岡本隆司のレビュー一覧

  • 「中国」の形成 現代への展望
    清朝から現代へ。「清朝なかりせば、東アジアの多元勢力をとりまとめ、平和と反映をもたらす事業はかなわなかった。」しかし、清朝滅亡後、中国の一体化に向かって突き進むが、「一つの中国」は実現せず、多元共存にも程遠い。今の中国は混迷の只中にあることがよくわかる。
  • 「中国」の形成 現代への展望
    p105の図が衝撃的。私たちが「国家」というと、近代の国民国家を想定してしまうが、清が達成した盛世はそれとは全く違った社会であることがわかる。未だに、明が直面した課題に中国は格闘し続けているのだなぁと掴むことが出来た。清の「成功」は、「因俗而治」で、緩く統合することに成功し、平和を達成したこと。そこ...続きを読む
  • 「中国」の形成 現代への展望
    ほんとに、面白かった。中央と地方、漢人とそれ以外、いろいろな対立が日本に比べて大きくて、ため息が出る。大元ウルスが大日本帝国1941の地図なんだろうなあ。だとすると一衣帯水は本気で言ってるんだな。ようやく一衣帯水が少しわかった気がする。
  • 世界史とつなげて学ぶ 中国全史
    岡本先生の本は2冊目であるが、非常に読みやすい。
    平易な文章、展開、図説などを、利用して頭に残るように記述されているのではないかと感じる。

    中国史を理解する事で、日本史や西洋史観に対する認識を再確認した。

    何回も読む本になりそうである。
  • 「中国」の形成 現代への展望
    清朝による分割統治と瓦解、割拠の中夥しい数の革命が巻き起こる混乱を経て現代中国にたどり着く過程がダイナミックに表現されている。
    秩序から混沌へ向かう要因は様々あり、教科書にある「アヘン戦争」「辛亥革命」など単一の事象で全てが一変したわけではないということがよくわかる。
  • 中国の論理 歴史から解き明かす
    【そんな百年,中国の思考・発言・行動は,目まぐるしい転変をくりかえした。けれどもその経過を貫いていたのは,中国の言動を根底で枠づける社会構造,論理枠組の本質が,いかに変わらなかったか,という事実ではなかろうか】(文中より引用)

    思考の枠から中国を紐解いてみようという中国入門書。史書や科挙といったキ...続きを読む
  • 「中国」の形成 現代への展望
    岩波新書のシリーズ中国の歴史全5巻の完結編は、岡本隆司氏の「「中国」の形成 現代への展望」。扱われるのは、清代を中心に現代まで。

    16世紀から18世紀までの時代は最近流行のグローバル・ヒストリーでいう「大分岐」の時代に当たるが、著者はグローバル・ヒストリー学説に対しては、「アジアを端から異質で、落...続きを読む
  • 中国の論理 歴史から解き明かす
    理解しがたい隣人の行動を、歴史や家族観、文化の
    基盤まで掘り返して「あちらの論理」を平易に解説してくれる
    好著。
    戦略的に日本を悪者にしているというのでは
    説明がつかない、広範な反日感情や、
    やり過ぎて逆に中国の国益を損なうようなことが
    なぜ起きるのか、理解できた。
  • 世界史とつなげて学ぶ 中国全史
    長い中国の歴史を、一気呵成に語り、
    現代中国を理解する視座も与えてくれる好著。

    朝貢外交が、明限定だったことなど
    これまでの思い込みを是正してくれた。
    国民国家体制でまとめるには
    多様すぎる国がどうなっていくのか。

    歴史を踏まえて今後の中国の動向を見てみたい。
  • 世界史とつなげて学ぶ 中国全史
    人より環境的要因に焦点を当て中国史を説明した本。
    中国というと「常にアジアの強国だった」というイメージだったが、国家としては非常に脆い共同体だったのだと認識を改められた。

    これを見ると、中華人民共和国が如何に歴史の浅い国かわかる。
    今の監視や、弾圧、洗脳による支配は、ここ数十年の出来事であり、決し...続きを読む
  • 近代中国史
    中国といふ国を考へるのに、非常に有益な本。多くの人に薦めたい。あとがきに、日本の中国研究は世界一の水準だとあつて、意外な感じがしたが、歴史的な日中の深い関係を想へば、当然か。教育が相変はらず欧米偏重で、自分を含めて、一般的な日本人の中国に関する知識水準が低いのが問題なのだらう。
  • 世界史序説 ──アジア史から一望する
    西洋の視点から語られがちな“世界史”を、アジア史から見つめ直すという内容。気候変動や遊牧・農耕・商業の交流や影響について文字を追う内に、現代社会がどこから来て、どこへ行くのかを考えさせられる。
  • 歴史で読む中国の不可解
    磯田道史さんの「無私の日本人」を読んでいて、1808年のフェートン号事件の段階で、佐賀藩は鎖国当時からして「捨て足軽」という戦術を採用しようとしていたことを読んで驚かされた。英軍艦との圧倒的戦力差を知り、爆弾を体に巻き付けてみんなで自爆しようというどう考えても「神風特攻隊」の源流となる戦法である。磯...続きを読む
  • 世界史序説 ──アジア史から一望する
    東洋史家の手になる「アジア史から一望」した世界史概説書である。
    学校教育以来、西洋史中心の世界史に馴染みが深い私にとっては、大変新鮮な視座を提供してくれる快著だった。

    近年、世界史のトレンドとして「グローバル・ヒストリー」の名の下に、西洋史家も自分たちの西洋中心史観を反省して、アジア史にも目配せし...続きを読む
  • 世界史序説 ──アジア史から一望する
    近年,グローバル・ヒストリーなるものが流行っているが,それに対する違和感をずっと抱いてきた。本書は,この西洋中心史観を脱却して生態環境など世界に共通する対象・問題を積極的に取り込み,世界史を描こうとする,最近学界で流行している方法であるグローバル・ヒストリーを「その視座・概念やデータの蒐集・使用など...続きを読む
  • 叢書 東アジアの近現代史 第1巻 清朝の興亡と中華のゆくえ 朝鮮出兵から日露戦争へ
    叢書「東アジア近現代史」の第1巻として、豊臣秀吉の朝鮮出兵から日露戦争に至る清朝の歴史を通観。
    著者も指摘するように、明朝の一元的な秩序・イデオロギーに抗して、多元勢力の強体制をつくりあげたものの、やがて画一・同化を強いる「近代」の到来に呑み込まれ、存在理由を失い去った清朝の歴史は、現代の東アジア情...続きを読む
  • 叢書 東アジアの近現代史 第1巻 清朝の興亡と中華のゆくえ 朝鮮出兵から日露戦争へ
    清は満洲人の国でありながら、明代の漢人の支配体制を利用し、新疆も含め、間接的な統治というか、連邦国家的な支配体制だったと理解しました。
    やはり華夷秩序の思想が連綿と続いていることも分かりました。
  • 中国の論理 歴史から解き明かす
    隣国中国の「論理」を理解するためには、歴史に学ばなければならないが、日本人の中国に対する歴史認識には心許ない部分がある。本書は中国の「論理」を、謎の国・中国の「史学」(儒教と史書という大枠)、社会と政治(士と庶の分別)、世界観と世界秩序(天下と華夷)という視角から定位を試み、そして「近代の到来」、「...続きを読む
  • 近代中国史
    非常に面白かった。専門書ならあるのだろうけど、こういう視点での中国史は読んだことがない。
    経済に詳しくなくてもわかりやすいと思う。
  • 袁世凱 現代中国の出発
    袁世凱のイメージが変わった。確かにこれまでのイメージは幼稚な見方だという気がする。
    あと、文体がとても好き。