安部龍太郎のレビュー一覧

  • 信長はなぜ葬られたのか 世界史の中の本能寺の変
    予てから私も著者と同じく、戦国~安土桃山時代の捉え方が、江戸時代に真逆に書き換えられていると感じていたので、本作品内で引用されている例示は至極納得でき、爽快な気分になった。キリシタンや南蛮貿易を主として捉えると人物も事件も違った様相を呈して非常に面白い。蛇足だが、景教の影響からの厩戸皇子や蘇我馬子の...続きを読む
  • 等伯(下)
    経新聞に1年半にわたり連載された小説を単行本化したもの。日経新聞に毎朝掲載されただけあって感動的なよい作品であったと思う。等伯の作品は今まで何度か目にしているが、作品だけを目にしただけで人物的には全く知らなかった。狩野派についても同様、(真偽は別にして)作品の背景にあった物語を知ることができ、とても...続きを読む
  • 信長はなぜ葬られたのか 世界史の中の本能寺の変
    事実としたら、秀吉のイメージは大きく変わる。秀吉は「本能寺の変」を事前に知っていた、ということだから。
    光秀も一人責任を負わされ、長生きしていたら、「事実」がどれくらい公になったのだろうか。
    信長の天才性や人を人とも思わぬ所業がやっぱり強烈だった。
  • 信長はなぜ葬られたのか 世界史の中の本能寺の変
    明智光秀の謀叛とされている本能寺の変は、実は明智光秀ひとりに悪役が押し付けられたもので、裏では色んな動きがあった、というものですが、これが歴史の真実なのかよくできたフィクションなのかよくわからないながらも、おもしろく読めました。
  • 信長はなぜ葬られたのか 世界史の中の本能寺の変
    本能寺の変の背景を大胆に推測した一冊。
    信長は、ポルトガルとの南蛮貿易で富を得て、それが権力の源泉になっていた。このころ、宣教師たちの日本での活動が最も盛んとなる。ポルトガルがスペインに併合されると、スペインとの交渉に入ったが、決裂。貿易で得ていた信長の力に陰りが生じる。それをみた足利義昭は、公家勢...続きを読む
  • 信長はなぜ葬られたのか 世界史の中の本能寺の変
    話題になり、人からもおすすめされたので手に取りました。

    本能寺の変の謎を解く、といった作品は、おそらくこれまで多数あったと思いますが、国内の政治状況に加え、大航海時代という世界の歴史の中でとらえたこの作品は、かなり興味をそそる一冊となりました。
    その観点からとらえ、その後の秀吉の天下統一、朝鮮出兵...続きを読む
  • 信長はなぜ葬られたのか 世界史の中の本能寺の変
    あまり知られていないものを含む、多数の資料による、力強さを持った言葉。感情を抑えない優しく温かい言葉。
    二つの言葉を、心地よく感じながら読むことができた。まだどこかに謎を紐解く資料が残っているのだろうか。残っていないのだろうか。歴史浪漫に胸が熱くなった。
  • 維新の肖像
    時代は昭和初期と明治維新の時を行き来する珍しいタイプの歴史小説。
    アメリカのイエール大学で日本史を教える60歳の准教授が戦争に突き進む日本に警鐘を鳴らしていたが、効はならず歯がゆい想いをしていた。
    そんなときになぜ、日本はこのように心なく無茶を押し付けるような国になったのだろうと思案した時に明治維新...続きを読む
  • 等伯(下)
    松林図屏風があまりにも有名な長谷川等伯。どんな天才かと思いきや(勿論才能はとんでもないけど)、人としてはあまりに愚直で正直過ぎ、地の文で「側からみれば馬鹿」とまで言われるほど。失敗と反省を何度も何度も繰り返して呆れるが、いつのまにか惹きつけられる。父をも凌ぐ絵師であった息子久蔵や、妻の静子、後妻の清...続きを読む
  • 等伯(上)
    安土桃山時代の名絵師・等伯の若き日から、織田信長の権力側から追われる身となった苦難の日々を経て、関白・近衛前久、狩野派の3代目直信(松栄)や京都奉行・前田玄以たちとの関係を経て、有名絵師として地歩を確立していくまで。妻・静子の献身的な支えが感動的だった。日蓮宗の僧侶・日堯上人の尊像を描くに当たり悟り...続きを読む
  • 等伯(下)
    いきなりの永徳との襖絵作品対決!狩野派の8大弟子と等伯の長男久蔵の投票結果は如何に!?久蔵の事故死からの秀吉への直訴と、その結果書くことになった畢生の名作・松林図の誕生の経緯。著者が後書きで書いているように、信長・秀吉などの歴史上の人物像以上に作品を通して、等伯という人の人となりは推し量られるわけで...続きを読む
  • 維新の肖像
    太平洋戦争前夜のアメリカ・イエール大学で教鞭をとる朝河貫一が、戊辰戦争を戦った二本松藩藩士の父の書き残した手記をもとに、明治維新の意味を問い直すため「維新の肖像」という小説を書くという二重構造となっている。
    アメリカで反日の人々から迫害を受けながら、貫一は軍国主義に傾倒する日本を憂える。そして父の手...続きを読む
  • 葉隠物語 (1)
    『葉隠』(はがくれ)は、江戸時代中期(1716年ごろ)に書かれた書物。肥前国佐賀鍋島藩士・山本常朝が武士としての心得を口述し、それを同藩士田代陣基(つらもと)が筆録しまとめた。全11巻。葉可久礼とも。『葉隠聞書』ともいう。以上、ウィキペディアから。

    取り敢えず読んでみようと考えたが、どの本も難しそ...続きを読む
  • 維新の肖像
    明治維新時に、旧幕府側の藩士として多難な目にあった父と、藩閥を嫌い日本を飛び出してボストンで教職にある息子との、行きつ戻りつで近代日本のやりきれない部分を描こうとしたものか。
  • 冬を待つ城(新潮文庫)
    戦国時代の事柄の中で自分が知らなかった戦いを扱っていてとても興味を持った。
    九戸兄弟の四男、政則の視点から描かれておりストーリー展開もテンポ良く引き込まれていく。
    様々な出来事に対して九戸の長男、政実の思慮深く緻密な策略を建て挑んでいく姿は凄いと思わされる。
    多少神秘的な箇所があまりしっくりこない感...続きを読む
  • 風の如く 水の如く
    黒田如水の密書をめぐり、本多正純が各大名へ訊問する形で話が進んでゆく。
    しかし、関ヶ原の前あるいは後と場面が錯綜し、読者もまま惑わされてしまう。
    関ヶ原は、家康と三成との戦いというのが歴史の定説であるが、著者はその裏に如水と家康との権謀と策謀の戦いがあったとみる。
    これがフィクションなのか、はたまた...続きを読む
  • 合戦の日本史
    5名の小説家による歴史座談会。山本兼一さんが亡くなられたので、途中から4名になっています。信長・秀吉・家康・幕末がテーマの4回。
    やはり、同じ歴史上の出来事でも、それぞれが着目する点って違うんだな、と当たり前なんだけど新鮮に感じました。それだからこそ、数々の歴史小説を読む意味もあるというものです。ま...続きを読む
  • 等伯(上)
    常に己の信念に忠実に生きてきた長谷川信春(後の等伯)。
    十一歳で武家から染物屋に養子に出されて以降、戦国の激流に翻弄され続けて不遇な時を過ごすも、その都度自身の絵に境地を救われる。
    このままでは終わりたくない。
    いつかあの狩野永徳を越える絵師になる!と常に永徳を意識しながら。

    山本兼一氏の『花鳥の...続きを読む
  • 等伯(下)
    戦国の浮き沈みの厳しい世の中で、ライバルとして張り合う等伯と永徳。

    永徳の等伯に対する妨害は読んでいて呆れる程徹底している。
    家柄といい才能といい、絵師として生まれながらにして恵まれている永徳。
    それなのに、そんなにも等伯の才能が憎いのか。

    永徳と比べ実直で不器用な等伯。
    次々に不遇に見舞われ絶...続きを読む
  • 半島をゆく 第一巻 信長と戦国興亡編
    以前買った雑誌サライに「半島に行く」の連載を見付けた。二度行ったことのある丹後半島だったので、興味を持った。
    さて、その連載が一冊の本となって上梓されたのを新聞広告で知り、購入、
    気楽な歴史紀行と思ってたら、どうしてどうして、面白くて、久しぶりにページを捲る手が止まらない読書となった。
    歴史作家と歴...続きを読む