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書店員おすすめはコレ!傑作デスゲーム漫画16選【注目作品から定番まで】

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書店員おすすめはコレ!傑作デスゲーム漫画16選【注目作品から定番まで】

※2020/10/13:『多数欠』『出会って5秒でバトル』『BTOOOM!』を追加しました。
何者かの意思によって、強制的に一つの場所に集められた登場人物たちが、提示されたルールに沿って、生還のために命のやり取りをする。それが「デスゲーム漫画」です。密閉空間や異世界といった逃げ場のない場所で戦わされることが多く、濃密な人間ドラマと緊張感あふれるストーリーが展開。いったいここはどこなのか、黒幕は誰なのか、といった謎解き要素も、大きな魅力です。生き残るために参加者を殺すか、それとも協力して黒幕に抗うか。今注目の作品から定番まで、バラエティ豊かな16作を紹介します。

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『生贄投票』

生贄投票

完結『生贄投票』 全7巻 江戸川エドガワ・葛西竜哉/エブリスタ・講談社

1人の犠牲者を投票で決めるスマホアプリが、クラスに恐怖をもたらす

葛西竜哉先生の小説を原案に、江戸川エドガワ先生が漫画化。電子書籍でも高い人気を集める、イチ押しのデスゲーム漫画です。

夜中の12時ちょうどにインストールした覚えのないスマホアプリ「生贄投票」が立ち上がり驚いた、女子高生の今治美奈都。アプリの内容は、クラス全員の名簿の中から自分以外の1人を“生贄”に選ぶというものでした。生贄には、“社会的死”が与えられるという説明がありながら、美奈都は深く考えずに入山環奈の名前をタップしてしまいます。

入山環奈はスクールカーストの最上位に位置する2年C組の女王。半年前に転校してきた美奈都は、環奈のグループに入ることができたのですが、女王の従者のような立場でした。結果発表時間に指定されていた翌日の正午。昼休み中のクラスで、一斉にアプリが立ち上がり、9票を獲得した環奈が生贄に選ばれたと報告されます。

“社会的死”の執行はさらにその24時間後。環奈は彼氏とのあられもないセックス動画をネットにさらされ、そのショックで学校を飛び出して、車に轢かれてしまいます。

強制インストールされたスマホアプリや、現実のLINEに似た「マイン」による友達とのやり取り、スクールカーストの裏に潜む生徒たちのどす黒い感情など、小道具やモチーフに現代性があって、読みやすい作品。24時間後の“社会的死”を回避するためには、生贄本人とクラスメイトの協力が必要という設定もあり、友達のことを本当はどう思っていたかが露わに。物語が進むにつれて生徒の目つきが陰湿になっていきます。

直接的な死ではなく、誰にも知られたくない自分の恥部がネットにさらされるという“社会的死”がもたらされるというのが、むしろ恐怖を高めているのも特徴。「生贄投票」をナビゲートするアプリ内のキャラ“生贄君”も凶悪で、毒のこもったセリフと狂気じみた笑い声で生徒たちの精神を冒していきます。

なぜ、美奈都が属する2年C組だけが狙われているのか。そこには元担任教師・二階堂ありさの自殺が関係していました。美奈都が転入する前に起こった学級崩壊と、ありさの悲劇が次第に明らかになる中、いったい誰が「生贄投票」アプリを作り、復讐をおこなっているのか、美奈都は謎に迫っていきます。

事件が解決したかに見えても、新たな展開が。「生贄投票」は、最後まで恐怖と混乱を巻き起こし続けます。

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『多数欠』

多数欠

『多数欠』 1~5巻  宮川大河/マイクロマガジン社

頭脳と超能力がぶつかり合う新感覚デスゲーム

突如始まったデスゲーム「多数欠」に巻き込まれた人々。毎日午前0時に二択の質問が発表され、「多数」派が「欠」ける=死ぬという不条理なルールの中で、高校生の成田実篤(さねあつ)が仲間とともに決死の戦いを繰り広げます。ゲームを取り仕切る謎の人物「皇帝」との面会権を賭けたゲームの結末は——!?

今作に深みを与えているのは「多数欠」というゲームそのもの。モニターに表示される「今これを見ているか」「東京都民か」といった無機質な二択の質問、そして少数派が生き残る=確実に人類の数が減る設定がなんとも不気味です。質問は特定の条件下で応募されたものから採択される、参加者はなんでもアリの超能力「特権」&「権利」が使える、などのルールも特徴的。運だけでは絶対に生き残れない、チーム戦、頭脳戦、そして人智を超えた力のぶつかり合いが醍醐味の新感覚サバイバル頭脳アクションです。

もちろん、生き残るために敵味方が入り乱れて騙し合う、デスゲームそのものの面白みもたっぷり。友情を死守したい者と、「確保権」「拒否権」といったより有利な「特権」を持つ人間を得ようと裏切る者が交錯し、謎解き要素が多いので、脳みそフル回転で楽しめます。また、仲間との強い絆も見どころの上、さっぱりとした絵柄なので、デスゲーム初心者や「グロはちょっと……」という方にもオススメです。

2020年9月末現在では、第3部が漫画アプリ「GANMA!」にて連載中。完結済みのWEB版以降の物語が読めるようになっています。コミックス派の方は、読者の多数決で決まったという表紙やロゴにもぜひご注目ください!

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『出会って5秒でバトル』

 出会って5秒でバトル

『出会って5秒でバトル』  1~14巻  はらわたさいぞう・みやこかしわ/小学館

異能を使って生き残れ!

白柳啓(あきら)は、全国トップレベルの成績を誇る高校1年生。ゲームだけが救いの退屈な毎日は、自称マジシャンの少女・魅音の出現で一変します。
魅音に一度“殺され”、奇妙な施設に隔離された啓。そこには同様に戸籍を剥奪され、それぞれ異なる“能力”を与えられた人々が実験モニターとして集められていました。能力を駆使してさまざまなプログラムやクエストを戦い抜く啓と仲間たち。異能が飛び交う頭脳バトルの結果やいかに?

転生なしの異世界漫画のような雰囲気で、キャラクターたちに与えられた多様な能力がユニークです。「棒を剣にする」「2秒間無敵になる」などの能力がある中、啓に与えられたのはちょっと特殊な力。抜群の頭脳の持ち主でなければ持て余すだろう能力を、啓が冷静に使いこなす様にワクワクします。物理系チート能力の持ち主である女子高生・ユーリと啓のコンビも魅力的。

話が進むほどにプログラムの難易度は上がり、ステージも壮大に。キャラクターも多く登場しますが、綺麗で見やすい絵のためで混乱なく読み進められます。ゲームの謎について随所にヒントが散りばめられており、ミステリー感覚でも楽しめるはず。個性的なキャラたちの異能力バトル、ぜひお見逃しなく!

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『BTOOOM!』

BTOOOM!

完結『BTOOOM!』  全27巻  井上淳哉/新潮社

孤島で繰り広げられる“リアル版”ネットゲーム

無職の坂本竜太22歳は、爆弾で敵を倒すネットゲーム「BTOOOM!(ブトゥーム)」では世界10位のランカー。ある時ふと目を覚ますと、竜太は南の孤島で本物の爆弾とレーダーを使ったバトルロイヤルに強制参加させられていました。タイプの異なる爆弾、失われた記憶、左手に埋め込まれた謎のチップ、そして生きた人間を吹っ飛ばす罪悪感……。説明書のない残酷な殺人ゲームに最初こそ苦戦する竜太ですが、次第にリアル「BTOOOM!」の攻略法を身につけていきます。

ゲームクリアの条件は、自分以外の7人を殺してチップを集めること。さらにわずかな食料や他人の爆弾を奪おうと、頭脳や駆け引きを駆使した命がけのバトルが繰り広げられます。とある共通点を持つゲームの参加者もクセ者ぞろいで、生き残るためにはどんな手でも使う残虐さ、命がかかったゲームを心から楽しむ非情さにはゾッとするはず。極限状態の人間の心理や行動、爆殺シーンなどあらゆるものが緻密&グロテスクに描かれており、鳥肌が立ちます。

とはいえ謎解き部分もしっかりとあるので読みごたえは抜群。死と隣り合わせの状況で生きがいを、絶望の中に希望を見出し、仲間とともに危機を乗り越えた先で判明した真実とは――。
最終巻の26巻は「Right(友情編)」「Dark(真実編)」の2つがあり、ゲームのマルチエンディングのように2種類のエンディングが楽しめます。それでもまだ足りないという欲しがりさんは、連載中の『BTOOOM! U-18』(新潮社)へお進みください。

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『今際の国のアリス』

『今際の国のアリス』

完結『今際の国のアリス』 全18巻  麻生羽呂/小学館

4つのタイプに分かれた「げぇむ」に命を賭けて挑む

2010年から2016年にかけて連載され、単行本18巻で完結。多くのファンに支持されているデスゲーム漫画の新たな定番作品です。

荒廃した東京の街のように見える、現実とは異なる世界「今際の国」。18歳の有栖良平(通称アリス)は、チョータ、カルベという2人の友達とともに、そこに入り込んでしまいます。最初は無人となった街を散策し、コンビニで食料を調達したりボーリング場で遊んだりしていた3人。しかし、とある神社に足を踏み入れた時、異変は突然にやってきました。

その異変とは「げぇむ」。神社に設置されたモニターに「るうる」が表示され、それに沿って「くりあ」を目指すことを強制されたのです。同じ場所には、偶然居合わせた年上の女性シブキの姿も。3人より早く「今際の国」にやって来たシブキは、

「そのままだと、死ぬわよ!!」

と警告します。

アリス達が最初に体験した「げぇむ」はおみくじを引くこと。おみくじには答えが数字となるクイズが書かれていて、間違えると正解との誤差の分、火矢が飛んでくるというものでした。最後の問題で億単位の誤答をしてしまった彼らは、何時間も火矢の嵐にさらされることに。アリスの機転によってなんとか生還した彼らは、「今際の国」の「げぇむ」の過酷さを身をもって知るのでした。

本作の魅力として、まずは「げぇむ」の多彩さが挙げられます。難易度と傾向がトランプによって示される「げぇむ」。たとえば最初の「おみくじ」は「♣3」。♣はバランス型で、他の参加者との協力が大事。3は難易度で比較的易しいということです。♠は体力が求められる肉体型、◆は知能型、そして♥は心理型。この中でもっとも恐ろしいのは♥で、人間の生存本能を逆手に取った非道の「るうる」が、参加者の心を破壊していきます。
また、「げぇむ」を「くりあ」すると「びざ」が発行され、その期限が切れると、空から放たれたレーザーで殺されてしまうという決まりも。つまり、「今際の国」で生き残るためには、「げぇむ」に参加し「くりあ」し続けなければいけないのです。

次に魅力として挙げたいのはキャラクター達の人間ドラマ。まず、異世界に友人3人で入り込むというスタートからして、過酷な状況の中で生まれる絆を描こうとする作者の意図を感じます。チョータ、カルベ、シブキとは、とある理由で別れなくてはならなくなるアリスですが、やがて彼の前には本作のヒロイン・ウサギが登場。時に力を合わせ、時に反発しながら、デスゲームを生き延びていきます。アリスは観察眼と洞察力に優れた少年で、「げぇむ」の度に悩みながらも成長していく姿が、清々しく描かれています。

続編として『今際の路のアリス』も。こちらも完結していて、ラストまで味わえます。

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『奴隷区 僕と23人の奴隷』

『奴隷区 僕と23人の奴隷』

完結『奴隷区 僕と23人の奴隷』 全10巻 岡田伸一・オオイシヒロト/双葉社

他人を奴隷にできる器具が人間の欲望を露わにする…

岡田伸一先生の小説をオオイシヒロト先生が漫画化。2014年には秋元才加さんと本郷奏多さんの主演で実写映画となり、2018年春にはTVアニメ化もされた人気作です。

本作の中心となるのはSCM(Slaave Control Method)という器具です。口の中にセットする歯列矯正器のようなもので、脳波に働きかけることによって他人を奴隷にできる能力を持つ、恐ろしくも魅力的なアイテム。ネットを介して販売されたそれを手にした人々が、主人になるか奴隷になるかを巡って争い合うというのが、おおまかなストーリーです。

SCMをはめた者同士が勝負をして、勝てば主人に、負ければ奴隷になるというのが基本的な仕様。主人の命令は絶対で、いきなり「SEXをしろ」と言われても奴隷は拒否できません。しかし、「死につながる行為はさせられない」とか「奴隷の『感情』を操ることはできない」といった制限もあります。また、奴隷を持つ主人が勝負に負けると、支配されていた奴隷達もそのまま、新たな主人のものになる決まりも。たとえば10人の奴隷を持つ主人に勝てば、一気に11人の奴隷を得ることができるのです。

主人公はショートヘアの知的な女性・荒川エイア。友達の元カレ・太田ユウガからSCMの存在を知らされた彼女は、一緒に主人と奴隷の戦いに参加してほしいというユウガの頼みを受けて、彼の補佐役になります。最初はSCMの装着を拒んでいたエイアですが、事態が深刻化するに従って、自らも使用者に。

物語には24人のSCM使用者が登場。立川シンノスケという1人を除いて、全員の名字が東京23区の名称となっています。自分をレイプした男に復讐するためにSCMを装着した杉並ルシエ、目当てのホストを独占したい豊島アヤカなどなど、ストーリーが進むごとにキャラクターが増え、それぞれにスポットライトを当てた群像劇として描かれていきます。やがて、多くの奴隷を従える謎の人物リュウオウが暗躍をはじめ、エイアとユウガはその正体を暴こうと行動を開始します。

他人を従えたい、思うままに操りたいという人間ならではの欲望が、ドラマを生み出す本作。奴隷の感情は操ることができないので、勝負に負けて主人ではなくなった時に、痛いしっぺ返しが来ることも。逆に、SCMの効力がなくても、その人の奴隷であり続けたいと願う女性キャラもいて、人の心の複雑さを味わえます。また、登場人物の多くが社会人であることも特徴。恋愛が絡んだり、お金や社会的地位が絡んだり、大人が少年少女にかしずくシチュエーションもあって、心理描写は実に読み応えがあります。

終盤には、SCMがなぜ誕生したのかも判明し、禍々しいラスボス的キャラが登場。続編『大奴隷区 君と1億3千万の奴隷』では、SCMを巡る戦いはさらなる拡大を見せています。

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『NOT LIVES -ノットライヴス-』

『NOT LIVES -ノットライヴス-』

完結『NOT LIVES -ノットライヴス-』 全10巻 烏丸渡/KADOKAWA

アバターの少女の体内に入り込んで戦うデスゲーム漫画

一見するとデスゲーム漫画とは思えない、キュートでスタイリッシュな絵柄の表紙が特徴の本作。ヒロインの天宮鏡花をはじめ、かわいい女の子がたくさん登場しますが、ストーリーはかなりハードです。

舞台となるのは、謎のゲームソフト「NOT ALIVE」。プレイヤーとアバターがコンビを組んで、対戦相手と戦うというゲームです。ゲーム好きの高校生・三神シゲルは、ある日、「NOT ALIVE」のディスクを偶然手にして、ゲームの内容を全く知らないまま、半ば強制的にユーザー登録されてしまいます。

ゲームのフィールドは時間が止まった現実空間。プレイヤーは意識だけの存在となり、アバターの体内に入り込みます。三神のアバターとなったのは、小柄な美少女・天宮鏡花。自作のゲームを企業が買ってくれるほどのゲーム通である三神は、すぐに「NOT ALIVE」のルールやゲーム特性を理解し、鏡花と力を合わせて初めての敵を倒したのでした。

攻撃された時の痛みすら感じられる、未知のゲームに出会ったことに興奮する三神。しかし、「NOT ALIVE」は彼の想像を超える過酷なデスゲームでした。アバターも生身の人間であり、対戦に負ければゲームマスターによって即刻、消去(デリート)。そして、プレイヤーが次なるアバターとなる運命に。天宮は過去に「NOT ALIVE」で負けた元プレイヤーであり、この先、一度でも負ければ彼女は消されてしまうのです。

アバターによって得意とする武器の種類が違ったり、ストリートや学校、遊園地など、あらゆる現実空間がバトルフィールドになったり、勝利してポイントを貯めると特殊な「スキル」を買うことができたりと、ルールはまさにコンピューターゲームなのですが、プレイヤー間の裏切りや欺し合いもあり、バトルには生々しさが。天宮は人間離れした体力とパワーの持ち主で、その謎も物語の伏線になっています。

ゲームをクリアし、「NOT ALIVE」からの解放を目指して戦う三神と天宮。二人の絆が、爽やかに描かれているのも読みどころです。

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『ダーウィンズゲーム』

『ダーウィンズゲーム』

『ダーウィンズゲーム』 1~21巻  FLIPFLOPs/秋田書店

警察や政府もデスゲームに絡み、壮大な物語が展開する

高校生のスドウカナメは、友人からの救援要請を受ける形で、携帯ソーシャルアプリの「ダーウィンズゲーム」に登録します。すると、下校途中の電車の中で他のプレイヤーからの対戦申し込みが。OKのボタンを押すと、突然、同じ車両に包丁を持ったパンダの着ぐるみが現れて、彼に斬りつけてきたのでした。

プレイヤー同士が命を賭けたバトルを繰り広げる「ダーウィンズゲーム」。その内容を全く知らずに登録してしまったカナメが、果てしない戦いに身を投じていくのが本作です。「ダーウィンズゲーム」の特徴は、プレイヤーに「シギル」と呼ばれる異能力が与えられること。たとえば、カナメの最初の敵となったパンダ姿の“バンダ君”は、自分の姿を短時間透明にできる「隠形(ステルス)」、2番目の敵となった美少女シュカは、鎖やワイヤーといった紐状の構造物を自在に操る「棘薔薇の女王(クイーン オブ ソーン)」というシギルの持ち主です。一方のカナメは、触れた銃やナイフなどをコピーして実体化するレアなシギルを得ることになります。

プレイヤー同士の対戦や、ゲームマスターが仕掛けるイベントバトルに参加して、ポイントを稼いでいくというのが、「ダーウィンズゲーム」のおおまかな流れ。相手を殺せば対戦終了ですが、自らのポイントを払って「降参」することも可能です。そして、バトルで死んだプレイヤーの遺体はゲームマスターによって処理され、現実の世界では行方不明扱いに。多くの行方不明者が出て、その痕跡が謎めいているため警察が捜査を開始。物語が進むと、日本政府や米軍までが「ダーウィンズゲーム」に絡んできます。

プレイヤー同士が集まってクラン(血盟)と呼ばれる組織を作り、集団で戦うのも本作の面白いところ。シュカに気に入られたカナメは、彼女の協力を得て「サンセットレーベンズ」というクランを作り、いくつもの凶悪なクランに対抗します。

最初は普通の高校生だったカナメが、クランのリーダーとなり、過酷な戦いを繰り広げることでカリスマ的なプレイヤーに成長する姿も見どころ。最初の舞台は現代の東京ですが、やがて時空の違う世界に飛ばされるような展開も。壮大でミステリアスな物語は読み応えがあります。

▼『ダーウィンズゲーム』に関してより詳しく知りたい方はこちら!
『ダーウィンズゲーム』とは? 読み出すと止まらない極限異能力バトル【ネタバレ注意】

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『少年Y』

少年Y

完結『少年Y』 全8巻 とうじたつや・ハジメ/秋田書店

クラスメイトの誰を助け、誰を見捨てるか。命の選択を迫られる

死んでしまったクラスメイトの誰を生き返らせるのか。主人公がそんな「命の選択」を迫られる異色の“逆デスゲーム”漫画。原作のハジメ先生は、アニメ化もされた『バーナード嬢曰く。』『オンノジ』といった代表作を持つ施川ユウキ先生の別名義です。

転入先の学校になじめるか否か、ドキドキしながら初登校した中学2年生の栗原ユズル。しかし、ホームルーム中の教室に入ると、直前まで騒がしくしていたクラスメイト達が、全員倒れて死んでいたのでした。驚きのあまり絶叫するユズルの前に現れたのは、謎の少女・ワビコ。彼女は自分を「神さま見習い」だと言い、神さまからのメッセージを読み上げます。それは「5分以内に生き返らせるべき価値がある人間を1人だけ選んでください」というもの。ユズルは、見ず知らずの新しいクラスメイトの命に、順番を付させられることになったのでした。

ユズルが選んだのは、クラスで唯一、胸に名札を付けていた山崎匡。直前まで不登校児だったという少年で、ユズルのいいパートナーになっていきます。そんな2人の前に次々に現れるのが、中学生の姿をした7人の神様。ユズル達は神様が仕掛けるゲームに参加し、自らの身を危険にさらしながら、クラスメイトの命を救うために奮闘します。

生き返らせる候補からユズル達が選ばなかった生徒は、魂を破壊され、生き返りのチャンスを永遠に失うというのが、ゲームのルール。結局はクラスメイトの誰を見捨てるかを選ばされているわけで、ユズルも匡も精神的に追い込まれていきます。しかも、ゲームの内容は肉体的にも過酷なもの。切り刻まれ骨を折られる強烈な描写もあり、神様の狂気が伝わってきます。

なぜ、ユズルは「命の選択」を迫られるのか? 神様達の上にいるゲームの黒幕はどのような存在なのか? それらの謎は最終巻で見事に回収されることに。巧みな物語の構成も本作の大きな魅力です。

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『天空侵犯』

『天空侵犯』

完結『天空侵犯』 全21巻 三浦追儺・大羽隆廣/講談社

高層ビルだけの異世界を、「仮面」と戦いながら生き抜く

高層ビル群を舞台にしたサバイバルアクション。作画はボクシング漫画『ボックス!』の大羽隆廣先生。謎だらけのストーリーと迫力のアクション、そして美少女キャラも多数登場する、見どころたっぷりのデスゲーム漫画です。

主人公は16歳の女子高生・本城遊理。学校にいたはずの彼女が、いつの間にか立っていたのはビルの一室でした。そして目の前には、斧で人を殺したばかりの、笑い顔の「仮面」をかぶった男が。必死で逃げ回る遊理が屋上に出ると、高層ビルばかりがどこまでも建ち並ぶ、現実の東京にはありえない風景が広がっていたのでした。パニックになった遊理がスマホで兄に電話をかけると、なんと通話が繋がります。頼れる兄もこの世界にいると知り、遊理は生きる希望を取り戻すのです。

地上には決して降りられない高層ビルばかりの世界。ビルとビルは吊り橋で繋がっていて、移動手段は徒歩でそこを歩くことのみ。「仮面」は無数に存在し、バットや日本刀、銃などを手に、この世界に入り込んだ人間達を襲います。追いつめられて絶望した人間が、ビルから飛び降りて自殺するシーンが何度も描かれ、自分だけが助かりたいと考える人間同士の醜い争いも起こります。

信頼できる仲間を探し、この世界を生き抜こうとする遊理の前に、同じく女子高生の二瀬真由子が登場。最初は疑心暗鬼だった関係が、幾度も危機を乗り越えることで絆に変わっていきます。遊理と真由子の物語と並行して、なぜか「仮面」に襲われない能力を持つ新崎久遠や、兄の理火の動向も描かれ、少しずつ、この世界や「仮面」の謎が分かっていきます。

メインキャラの人間的な魅力も本作の特徴。遊理は銃の使い手としてどんどん強くなり、真由子はとある理由で超人的な身体能力を得ることに。兄の理火や、言葉を話し、久遠と行動をともにするスナイパー仮面もかっこいいキャラクターです。

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『カラダ探し』

『カラダ探し』

完結『カラダ探し』 全17巻 ウェルザード・村瀬克俊/集英社

少女の姿をした「赤い人」に何度も殺されるホラー

今回紹介する中で最もホラー要素が強いのが本作です。舞台となるのは県立逢魔高校。この学校には「赤い人」にまつわる怪談がありました。放課後、校舎の中で1人になった生徒の前に現れる「赤い人」。その姿を見たら、校門を出るまで決して振り返ってはならず、もし後ろを見てしまえば、体を八つ裂きにされて校舎に隠されるというのです。

怪談にはさらに続きがあり、「赤い人」に殺された生徒は、翌日、クラスメイトの前に現れて「私のカラダ探して」と言います。そして頼まれた側は拒否できず、8つに分かれたカラダを全て見つけるまで、「カラダ探し」を続けなければいけないのでした。

主人公・森崎明日香たち6人の男女は、クラスメイトの遥から「カラダ探し」を頼まれることに。気味悪く思いつつ信じてなかった明日香でしたが、夜の12時になると、自宅から校舎前に強制転移させられたのでした。周りには遥から声をかけられた残りの5人の姿も。校門は見えない壁に阻まれ、携帯も圏外。戸惑う彼らの前に、本当に「赤い人」が現れ、その姿を振り返った明日香は無残にも首を落とされて殺されてしまいます。

何度、「赤い人」に殺されても、時間が戻って同じ朝に目覚め、昼に遥に「カラダ探し」を頼まれては、夜に校舎に飛ばされる。そして何度も「赤い人」に殺される無限ループが本作のポイントです。「赤い人」は少女の姿をしていて、不気味な歌を歌いながら明日香たちを探し、怪力で人体を引き裂きます。時にみんなで協力し合い、時に人間関係をこじらせながら、なんとか「カラダ探し」と「赤い人」の謎を解こうとする明日香たち。物語は三部構成になっていて、「カラダを探して」と頼む側と頼まれる側のメンバーが入れ替わりつつ、最終的な解決に向かっていくことに。

ウェルザード先生による原作小説を、村瀬克俊先生が独自の解釈もまじえながら漫画化。17巻で完結し、続編の『カラダ探し 解』が全5巻で配信されています。

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『未来日記』

『未来日記』

完結『未来日記』 全12巻 えすのサカエ/KADOKAWA

未来を記す日記を持つ12人が、神の座を巡って戦う

90日先までの出来事が自動的に記される「未来日記」。その12人の持ち主が、時間と空間の神「デウス・エクス・マキナ」の後継者の座を巡って殺し合いを繰り広げるのが本作です。2011年にTVアニメ化、2012年にTVドラマ化された人気作で、デスゲーム漫画の定番の一つに挙げることができます。

主人公は、中学2年生の天野雪輝(アマノユキテル)。クラスの誰とも友達になろうとせず、自分が見聞きした全てを携帯電話の日記に付け続ける「傍観者」でした。彼が語り合えるのは、自分が空想の中で作り出した時空王・デウス・エクス・マキナとその小間使い・ムルムルだけ。しかし、ある日、架空の存在だったはずのデウスから、「未来日記」を手渡され、さらに総勢12人の「未来日記」所有者と最後の1人になるまで戦うことを強制されます。

最初に接触してきた日記所有者は、同じクラスの美少女・我妻由乃(ガサイユノ)でした。実は雪輝のことが好きで、彼のストーカーだった由乃は、雪輝と一緒に3番目の日記所有者で通り魔殺人者の火山高夫と戦い、それ以降、行動をともにすることに。敵の顔も能力も全く分からない日記所有者との戦いが本格的に始まっていきます。

自分の身の回りの未来が無差別に分かる雪輝の「無差別日記」をはじめ、由乃の愛が詰まった「雪輝日記」、通り魔の火山が持つ「殺人日記」、刑事が持つ「捜査日記」、テロリストが持つ「逃亡日記」など、所有者の特性によって日記の名称が付けられ、発揮する能力が違うのが面白いところ。雪輝や由乃のような学生だけでなく、幅広い年齢層と職業の男女がしのぎを削ります。

また、本編の終了後に、『未来日記モザイク』『未来日記パラドックス』『未来日記リダイヤル』という3つの外伝、さらにはスピンオフショート4コマ『未来日記モザイク消し』も発表されています。

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『ドクムシ』

『ドクムシ』

完結『ドクムシ』 全6巻 八頭道尾・合田蛍冬/双葉社

呪術「蟲毒」をモチーフにした、スプラッタ度が高いデスゲーム漫画

クモやムカデなどを一つの壺に閉じ込めて共食いさせ、最後に残った1匹を用いて呪いをかける古代の呪術「蟲毒」をストーリーの中心に置いたデスゲーム漫画です。

気がつくと、全てのドアや窓が閉ざされた廃校にいた大学生のスギウラ・レイジ。同じ教室には他に6人の男女がいて、天井には監視カメラが。誰もが状況を把握できない中、最年長のオカルトマニア、イサカ・ユキトシが

「監視者が期待しているのはボクらの殺し合い。そして人食い」

と言い出し、「蟲毒」をたとえに挙げたのでした。その言葉をきっかけに7人の中に不信感と疑念が膨れ上がり、最初の犠牲者が出たことで、レイジ達の心のたがが外れ、凄惨な殺し合いが始まります。

食料が一切ない密閉空間。飢餓感がストレスと生存本能を高め、憎しみ合ったり、異性に対するドス黒い欲望が露わになったりと、醜悪な人間関係が描かれていきます。レイジを筆頭に集められた7人は、犯罪に関わる秘密を持った人物ばかり。常に上から目線で物を言い、殺し合いを煽るユキトシは「傲慢」、生き残るために異性を誘惑するキャバ嬢のアカネは「色欲」、そしてレイジは「怠惰」と、キリスト教の7つの大罪に繋がる属性が持たされています。殺人シーンのスプラッタ度はかなりのもので、飢えから逃れるための、倫理に反する行動も……。ホラーファンに、ぜひオススメしたい作品です。

2015年には実写映画化。また、続編の『ドクムシ the ruins hotel』が連載中です。

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『サツリクルート』

『サツリクルート』

完結『サツリクルート』 全7巻 MITA・吉宗/小学館

悪魔の能力を使いしのぎを削る就活デスゲーム漫画

悪魔から能力を授かった能力を使って就職活動し、内定が取れなければ死ぬという、異色の“就活デスゲーム”漫画です。

「スコーチド」と呼ばれる大恐慌の後、4大財閥が力を増し、現存する企業の約9割を傘下に収めてしまった日本。4大財閥の一つ・蓼丸財閥の次期CEOと噂される大学生・蓼丸カズヤは養父の死によって地位を失い、一般学生の身に落ちてしまいました。そんな彼の前に現れたのが悪魔のアガリ。カズヤは、一度でも不合格になれば即死亡という条件を受け入れ、就活に使える悪魔の能力「消失(デリート)」をアガリから授かります。

「消失(デリート)」とは、発動の直前にした発言を、自分以外のその場にいる全ての人間の記憶から消せる力。自分の失言を取り消したり、相手の発言を引き出した後で消すことで有意な受け答えができる、就活には強力な能力です。そんなカズヤの前に悪魔の能力を持つ就活生が続々登場。それぞれの力を活かして、負ければ死が待つ就活に挑んでいきます。

デスゲームを就活に限定したことで、登場人物たちは大マジメでも、物語はどこかコミカル。「殺戮こそが俺の就活(リクルート)だ」という名ゼリフを筆頭に、カズヤは中二病的な大げさな言葉を連発し、ドラマを盛り上げます。また、他の就活生と一緒に面接を受けるニコイチ面接や、議論の手腕を試されるグループ面接といった、具体的な就活現場での駆け引きが詳細に描かれていて、現実の就活生にとっては、意外に役立つ作品かもしれません。働き者の日本人にぜひおすすめしたい作品です。

『サツリクルート』を試し読みする

『シャッフル学園』

『シャッフル学園』

完結『シャッフル学園』 全5巻 ホリユウスケ/秋田書店

クラスの22人の心と体が入れ替わる中、惨劇が起こる

とある高校に入り込んだ殺人鬼とともに、2年2組のクラス22人全員が異空間に転移してしまったことから始まる惨劇を描いた作品です。

転移のきっかけは、警察が使った犯人確保用の新兵器「物質転送装置」の誤作動。しかも、異空間に行っただけでなく、同時に転移した全員の心と体が入れ替わってしまったのでした。つまり本作は、閉鎖空間を舞台にしたデスゲームにして、入れ替わり漫画。体と心がシャッフルされるという設定が、タイトルに繋がっています。

主人公はマジメで平凡な鈴森静馬。彼の心は、ハンドボール部のアスリート系女子・株本優の体に入り込んでいました。一方、静馬が恋するヒロイン・人見かなでの体にはなんと学校の飼い猫の猫の魂が。近くにいた数人と、中身が誰かを報告し合う静馬の前に、死体から剥いだ顔を被った殺人鬼が現れたのでした。そして、生徒達の隙を突いての殺戮が始まります。殺人鬼が誰に入り込んだのか分からないまま、死体がどんどん作り出されていきます。

本作の特徴は、とにかくスピーディなストーリー展開です。クラスメイトの死を悲しむ余裕もなく、次から次へと起こる惨劇。絵柄がポップなので、ひどい殺され方をしていても悲劇性が少なく、読者は作品のグルーヴ感に身を委ねることができます。第1巻のラストでは「生きてココを脱出できるのがたった2人」というラストを予告。そして、クライマックスの謎解きは意外性に満ち満ちています。

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『バトル・ロワイアル』

『バトル・ロワイアル』

完結『バトル・ロワイアル』 全15巻 田口雅之・高見広春/秋田書店

デスゲームの原点を、アクション重視で漫画化した名作

1999年に出版されて大きな反響を呼んだ、高見広春先生の小説『バトル・ロワイアル』。国からの命令に従って同じクラスの中学生同士が殺し合うという内容は、当時かなりセンセーショナルでした。2000年には深作欣二監督によって映画化され、これも大ヒット。本作は2000年から2005年にかけて連載された漫画版です。

大東亜共和国の国家的プロジェクト“プログラム”。それは全国から無作為に選んだ中学3年生のクラスを、最後の1人になるまで殺し合いさせるというものでした。今年選ばれたのは、主人公・七原秋也がいる城岩中学3年B組。離島に連れて行かれた彼らは、武器や食料が入ったバッグを渡されて、島に放り出されます。首には爆弾が内臓されたリングを付けられ、24時間以内に1人も死人が出なかったら全員が爆死するという縛りが設けられていました。

原作小説も映画も、凄惨な戦いが描かれていくのですが、漫画版はよりアクションを重視。中学生離れした身体能力を持つ生徒が何人も出てきて、銃やナイフで激しい戦いを繰り広げます。また、5年にわたる長期連載によって、各生徒の性格や過去も詳細に描かれることに。特に冷酷な殺人マシーンと化していく桐山和雄の存在感は目をみはるものがあります。

デスゲーム漫画の原点とも言える本作。時を経ても面白く、一気読み必至です。

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最後に

生死の淵に登場人物を追いつめることで、他人を犠牲にしても生き残りたいという人間の生存本能や、心の奥に潜んだ残虐性を露わにするデスゲーム漫画。その根底にあるのは、平和な日常ではなかなか得ることができない「生きる実感」を味わいたいという、作者と読者の両方が持つ欲求です。人間関係のストレスも多い現代社会、デスゲーム漫画は、疲れた心にとっての一種の逃げ場になっているのではないでしょうか。だからこそ、今後も絶えることなく描き続けられるジャンルのように思います。

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