安部龍太郎のレビュー一覧

  • 天馬、翔ける 源義経 下
    終盤では、鎌倉から都に返された静御前を、義経らが奪還して共に奥州に逃げるというストーリーに描かれている。この辺りは確かな資料が残っていないだろうから、このような解釈もよいと思う。そして義経の物語をハッピーエンドで締めくくるというスタイルはとても斬新に思えた。
    義経の妻としては静御前のほか河越重頼の娘...続きを読む
  • 維新の肖像
    一昨年の、明治維新から150年を記念したイベントが目白押しだったころから、「本当に江戸時代は暗黒時代だったのか。明治維新で世の中はよくなったのか」に疑問を呈するような本がずいぶんと出版されるようになったと思う。
    この本も、その一冊。

    第二次大戦直前の、反日感情渦巻くアメリカで、イェール大学の歴史学...続きを読む
  • 天馬、翔ける 源義経 中
    鵯越、屋島の戦い、壇ノ浦までが記述されている。義経が周囲から疎まれる原因がよくわかるように書かれているので、病的に義経を信奉するような人はがっかりするかもしれないが、人としての欠点まで含めて義経を敬愛できる人には、楽しく読める作品だと思う。
  • 天馬、翔ける 源義経 中
    中巻になると益々、プライドが高いくせに自信がなく猜疑心の塊である頼朝の人間性の小ささが目立ってくる。
    また義経も洗練や清々しさとは程遠く、単なる我儘で無鉄砲の若者になっている。
    なんだろう、この描き方は。阿部氏は源氏が嫌いなんだろうか。
    そういえば、武蔵坊弁慶という名は後白河法皇が付けたように書かれ...続きを読む
  • 天馬、翔ける 源義経 上
    上巻は義経よりも頼朝を中心に語られている印象。
    鎌倉幕府を創始し、今でも名高い頼朝がこんなに卑屈でプライドだけが高く、堂々としたところがなくしょうもない駆け引きばかりする人物として描かれている。
    本当のところはどうだったんでしょうね。
    また北条政子の嫉妬心は有名な話ですが、容貌、話し方、性格も含めて...続きを読む
  • 宗麟の海
    安部龍太郎氏の小説は三作目。

    大友宗麟という人物の情報は、戦国時代の九州の雄であり、キリシタン大名だったくらいだった。また、赤神諒氏の「大友二階崩れ」を読んでいたのもあって、宗麟に対するイメージはあまり良くなかった(本小説との差という意味では、吉弘鑑理の描かれ方があまりにも異なっており驚いた)。
    ...続きを読む
  • 信長の革命と光秀の正義 真説 本能寺
    令和2年になってコロナが騒がれる前に読み終わった本ですがレビューを書くのを忘れていました。緊急事態宣言のお陰でテニスもピアノもできなくなってしまい、更には天気が雨であったので、絶好のレビュー日和となりました。

    今年の大河ドラマは明智光秀が初めて主役として登場してきますが、光秀がなぜ謀反を起こしたの...続きを読む
  • 等伯(下)
    絵師の物語だが、戦国武将の物語、また、同時代に生きた女性の物語でもある。大河ドラマと同時代で時代の雰囲気を共有して読むことができた。
  • 関ヶ原連判状 上巻
    戦乱の時代に天下統一を狙う勇将ではなく、本筋を外れているかもしれませんが自国の安全と存続を第一目的とする中小の大名たちの行動が興味深い。
    下巻はいよいよ、、
  • 等伯(上)
    上下一括感想。激動の戦国末期で、時代に飜弄されながら絵師の道を進む等伯の激しい生き様が、生み出された作品と一体となって、読み応え充分。友達にはしたくないタイプだが、読後に彼の絵が見たくなる。
  • 信長はなぜ葬られたのか 世界史の中の本能寺の変
    織田信長がなぜ殺されたかについて綴った一冊。

    信長の暗殺にはカトリックが絡んでいるというのは、今までにない視点で面白かった。
  • 婆娑羅太平記 道誉と正成

    新たな正成像

     南朝に殉じた忠臣という側面から描かれることが多かった楠木正成。経済的事情から台頭した背景を説き起こし、新たな正成像を提示した。伊勢湾利権から織田家の発展を描いてきた安部龍太郎ならではの分析は興味深い。著者の初期作品で後南朝時代を舞台にした「彷徨える帝」には正成の末裔という設定で、南木正盛という人物...続きを読む
  • 等伯(下)
    絵画界の支配者である狩野派に対し、等伯は技法や知識に基づいて表現するのではなく、裸の目でみた真ね姿を写しとろうと精進を重ねて、第一人者へと成長していく。
    愛と鎮魂の松林図完成の場面では、思わず涙が出てしまいました。素晴らしい。
  • 信長燃ゆ(下)
    信長の行動は西洋諸国による侵略から日本を守り、逆に海外に勢力を伸ばすために神道に裏付けられた皇族と公卿による支配体制からの脱却を目指したものだと思えば、あの時代に進歩的な考え方を持っていた偉大な人だったのだなと思う反面、それでも歴史に残る残る残虐行為を認めることはできない。
    近衛前嗣のしたたかぶりも...続きを読む
  • 信長になれなかった男たち 戦国武将外伝
    日本史は好きで多くの武将について読んできたと思いますが、最近になって有名な武将として記録されるまでには至らないけれども、大名としてかなり活躍したであろう人達にも興味を持つようになりました。

    このような部分の研究も進み、それを本にしてくれる、この本の著者(安部氏)のような方が出てきてくれて本当に嬉し...続きを読む
  • 信長はなぜ葬られたのか 世界史の中の本能寺の変
    斬新な切り口。宗教の視点を入れて歴史を考えることは重要と感じた。それと江戸幕府史観は士農工商なので、そこを経由しての戦国時代はやはり色々歪曲されてるのだろうとかんじた。
  • 戦国秘譚 神々に告ぐ(下)
    戦国時代末期の権威が落ちた天皇家・朝廷と、中立的な将軍、権力を求める武家の微妙なバランスが面白い。
    野望を持ちつつも、天皇家ひいては神々を敬う日本人としてDNAの奥底に記憶された価値観を蔑ろにできない様子は、明仁天皇の退位が間際な時期に読んだだけに感慨深いものがあります。
  • 戦国秘譚 神々に告ぐ(上)
    戦国時代の知識が乏しい自分にとって近衛前嗣という人物も初見に等しいのですが、なかなか面白い作品でした。
    それにしても、こんなに将軍が軽視された時代があったとは驚きです。
  • 信長はなぜ葬られたのか 世界史の中の本能寺の変
    信長が天下統一目前で、本能寺に散った理由を公家の近衛前久やキリスト教の観点から分析。

    信長という存在が当時の誰よりも進んだ存在だったからこそ、不安視されていたんだなと感じました。キリスト教を通じてヨーロッパから莫大な利益を得られる一方で、神の前では平等とする理念のために距離を取らざる得なかったこと...続きを読む
  • 下天を謀る(下)
    上巻よりも盛り沢山のできごと。なのに、やや駆け足。
    要所はおさえていますので、わくわくしながら読みましたが、もっともっと、高虎と家臣や領民などとの交流もあったらなあ、じっくりと高虎の魅力を堪能できたら、と欲深く思うほどにもっと読みたかったです。