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周防の村医から一転して討幕軍の総司令官となり、維新の渦中で非業の死をとげたわが国近代兵制の創始者大村益次郎の波瀾の生涯を描く長編。動乱への胎動をはじめた時世をよそに、緒方洪庵の適塾で蘭学の修養を積んでいた村田蔵六(のちの大村益次郎)は、時代の求めるままに蘭学の才能を買われ、宇和島藩から幕府、そして郷里の長州藩へととりたてられ、歴史の激流にのめりこんでゆく。
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Posted by ブクログ
日本の幕末史の知識が浅かったのでちょっと勉強も兼ねて。(あくまで時代”小説”ではあるが) 司馬遼太郎の描く歴史上の偉人たちの中でも、なんとなく筆者のお気に入りかなと思われる人々はだいたい無骨で偏屈な奇人が多い気がする。それがなんともまた魅力的なキャラクターに思えるが。 長州、宇和島、長崎、大阪、どこ...続きを読むも改めて訪れてみたくなった。各地の史跡を訪ねて150年前に想いを馳せる旅がしたくなるほど、当時の熱、激動、時代のうねりが伝わってくる物語。中巻がはやく読みたい。
この本を読むまで、大村益次郎という人物は名前を聞いたことがある程度だった。 西南戦争を含む明治維新を、合理主義に徹して締めくくった姿は感動的でさえあった。 「西郷隆盛とは相打ち」という表現が印象的だった。
なかなか知られていない大村益次郎が題材。 萩の町医者だった村田蔵六が医者修行で緒方洪庵の適塾に行ったことが彼の運命を変えてしまう。 技術者であり続け、目立ちたがることなく、ひたむきに技術を極めようとした村田蔵六に日本人の美学を感じた。
学生時代、チリで知り合った銅鉱山の技術者から「これを読まずして日本人じゃない」とまで言われて読んだ本。 結果、司馬作品の中で最も好きな本となった。天才的な技術者・大村益次郎(村田蔵六)。 大きな船が動くことに感動した殿様に向かって「技術とはそういうものです」というくだりが一番のお気に入り。
うーん、これはすごい。技術者としての生き方を極端に振り切るとこうなるのか… しかしそれを見抜いて適所につけた人々のすごさ。司馬遼なので、蔵六の学問のどこがすごかったかとか、どうやって見抜いたか、というところのエピソードは抑制気味で、物足りない気もするけど、そういうとこは抑え気味で余談山盛りが司馬遼だ...続きを読むなあ。次は何を読もう。
大村益次郎もといい村田蔵六という男の生涯を描く小説の上巻。 村医者の子に生まれ、まずは医学書生からスタートし、やがて宇和島藩に仕えて兵法の本の翻訳の仕事につき藩士身分を収得し、やがて幕府の学問所勤務になり、これを知った出身藩の長州藩に仕えることになる。 医学からオランダ語を学び、オランダ語の翻訳を通...続きを読むして兵法、蒸気機関等を学ぶことになった。 けっこう不思議な男の生涯。
周防の村医から倒幕軍総司令官になり、明治に我が国の近代兵制創始者となった大村益次郎の生涯を描いた作品。初めて読んだが、とても面白かった。適塾の緒方洪庵や福沢諭吉が登場する。適塾で蘭学の修養を深め、その蘭学の才で宇和島藩で士分に取り立てられ、幕府の教授にまで登りつめる。さらに長州藩に取り立てられ、師匠...続きを読むの緒方洪庵が亡くなったところで上巻は終了。明治維新回天はこの人の活躍を見逃せないので、今後も楽しみです。
主人公である村田蔵六と彼を取り巻く人々の様子が生き生きと描かれている。適塾の師である緒方洪庵、シーボルトの娘イネ、イネの保護者である二宮敬作、適塾の後輩にあたる福沢諭吉など。各人物の気質、性格と蔵六との関係が細やかに説明されていてとても面白い。 特に印象的だったのは宇和島藩時代のエピソード。藩主伊...続きを読む達宗城の命で蒸気機関を造った嘉蔵と接するくだりだ。 身分の低いちょうちん張りの男が、何の知識もないところから、自分の経験と想像力だけで蒸気機関のもとになるカラクリを造った。それを目にした蔵六がこう思う。以下引用する。 “蔵六がむしょうに腹が立ってきたのは、これに驚嘆したあとだった。嘉蔵がヨーロッパにうまれておればりっぱに大学教授をつとめているであろう。それを思えば、嘉蔵の身分のあわれさもさることながら、もっと大きいものへの腹立ちを感じたのである。” 幕末、名を残した人々の活動の根底には必ずこうした思いがあるように感じる。後に倒幕軍の総司令官となる大村益次郎のやはり原点がこのあたりにあるのではないかと思う。
大村益次郎という人を知った。日本の偉大なる祖の一人だな。この人が太平洋戦争の時にいたら、、、とか考えちゃいたくなりますよね。そしていまいたら。。。
時は幕末、医学を修めるために適塾で学んでいた村医の息子の大村益次郎こと村田蔵六が、ひょんなことから官軍の陸軍総司令官になってしまうという波瀾万丈なお話。不器用無愛想、徹頭徹尾の合理主義者で相当な変わり者。新技術を貪欲に学びながらも、保守的な面も持っているなど、人物設定が細かくて面白い。シーボルトの娘...続きを読む、イネとの関係も見どころですね。
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