ひえっ、となった読み手は、この(6)では多かったんじゃないだろうか
魚が食べたくなるって意味では、早川光/王嶋環先生の『ごほうびおひとり鮨』にも負けちゃいないんだが、魚を食べる際に、いらん罪悪感も抱いてしまうようになる危険性も孕んでいるか
食系漫画に属するとは思うんだが、やや、ホラー感が強くなってき
...続きを読むている
あくまで、私個人の印象だけど、この『人魚姫のごめんねごはん』を読み続けられている漫画読みは、エラのヤバさに(1)からやられてしまい、今更、逃げられなくなってしまった者だろう
もう、私達は、彼女の暴食性から逃げる事は出来ない
とは言え、食べられっぱなしってのも性に合わないので、こうやって、せめてもの抵抗に、未読の漫画読みに「近づくな」と警鐘を鳴らしているんだが
時たま、逆効果なのかな、と不安になる事はあるけど
実際のとこ、エラには同情もしているんだ、ちょっとだけ
彼女だって逃げられないのは、同じなのである
エラを捕らえ、閉じ込めているのは、罪の味
やってはいけない事ほどやりたくなってしまう、それが人の性
人魚の姫であろうとも、一度、その味を舌と胃、そして、心が覚えてしまったら、もう、抗えなくなってしまう
まぁ、引き返すチャンスはいくらでもあったのに、自分に言い訳しながら、更に深いトコまで潜っていく、と決めたのはエラ自身
同情はするが、憐みはかけがたい
そんなエラの危険な魅力、言うなれば、魔性を浴び、疲弊してしまった読み手の心を癒してくれるのが、第36話で相思相愛となった、サンゴと暇田さんの恋愛ドラマだ
ちょっと残念ではあるけど、基本的に良い人である暇田さんが、サンゴをサンゴとして見て、彼女からの愛を受け止め、なおかつ、自分の気持ちも全力で伝える姿は、実に男前だった
人と人魚、その種族差に悩み、一度は諦めかけたサンゴだったけど、親友・エラのエールで自分の気持ちに素直となり、暇田さんに真実を打ち明けた勇気には、ほんと、感動する
しかし、この第36話はラストが、サンゴと暇田さんの仲を祝福する気持ちが吹っ飛ぶほどに、おっかない
改めて、エラは引き返せないほどの大罪を犯し、最早、その罪を己で償う事も出来なくなっているようである
この台詞を引用に選んだのは、暇田さんに惚れ直したので
彼にとって、好きな相手が、人間じゃないってのは、些末どころか、全く関係ないんだろう
サンゴが人でない事も含めて、全てに惚れ、自分の人生を捧げる、と決断した彼に祝福あれ
「私は、君が人間だからではなく、サンゴくんだから、一緒にいたいのだが?」(by暇田大地)