河野裕のレビュー一覧

  • 少年と少女と、 サクラダリセット6
    誰かひとりが命を投げ出せば世界を救えるとして、そのひとりが死んでしまう必要なんて、なにもない。怖ければ逃げ出せばいい。(217ページ)
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    特別な力を否定して。
    悲しみを受け入れて。苦しみに耐えて。できないことは、できないと割り切って。限られたものから最良を探すのが、頭の良い方法なのかもしれないけれ...続きを読む
  • 片手の楽園 サクラダリセット5
    苦手であることを、悪いことのように言わないで欲しい。苦手だという感情を、安易に踏みにじられたくない。(188ページ)
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    逃げるとか、誤魔化すとか、閉じこもるとか。
    人が必死に幸せになろうとする行為を、悪いことのように言うべきじゃない。
    弱い人間の戦い方を、頭から間違っているように、表現するべきでは...続きを読む
  • 機械仕掛けの選択 サクラダリセット3
    きっとこの世界の基盤には、不幸と、悲しみがある。重力によって地面に引き寄せられるように。あらゆる人は、生き物は、物体は、悲しみへと向かう力をいつだって受けている。だって、そうでなければなにかが死ぬ必要なんてない。なにかが壊れてしまう必要なんて、ひとつもない。(169ページ)
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    綺麗に笑えなくてもい...続きを読む
  • 魔女と思い出と赤い目をした女の子 サクラダリセット2
    すべての人の、すべての死は、きっとどこかに悲しみを含む。(91ページ)
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    なにも、求めていない。
    ただそこに、彼の意思があればいい。他に必要なものなんてひとつもありはしない。(100ページ)
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    私は、私の愛を確信したい。
    できるならそれを、確信してから死にたい。(162ページ)
  • 猫と幽霊と日曜日の革命 サクラダリセット1
    世界中のすべての断言には、嘘か、信仰か、感情が混じっている。(195ページ)
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    悲しみの感度が良好だということは、つまりそれだけ優しいということだ。人の優しさには、無条件で肯定されるだけの価値がある。(302ページ)
  • つれづれ、北野坂探偵舎 トロンプルイユの指先
    歴代のトップが現代のトップじゃない。文体は時代と共に変質している。半世紀前の人間に宛てたテキストをありがたがっている連中は、小説の本質を知らない。(146ページ)
  • さよならの言い方なんて知らない。7(新潮文庫nex)
    言葉にならないエグさが今回多かった。
    食糧危機やAI等の発達による生きる意味の欠落といった現実世界でも起こり得るような内容だからこそ本能的な拒絶反応が現れるような場面もあった。

    この現実は「現実」ではなくAIによって演算された世界なら、という根底をひっくり返すような世界だったら、私はデータの一部で...続きを読む
  • さよならの言い方なんて知らない。(新潮文庫nex)
    面白い。
    現実世界ではない?架見崎という世界でのお話。
    主人公のキャラも、その友達も、なんか出てくるキャラ全部がいい。
    絶対全部読む!
  • その白さえ嘘だとしても(新潮文庫nex)
    どの文章も無駄な言葉がない。

    いや、無駄な言葉はあるのだけれど、どれひとつとして、その章の主人公の痛みに根ざしていない言葉はない。

    すべて痛々しくて、なのに楽しげでひたむきで、どうして彼らが「捨てられた」ものなのか、不思議でしかたなくなる。
  • いなくなれ、群青(新潮文庫nex)
    とにかく表現法が素敵です。
    一つのことを百の表現で説明するような河野さんの文章が大好きです。
    自分の嫌いな部分も愛したくなるような本。
  • 月刊Gファンタジー 2022年9月号
    黒執事191話その執事、怠業
    ・看護師レイラの正体
    ・死神やお上の役目や生態
    ・デスサイズに対抗する武器を所有
    ・ウィルの登場
  • いなくなれ、群青(新潮文庫nex)
    表現、言い回しが変わった小説を読みたい時に、この本のキャッチが気になったので購入。
    癖のある少し気取ったともとれる文体は終始一貫していて楽しめた。テンプレートの様なキャラクターも多くて読みやすかった。
    謎とラノベ感を追いかけていたが、最後は謎もラノベ感もきれいにまとまっていて気持ちよかった。「感動で...続きを読む
  • きみの世界に、青が鳴る(新潮文庫nex)
    階段島の物語、完結編。

    階段を登るイレギュラーな存在、大地。
    わがままな魔女になると決め、これまでになくルールを破りながら、それでも優しい堀。
    大地のためにどこまでもどこまでも魔法を繰り返す真辺由宇と、それを寄り添って見つめる七草。

    読み進めていくと、失くしたものを思い出すような気分になる。
    ...続きを読む
  • いなくなれ、群青(新潮文庫nex)
    突き抜けた憧れを守ろうとする主人公と、どこまでも純粋で真っ直ぐなヒロイン。階段島という魔法で作られた世界で、そのどちらもの想いは輝いていて、哀しくて切ない。
    欲しくてどうしても持てなかったもの、一瞬手に入れたと思っても失われたもの、振り返るとあの頃持っていたのに、どうしても取りに戻れないものを、この...続きを読む
  • さよならの言い方なんて知らない。6(新潮文庫nex)
    これを機に、1から読み直しました。最初に感じていた、登場人物への印象が変わっていることに気がつきました。
    私はやっぱりこの作品を愛している。
  • さよならの言い方なんて知らない。5(新潮文庫nex)
    架見崎の外側の世界とそこでの課題、そして架見崎の目的がある程度開示された巻。
    今まで8月1日の少しの時間、質問の回答という形で開示されていたので、やや唐突感があるものの興味深い話だった。仮想世界ぐらいの推測は立っていたが、なるほど架見崎で生きる人間が『誰かの理想の人格を与えられたAI』というのはとて...続きを読む
  • さよならの言い方なんて知らない。4(新潮文庫nex)
    たった1つの質問で勝利条件を作り替える。
    架見崎で永遠に平和に生きる方法から逆算して最初にこれを思いついていた香屋が本当に恐ろしい。
    この勝利条件はどうしようもなく弱者に魅力的で、だからこそ弱者は諦めれずに余計死ぬってのがいいバランス。次巻から本格的に情勢が変わりそうなので楽しみ。
  • さよならの言い方なんて知らない。(新潮文庫nex)
    現実に住む世界とは違った架見崎という場所で8月を繰り返しながら自分で選んだ能力を使って戦争していく本作。
    「架見崎で死んでも全て元通り」と運営側から提示されているものの、主人公らの何をしても生きなければならないという絶対的な考え方から生死に重みがある。
    身体能力の底上げやビームなど、人間の持つ力を超...続きを読む
  • さよならの言い方なんて知らない。2(新潮文庫nex)
    死ぬことが安らかだって?ふざけるな。勇敢に戦うことを、まるでいいことみたいに語るな。考えてみろよ。今日、戦場で死んだ全員を想像しろよ。いったいどこに救いがある?ふざけるな。全員が生き物としてまともなら、こんなこと起こらないんだ

    自己犠牲を絶対に許さない、どこまでも生きるのに愚直で、臆病で、だからこ...続きを読む
  • さよならの言い方なんて知らない。3(新潮文庫nex)
    各陣営の思惑渦巻く月生攻略作戦ももちろん素晴らしいが、0番目のイドラ、人間が元々持っている偏見、生きる理由なんて油断すれば直ぐに陳腐になってしまうというような本作のテーマとも思える話の深掘りが始まり、俄然面白くなってきた。