「バベルの塔の再現。」で始まり、バベルの塔と東京都同情塔を重ね合わせて表現しているのが面白かった。
旧約聖書の創世記にあるバベルの塔の物語を完璧にオマージュしているという訳ではなく、キリストとも取れる描き方をしている。「この人を見よ(エッケ・ホモ)」を牧名に対して使っていたり、そもそも牧名という名前
...続きを読むを建築家の女性につけている(=マキナ、machine。救いの手、機械。)などがそれにあたる。東京都同情塔の説明をする場面をみると、牧名はAIであるとも捉えられる。
生成AIを作中で5%程度そのまま使用しているのも小説のなかでは珍しい。
またキャラクター各々の強い個性が文体にまで綺麗に表現されている。
扱っているテーマは、日本特有の過度な寛容への批判や犯罪者の扱いなど、難しいにも関わらずわかりやすく読めた。