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大航海時代の洗礼を受けつつあった時代に、信長より早く海外貿易を行った先駆者がいた。豊後国の領主を継いだ大友宗麟である。交易により鉄砲の硝石と鉛を手に入れ、強大な武力で豊前・筑前・筑後・肥後・肥前へと勢力を拡大。理想の王国を作ろうと夢にむかって駆け抜けた男の生涯を描く。 「大分合同新聞」にて一年間連載されたものに加筆修正を加え出版化。大分の戦国武将として著名な大友宗麟が主人公。近年大友居館が発掘されるなど、地元で顕彰が進む、新しい宗麟像を描き出す。
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Posted by ブクログ
キリスト教に心惹かれていく大友宗麟。 この頃の日本では神仏のみが信仰の対象であった。 キリスト教は、日本を滅ぼす悪魔として弾圧されていた。 そのため、国王として入信するのに躊躇いがあった。 苦悩に身悶えする様と残忍で冷酷な様を重厚な文章で鮮やかに描き分けている。 重厚過ぎるほど重厚で圧巻の物語。
毛利との駆け引きと鉱山開発、南蛮貿易がとてもよくまとまって描かれてる印象です。寺社統制やキリスト教の扱いなんかは本当に難しいのも再認識しました。
名前はよく聞くが実際にどのような生涯を送ったのかよく知らなかった大友宗麟。 若くして家中の争いで父を失い、生まれつきの病気を抱えた体で毛利家と熾烈な戦いを繰り広げ、キリスト教に惹かれ入信して生涯を終えるまで。面白かった。
久しぶりに安倍龍太郎の本を読んだが、面白かった。この人は意外な人物を取り上げて、良い話にするのが上手いと思う。昔の作品は寝るのも惜しんで読んだものも多かったので、割と好きな作家。
安部龍太郎氏の小説は三作目。 大友宗麟という人物の情報は、戦国時代の九州の雄であり、キリシタン大名だったくらいだった。また、赤神諒氏の「大友二階崩れ」を読んでいたのもあって、宗麟に対するイメージはあまり良くなかった(本小説との差という意味では、吉弘鑑理の描かれ方があまりにも異なっており驚いた)。 ...続きを読む その点で、本作は宗麟が如何に凄いのかが非常に合理的に描かれていた。序盤に老臣の吉岡長増から出された課題、①強力な水軍、②寺社の統制、③大内家の討伐(周防・長門の領有)を、時間をかけて達成していく。銀山の開拓→南蛮貿易→国力の増強、国衆の統制といった経済と政治の関係が明瞭で面白かった。毛利勢の撃退後の長増との会話のシーンは痺れた。 本作のもう一つの軸は宗麟とキリスト教の関係。ただ、本点に関しては、宗麟はただの一信者であり、政教分離を苦心して実行しようとするも、なかなか上手く操れなかったという「失敗談」に見えた。事実、日向に作ったキリスト教街はすぐに破綻しているのだから綺麗に描くのが難しいのだろうが。
南蛮貿易により国力を増強し、宿敵毛利元就との戦いを制し、九州六カ国の太守となった大友宗麟。斎藤左馬助鎮実、戸次鑑連らの豪傑とともに、戦国の世を駆け抜ける。
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