみじみ。
    この作品を読ん...続きを読む
  • 等伯(下)
    日経新聞に連載された歴史小説。秀吉が権力を握った激動の時代の中で、長谷川「等伯」が画家の高みを目指す姿が描かれている。狩野派との確執や石田三成の思惑に翻弄される多くの登場人物の行動が興味深い。歴史小説の醍醐味を味わう事ができた。新聞の連載を読むのとまた違う面白さも知った。
  • 等伯(上)
    日経新聞に連載された歴史小説をもう一度読んでみた。信長が活躍する激動の時代の中で、政治に翻弄されながらも長谷川「等伯」が画家の高みを目指す姿が描かれている。主人公を支える家族や法華の教えにも心を動かされる部分が多い。反信長サイドから見た世情や信長の野望に触れるところも面白い。
  • 等伯(下)
    かるい読み物や短編ばかり読んでいると、どっしりとした歴史の物語を、読みたくなる。満を持して(?)読み始めた。正直、上巻は退屈なところもあったが、下巻に入ると一気に読み進んでしまった。
    狩野永徳、千利休、といった文化人の描き方には引き込まれた。一方、残虐の限りを尽くす信長や、謀略をめぐらせる石田三成、...続きを読む
  • 戦国秘譚 神々に告ぐ(下)
    朝廷や幕府というような、永く続いた権威が揺らいだ時代に、その権威の根幹と向き合い、同時に来る時代でのそれらの在り方を模索しようとした貴公子の物語…一言で本作を語るとそういうことになるであろうか?そして祥子内親王を巡る、伝奇モノ、恋愛モノという要素も在る…

    「永く続いた権威が揺らいだ時代」とさり気な...続きを読む
  • 等伯(下)
    昨秋、仙台博物館で『松林図屏風』を観て、吸い込まれるような衝撃を覚え、この本に出会ったときはすぐさま手にとり一気読みした。(新聞に掲載されていたことや、恥ずかしながら直木賞は知らなかった)
    時代の波に流され、大切な人たちを次々失い、それでも人生をかけて絵に精魂込める姿。根本に日蓮宗への信仰があったか...続きを読む
  • 戦国秘譚 神々に告ぐ(上)
    本作の主人公としての近衛前嗣…面白い!!朝廷をリードする近衛家の後継者で、若くして関白に任じられた貴公子であるが、朝廷や幕府の明日を考えて「自ら動く」人物である。能書家で笛の演奏が得意で、学識が在る他方で、縁が在る薩摩の島津家から献上された短筒を愛用する射撃の名手でもあり、鷹狩りや乗馬も得意だ…こん...続きを読む
  • 彷徨える帝(下)
    “能面”が秘める「重大な秘密」とは何か?それは人々や時代にとってどのような意味を持つのか?宗十郎や範冬の物語が展開し、やがて両者は争うことになって行く…

    本作は密かに伝えられる後醍醐天皇の思い、それを受け止めようとし、色々と考える宗十郎を通じて、「日本の社会というようなものは、どういうものなのか?...続きを読む
  • 彷徨える帝(上)
    必ずしも作品が豊富でもない時代を背景とする“時代モノ”…そういう作品は「こういう時代が在ったのか…」と新鮮なのだが、それと同時に「なかなかに興味深い」内容を含むことも多い…

    そうした「必ずしも作品が豊富でもない時代を背景とする“時代モノ”」に出会った。これがなかなかに面白かった!!

    「必ずしも作...続きを読む
  • 幕末 開陽丸 徳川海軍最後の戦い
    大坂で、徳川慶喜が当時の艦長であった榎本武揚を解任し、沢太郎左衛門を艦長に任命して無理矢理に江戸へ向かったという挿話の少し前から、江差で“開陽丸”が沈んでしまうまでの物語…何か熱いものが在る…
  • 彷徨える帝(下)
    時は室町中期。混迷の元凶をなす北朝南朝の争いに端をはっした闇の時代を描く筆者懇親の作品。吉野の山奥に逼塞していた南朝方が満を持して動き出す。鍵を握るのは幕府を崩壊させる秘密を有する三枚の能面。そして能面をめぐり将軍足利義教との手に汗に汗握るあつき戦いの火蓋が切って落とされる。。鎌倉公方による永享の乱...続きを読む
  • 天下布武 上 夢どの与一郎
    時代モノの小説の中には「色々な要素」が入り込む余地が在ると思う。

    武芸がぶつかり合うようなアクション…妖しい術を弄する忍者の暗躍…軍勢が勇壮に戦う合戦…誰かをはめようとする謀略の仕掛け合い…事件の謎解き…家族…恋愛…青春…と、「エンターテイメント」のあらゆるモノが入っていて構わない訳だが…

    上述...続きを読む
  • 天下布武 下 夢どの与一郎
    本作は、とにかくも「様々な要素」が満載の、非常に愉しい作品だ!!他方で…「対外国関係」の“重さ”を寓話的に今日の読者に語り掛けるような一面も在るかもしれない…
  • 浄土の帝
    本作では“間接的”にではなく、“直接的”に後白河院の様子が描かれる。小説の視点人物に据えられているのである。彼の眼線で、当時の貴族達の駆け引きや、武士達の戦いが活き活きと描かれている。そんな中で後白河院が目指したもの…或いは「天皇と日本人」、「日本人と天皇」というような深いテーマをも考えさせてくれる...続きを読む
  • 密室大坂城
    巨大な城を捕まえて“密室”と言うのは、少々引っ掛かるが…2人の視点人物の心中に関しては、正しく“密室”である…

    “大坂の陣”を舞台とする、或いは舞台の一部とする物語には随分触れてきた感だが、その都度に何となく思うことが在る。或いは手近な場所で「“大坂の陣”に臨む豊臣陣営」のような状況が、多く起こっ...続きを読む
  • 等伯(下)
    「すみません。業が深くて」--なんとすさまじい生涯であろうか。松林図の描写も迫真だ。仏道を求める、真の人生を求める激しさが芸術へと結実する。名場面、名台詞の数々が今も脳裏に焼き付いて離れない。このような小説に出会えて、幸福だ。
  • レオン氏郷
    キリシタン大名の蒲生氏郷の小説。高山右近と並んでキリシタン大名として有名なのだとか。しかし右近が二代目クリスチャンなのに対し、氏郷は一代目。右近が洗礼名を授け、先輩として信仰の模範として描かれている。彼を見て信仰に入った氏郷も、この世の権力争いなどに翻弄され、右近と同じように信仰と現実の戦いに悩まさ...続きを読む
  • 等伯(上)
    長谷川等伯がずっと好きだった。
    「好き」という表現は少々軽いかもしれない。

    狩野派全盛の織豊政権下、
    「時代の寵児」だった狩野永徳や、
    時の最高権力者である関白秀吉らに対し、敢然と戦いを挑み
    己の地位と長谷川派を画流を確立した等伯。

    そんな「時代の反逆児」等伯に対する思いは
    「好き...続きを読む