九段理江のレビュー一覧

  • Schoolgirl
    表題作「school girl」は、芥川賞選評委員の男性委員からは支持を得たが、女性委員からは評価は低かったらしい。
    もう少し母も娘も、深掘りしてほしいなと思ったので、評価が低かったのは納得した。
    え、もう終わるの?と思ったのは私だけではないと思う。主役が母なのか娘なのか、その関係性なのか、それも曖...続きを読む
  • 東京都同情塔
    芥川賞すげぇー…。『ハンチバック』に引き続き、バチバチに挑戦的な作品が受賞。

    言葉の正しさに支配された建築家・牧名沙羅は、マサキ・セト考案の概念による、ホモ・ミゼラビリスの住まうシンパシー・タワー・トーキョーを建設する。
    母親が同情されるべき人である拓人は、牧名沙羅に細心の注意を払ったナンパをされ...続きを読む
  • 東京都同情塔
    「東京都同情塔」に住んでいる人のことが描かれていると思いきや、それを建築家としてデザインする人と、その人と関わりその塔を職場として働く人の内面が描かれていて、考え方や言葉の選ばれ方が新鮮でした。
  • 東京都同情塔
    芥川賞作家で私も好きな平野啓一郎さんが芥川賞でも推しておられ、さらにあの鈴木保奈美さんの番組で著者本人の話を伺い、これは読まねばと思いました。

    読み終えて感じたのは、想像以上に難しい作品だったことです。

    現代建築、日本語、差別(犯罪、性等)、AI。昨今の日本に於いて、話題となった単語です。そして...続きを読む
  • 東京都同情塔
    少し癖があるので好みは分かれそう。登場人物の心情にはあまり共感出来なかったけれど、共感しようとせずに、このような考えもあるんだなぁと割り切って読む分には面白かった。
  • 東京都同情塔
    なんだか訳がわからない本を読みたければ、文学賞を受賞した作品を読めば良い。
    本書は、芥川賞受賞作品。

    書いてある内容は、具体的に想像できる。
    なにを言ってるかもわかる。
    ただ、全体を通して読むと、よくわからない。
    ぼんやり読んだけど、きっとそのうちなんとなく意味がわかるのかな。
  • 東京都同情塔
    犯罪者も普通に住める環境を提供する建築者を取り巻く話。もう少し主人公の気持ちが汲み取れたら良かったんだけど最後の最後まで上手く理解できなかった。話の内容自体は、現代や過去に起こってるような出来事や世論などもわかりやすくなぞらえて書かれてあるから読みやすい。
  • 東京都同情塔
    “同情“塔の設計者が“批判“の対象になるなんて、皮肉なもんだ。

    前半はコンセプトや登場人物のキャラクターが面白くて読み進んだが、終盤はなんかよく分かんなかった。

    純文学ってそういうものなんだろうけど。
  • しをかくうま
    【言葉を使うヒト、の行く先…】
    主人公がTV局での競馬の実況の仕事をしている世界と、もう一つの異次元的な世界とが、交ざり合っていく。


    この題名が平仮名なのは、あえてその意味を固定せずに言葉で遊んでいる節があるー「詩を書く馬」「死を欠く馬」。

    詩や言葉について、幾度も触れられている。

    ...続きを読む
  • 東京都同情塔
    犯罪者=ホモ•ミゼラビリス=同情されるべき人。

    という定義から始まるなんともユニークな言葉の世界。
    感情を排除した無機質な言葉を正確に組み立てる
    主人公の名前が、マキナ(後から調べてみたら、機械•救いの手という意味のギリシャ語?)なのも面白い。
    私には咀嚼しきれない部分も多かったけど、SF的な感覚...続きを読む
  • 東京都同情塔
    これが現代文の試験に出てきたら間違いなく爆死する わからん
    カタカナを使うとニュアンスを誤魔化せるのは確かに〜と思った 全性別トイレの例えが分かりやすかった
    すべての不幸は他者との比較から始まるとか、無批判な自己肯定とか良いな〜って言葉はあった

    AIの普及に伴って個々の思考が画一化されつつあって...続きを読む
  • 東京都同情塔
    まずまず。
    芥川賞に相応しい。芸術的、ユニークな感性。
    刑務所?を東京中心部の高層ビルに設けると言う先進的なお話。
    分りにくいがきれいな文。常人には書けない。
  • 東京都同情塔
    話が高次元すぎて、頭の悪いわたしには少し難しかったです。。
    なんでもかんでも多様性を認めることを善とした社会の行き着く先に対するアンチテーゼ的な作品?
  • 東京都同情塔
    最初はすごく読みづらくて断念しかけたけれど少しずつひきこまれていった。日本人が日本語で言えないことって怪しいなぁとずっと思っていたので『同情塔』には苦笑。ますます求められている平等と思いやりの精神に当てはめた新語にはなーんの心もないな…
  • 東京都同情塔
    ザハ・ハディド案の国立競技場が建っている近未来,建築家の主人公はそれに見合う東京都同情塔をデザインする.犯罪者への考え方や,言葉はどちらにしても理解不能だから,言葉そのものを使わないという同情塔の住人たち.バベルの塔とシンクロする世界,非常に不気味だ.
  • 東京都同情塔
    AIが製作した文章かと勘違いしたが、AIがストーリーに登場する点で、現代らしさが醸し出されている。
    深く切り込まないのは意図的なのか、どこに終着するかを考えながら読み進めたが、結局読み終えてもモヤモヤした感覚が残る。
    犯罪者をかくまう施設、しかも手厚く守られている同情塔の存在は是か非か?結論を出せな...続きを読む
  • 東京都同情塔
    「多様性」という耳障りの良い言葉の上澄みだけをすくったようなタワーが日本で建設されるという設定は、日本人の国民性が反映されていて面白かった。表面だけ取り繕って、中身がスカスカのカタカナ英語を多用する近年の傾向に対する問いかけのような内容になっているのではないかと思う。
    心が動かされる、感動する、とい...続きを読む
  • 東京都同情塔
    これが芥川賞たる作品なのだろうか、斬新で著者の創作した異色な世界が評価されたのだろう、分かろうと読んでも分からない、そのまま受け入れて読んで見てその余韻を残しておこう、シンパシータワートーキョー、ホモ・ミゼラビリス、ザハ・ハディド、AI-Built、マックス・クラインなどの用語とともに。
  • 東京都同情塔
    今より10年ほど先の東京が舞台であることと、「生成 AI」 の文章を適宜取り入れたことが、芥川賞らしいな と思いました。芥川賞は、文学的に誰も手をつけていない分野の試みを成し得た作品が選ばれるので。
    ついに純文学の世界もここまで来たかと、芥川龍之介先生も微笑んでいるのではないでしょうか‥。

    生成A...続きを読む
  • 東京都同情塔
    なんとも不思議な世界に連れていき。哲学的な小説。

    あなたは、犯罪者に同情できますか?
    なんとも重いテーマだが、犯罪者のことを考えると同情できる気がします。
    そのきっかけがこの本に含まれています。

    人は、本当に理不尽な人間なのかもしれません。

    何回も読むことで、味が出る小説だと思います。