九段理江のレビュー一覧

  • しをかくうま
    タイトルも意味不明だが内容もぶっ飛んでいた。静かに。そしてその世界観が何故かとても心地よかったのだ。何故だ。
    松浦理英子の犬身を読んだときも同じように心震えるものがあったことを思い出した。
  • 東京都同情塔
    せつねーーー!!!

    牧名沙羅は限りなく非人間な性格で数学が得意の女の子や。少しづつ大人になるにつれ、本来人間の持つ肉欲であったり色々な論理じゃ解決できない欲求を知っていくお話や。

    かつて数学少女だった女の子が、沙羅が沙羅であるために選んだ道なのに、サラとして消費されていくかわいそうかわいいの建築...続きを読む
  • 東京都同情塔
    「バベルの塔の再現。」で始まり、バベルの塔と東京都同情塔を重ね合わせて表現しているのが面白かった。
    旧約聖書の創世記にあるバベルの塔の物語を完璧にオマージュしているという訳ではなく、キリストとも取れる描き方をしている。「この人を見よ(エッケ・ホモ)」を牧名に対して使っていたり、そもそも牧名という名前...続きを読む
  • 東京都同情塔
    久しぶりに小説を読んだ。
    同じ芥川賞で比較すると、本作『東京都同情塔』は上田岳大の『ニムロッド』にちょっと雰囲気が似ていて、どこか無機的・機械的な雰囲気の小説だった。実際はニムロッドをもっとよくした感じで、僕はニムロッドに星4をつけているので、同情塔は星5にした。

    読後に不思議な満足感があって、『...続きを読む
  • 東京都同情塔

    不思議な文章

    不思議な文章で、AIによる回答も多々引用されている。感想を言うのが難しい。言葉を発するときにいちいち「これは言っても大丈夫か?」と考えなきゃいけないのはすごく疲れるだろうな。
  • 東京都同情塔

    誰が牢獄にいるのか?

    現代の気遣いの文化は良いのだけど、ぶつかり合うことで得られるものが得られなくなるようにも思えてくる。かと思うと、一方で、それぞれの人間が自分のことしか考えない状態が、さらに増しているように思える。マキナはmachineに似た響きを持っている。デウスエクスマキナ。神が流れを思いのままに変える?いや、彼...続きを読む
  • Schoolgirl
     『Schoolgirl』も良かったが、『悪い音楽』に登場する音楽教師ソナタのズレが印象的だった。
     保護者を呼んで生徒指導する場面で、その内容をネタにしたラップを考え、教師や保護者から問い詰められたり、合唱コンクールな学級指導で音痴な男子をカバーするために声量をあげることを指導し伴奏者の生徒から反...続きを読む
  • Schoolgirl
    表題作『Schoolgirl』の親子は、簡単に病名が付く令和では客観的に診察されたら何かしらの病名が付くのかもしれない。親子関係としてはありふれた現代的な親子で、情報社会に影響を受けまくった活動家もどきの子供っていうのは沢山いる気がする。大抵は予防接種みたいなもので、厨二病の亜種のようなものなのかも...続きを読む
  • Schoolgirl
    表題のと、悪い音楽、との二本立てだったが、悪い音楽の方が好み。
    小説というより、現実に近くて面白かった。
    ただ、いつも読みたい話ではないかも。並行して読んでいた別の小説も良かったのに、それの現実離れ感が増してしまって白けるくらい、インパクトはあった。
  • Schoolgirl
    ⚫︎受け取ったメッセージ
    言葉で表現することの可能性


    ⚫︎あらすじ(本概要より転載)
    祝・第170回芥川賞受賞
    新芥川賞作家の原点。第73回芸術選奨新人賞受賞作。

    どうして娘っていうのは、こんなにいつでも、
    お母さんのことを考えてばかりいるんだろう。

    社会派YouTuberとしての活動に夢中...続きを読む
  • Schoolgirl
    「School girl」「悪い音楽」の2作。「悪い音楽」が気に入った。
    音楽サイコパス、本人はいたって真面目で一本筋が通っているけども、音史上主義すぎてあれこれ面白いことになっている。
    ソナタさん目線の作品がもっともっと読みたい…
  • Schoolgirl
    わーお。この作者の文章好きだなー。
    作者の感性がドバドバドバーっと私の中に入ってくる感覚。(こんな素晴らしい文章を読んだ後の自分の語彙力に泣けますが。)

    School girlを読んで、あーもうちょっとこの世界観読んでたかったーと思っていたら、悪い音楽が超えてきた。おもしろかったー。三井先生やばい...続きを読む
  • Schoolgirl
    とても興味深く面白かった。
    作者の感性の素晴らしさが伝わって来た。
    これを読みながら、「女生徒」を2度読み直してしまった。
    太宰の凄さと九段さんの素晴らしさが、身に滲みて来た。
    「女生徒」が、「お母さん」なら「School girl」は、「Mother」であろう。とにかく、ここに登場する「お母さん」...続きを読む
  • Schoolgirl
    schoolgirlを読む
    私はあの子供を重なっているところがある、断絶だと思った、母さんからの断絶もある14歳ではなかったが18.19のところ




    悪い音楽を読む




  • Schoolgirl
    母親の心情にも娘の行動もどちらも合っていてどちらも違うような、そんな考えの沼に嵌っていくお話でした。最後の終わり方も、所々に入っている娘の動画も面白かったです。

    「悪い音楽」は、出てくる曲を聴きながら読みました。主人公のサイケチックな性格と音楽への情熱が社会とズレを生じさせている感じが面白かったで...続きを読む
  • Schoolgirl
    太宰の『女生徒』を令和の女の子がYouTubeで表現したら、そしてその母親をその眼差しで批評したら。
    そんな「もしも」を母親の方の目線からの小説。「小さい説、そんなの読むよりドキュメンタリーをみた方がいい!」と叫んでしまうようなグレタトゥンベリのような女の子。
    太宰の頃の少女も令和の少女もどちらもナ...続きを読む
  • Schoolgirl
    第166回芥川賞候補作である表題作を含めた中編2編収録。

    表題作は太宰治の「女生徒」の本歌取り的作品だそうだ。太宰は好きではないけど、「女生徒」は読んでみようと思った。

    それより、もう一編収録された九段さんのデビュー作で第126回文學界新人賞受賞作の「悪い音楽」!。
    女性のとんでもない中学音楽教...続きを読む
  • Schoolgirl
    芥川賞は逃したものの、平野氏らが一押ししたと聞いて借りました。

    いやあ、すごい。とんでもない新人が出てきたと思いましたよ。現代に生きていながら同時通訳的に現代を描いているっていうか。初めはお母さんと同年代ぐらいの人かと思いましたが、1990年生まれ?なんということでしょう。
     太宰の「女生徒」も読...続きを読む
  • 東京都同情塔
    現在〜ちょっとだけ未来の話
    言葉とコミュニケーションとAIがテーマ

    何でもかんでも外来語にしたり差別的でない(とされる)表現にすればいいのか。
    高校の時に「言葉が世界の物事を切り取る」みたいな内容の評論を授業で読んだことを思い出した。
  • 東京都同情塔
    現実では白紙撤回されたザハの国立競技場でオリンピックをした東京という世界線が非常に好みだった。ザハの国立競技場だったらどんな東京になってたかなと想像するのが楽しい。そして東京に新しい塔が建つのなら…?