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『アンデッドアンラック』の面白さを徹底解剖! 人気急上昇の理由は?

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『アンデッドアンラック』バナー

次から次へと、予想外の展開が飛び出してくる戸塚慶文先生の『アンデッドアンラック』。人の何倍も生きてきた「不死(アンデッド)」の男・アンディと、自分に触れた人に不運(アンラック)をもたらしてしまう少女・出雲風子がコンビとなって活躍する、バトルファンタジーです。
注目度がますます高まっている本作の魅力を、ぶくまる書店員が徹底解説します。

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『アンデッドアンラック』とは?

アンデッドアンラック

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『アンデッドアンラック』 1~4巻 戸塚慶文 / 集英社
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人気急上昇中の『アンデッドアンラック』

『アンデッドアンラック』冒頭部

『アンデッドアンラック』は、週刊少年ジャンプ誌上にて、2020年8号より連載がスタート。作者の戸塚慶文先生にとっては最初の連載作品になります。今年一気に注目を集め、「次にくるマンガ大賞2020」においてコミックス部門1位を受賞。2020年10月には、連載開始以来、初めて週刊少年ジャンプの表紙&巻頭カラーを飾りました。
公式略称は「アンデラ」。今後のさらなる盛り上がりが期待でき、巻数の少ない今だからこそ、チェックしておきたい作品です。

『アンデッドアンラック』の物語

『アンデッドアンラック』アンディの名乗り

自分に触れた人をみんな不運にしてしまう風子は、自らの体質を悲観して自殺しようとします。それを止めたのが、偶然、自殺騒ぎの場に居合わせた男アンディ。彼は「不死」の体の持ち主で、自分に死を与えてくれる誰かを探していたのでした。
風子を気に入って、自らのアジトに連れ帰ったアンディ。そこに黒いスーツを着込んだ集団が現れます。彼らは、対未確認現象統制組織“ユニオン”のメンバー。「不死(アンデッド)」のアンディや、「不運(アンラック)」の風子は“否定者”と呼ばれ、彼らにマークされていたのです。

ユニオンに命を狙われるアンディと風子。そこでアンディが考えたのは、逆に自分たちがユニオンに加わることで、否定者を狩る側に回ろうということでした。
そのために必要なのは、ユニオンの10人の否定者のうちの誰かを倒して、その座を奪うこと。アンデッドとアンラックの即席コンビの戦いが始まります。

『アンデッドアンラック』1巻を試し読みする

『アンデッドアンラック』のキャラクター

アンディと風子のコンビを中心に、パンチの効いたキャラクターが続々登場する『アンデッドアンラック』。それぞれの属性やキャラ同士の関係性などをわかりやすく紹介します。

出雲風子(いずも ふうこ)

『アンデッドアンラック』登場人物:出雲風子

18歳の少女で、「不運(アンラック)」の能力を持つ否定者。最初に自分の力を自覚したのは、両親の死でした。空港で風子をハグしてから旅立っていった両親は、270人の乗客とともに爆発事故に巻き込まれて帰らぬ人になってしまったのでした。その後も周囲の人の不運が続き、自殺を決意したときにアンディと出会います。
人との接触を避け、引きこもって生きてきたため、世慣れしていないピュアな性格。少女漫画好きで、アンディのちょっとした優しさやイケメンセリフに顔を赤らめてしまうのが、かわいいです。ショートへアとニット帽がトレードマーク。

アンディ

『アンデッドアンラック』登場人物:アンディ

「不死(アンデッド)」の能力を持つ否定者。年齢不詳ですが、少なくとも百年は生きていることが、セリフからうかがい知れます。自ら本名を語らず、風子がアンデッドから取って、アンディと名づけました。
どれだけ体がバラバラになっても死にませんが、服は再生されないため、戦いの中ですぐに全裸に。額に刺さっているカードは、過去の膨大な記憶を封じ込めるためのもので、それが外れるとどうなるかは、2巻で明らかになります。
決して善人とは言えないヒーロー、いわばピカレスクですが、女性に対しては意外と紳士的。

「お前が俺にホレて最大の不運をよこすまで お前は絶対に死なせねぇ」

なんていうセリフがポンポン飛び出し、ピュアな風子の心を揺さぶります。

ジーナ

『アンデッドアンラック』登場人物:ジーナ

触れた物の形の変化を否定する「不変(アンチェンジ)」の能力を持つ否定者です。50年前にアンディの捕獲に成功し、10年にわたって牢獄での管理を担当する中で、彼を好きになりました。しかし、40年振りに再会したアンディとは、“ユニオン”の否定者の座を巡っての殺し合いになっていきます。

シェン

『アンデッドアンラック』登場人物:シェン

「不真実(アントゥルース)」の否定者。対象となった人間を視認することで、意思とは反対の行動を取らせることができる能力で、シェンが相手を好きになったときだけ発動するという制限があります。飄々とした性格で、アンディと風子の“ユニオン”入りを最初に歓迎した人物です。

ジュイス

『アンデッドアンラック』登場人物:ジュイス

“ユニオン”の円卓に座る、10人の否定者の第一席。最終決定権を持ち、他の円卓メンバーからは「ボス」と呼ばれています。UMAバーンの加工物である「燃える剣」を武器に持ちます。相手の正義を否定する「不正義(アンジャスティス)」の否定者です。

タチアナ

『アンデッドアンラック』登場人物:タチアナ

円卓の否定者のひとりで、ロシア出身の幼い少女。常に巨大な球体のメカの中にいて、誰にも顔をさらそうとしません。球体のメカは能力を抑えるための拘束具で、解放されると町一つが消し飛ぶほどの攻撃力が発揮されるそうです。

ビリー

『アンデッドアンラック』登場人物:ビリー

円卓の否定者のひとり。スーツにサングラス、腰には二丁拳銃というハードボイルドな出で立ちですが、「ボク」という一人称を使い、口調は上品です。否定者の能力については、まだ不明。

トップ

『アンデッドアンラック』登場人物:トップ

円卓の否定者のひとりで、15歳の少年。尋常ではないスピードで走ることができますが、何の否定者なのかはまだ不明です。少年らしい快活な性格で、風子にもフレンドリーに接します。

ニコ=フォーゲイル

『アンデッドアンラック』登場人物:ニコ=フォーゲイル

情報収集を得意とする、円卓の否定者のひとり。50年前に“ユニオン”に監禁されたアンディの調査と拷問を担当していました。レーザー光線のようなものを発する黒い球体を操って戦いますが、否定者としての能力はまだ不明です。

一心

『アンデッドアンラック』登場人物:一心

円卓の否定者のひとりで、甲冑で身を固めた、無口な大男。否定者としての能力は不明ですが、自らを硬化する力があるようです。

フィル

『アンデッドアンラック』登場人物:フィル

円卓の否定者のひとりで、みかけはあどけない少年。しかし、手足はメカで、全身に古代遺物を仕込んでいて、戦闘力はかなり高そうです。

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『アンデッドアンラック』の世界を楽しむためのキーワード

現実によく似ていながら、現実とは違う世界が『アンデッドアンラック』の舞台。物語を楽しむ上で理解しておきたい、基本的な設定を紹介します。

否定者

『アンデッドアンラック』キーワード:否定者

世界には、創造主(神)が決めた「理(ルール)」があるというのが、本作の軸となっている設定です。しかもそれは創造主の意思によって、増やされていくもの。地球は今までの歴史の中で98回、理(ルール)を足され、その中には「性別」、「言語」、「人種」、「死」などが入っていたと言います。そして否定者とは、「理(ルール)」を否定する能力を持つ存在。たとえばアンディの「不死(アンデッド)」は、創造主が決めた「死」を否定して生き続ける能力です。

対未確認現象統制組織“ユニオン”

『アンデッドアンラック』キーワード:対未確認現象統制組織“ユニオン”

否定者やUMA(ユーマ)といった未確認な存在を管理する組織。かなりの規模を誇りますが、その成り立ちや母体は今のところ不明です。さらに、“ユニオン”中に10人の否定者で構成された特殊チームがあり、世界中に点在する否定者やUMAの捕獲、討伐の任務についています。

古代遺物(アーティファクト)

『アンデッドアンラック』キーワード:古代遺物(アーティファクト)

遺跡などから発掘される、超常的な力を持つ古代の遺物。いわゆるオーパーツです。地球で最初に見つかった古代遺物「黙示録(アポカリプス)」は、なんと言葉をしゃべる本。しかも、創造主の代弁者であるという、すごいアイテムです。また、シェンは自在に伸縮する棒状の古代遺物「如意金箍(にょいきんこ)」を武器として使っています。

課題(クエスト)

『アンデッドアンラック』キーワード:課題(クエスト)

「黙示録(アポカリプス)」が、“ユニオン”の10人の否定者に課す課題。世界中に散らばるUMAや否定者の捕獲、もしくは討伐がその内容で、遂行できれば報酬が与えられますが、期日までに全クエストをこなせなかった場合は、人類全体に罰が下されます。

UMA(ユーマ)

『アンデッドアンラック』キーワード:UMA(ユーマ)

さまざま能力を持ったモンスターのこと。たとえば、2巻では服のUMA「クローゼス」が登場。人にとりつき自在に操る能力を持つクローゼスですが、アンディにとりついてしまったことで、逆に下僕に。戦いで破れても、すぐに再生する服として重宝されるようになります。

UNDER(アンダー)

『アンデッドアンラック』キーワード:UNDER(アンダー9

3巻から登場する、“ユニオン”の敵対組織。“ユニオン”と同じように否定者を捕獲し、「世界への復讐」という自らの目的のために使おうとしています。メンバーのひとり、眼帯の男リップは「不治(アンリペア)」の否定者です。

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『アンデッドアンラック』が人気の理由

『アンデッドアンラック』の人気の秘訣とは、いったい何でしょうか? ぶくまる書店員が考える4つの理由を紹介します。

王道の面白さと新しさの共存

『アンデッドアンラック』の魅力:王道の面白さと新しさの共存

ヒーローとヒロインが出会い、冒険を繰り広げる中で二人の絆が結ばれていく、ボーイ・ミーツ・ガールの物語。異能力を持つ者たちが、敵味方に分かれて戦うバトル要素。世界の運命を左右する壮大な設定。要所要所に挟まれる軽妙なコメディシーン。そんな少年漫画の王道を行きつつ、新しさを感じさせるのが、本作の一番の魅力です。
『アンデッドアンラック』の新しさとは、ずばりアンディの戦い方でしょう。千切れた手足を高速で再生することによって、銃弾代わりにしたり、ジャンプやダッシュをしたり。まさに身を切る戦い方は「不死(アンデッド)」の否定者ならでは。さらにすごいのが、刀を体に刺して、鞘代わりにしていることです。ここまでしておきながら、アンディには普通に痛覚があるとのこと。まさに規格外のヒーローです。

緻密に練りこまれた設定

『アンデッドアンラック』の魅力:緻密に練りこまれた設定

本作のストーリーの柱となるのは、言うまでもなく、「否定者」と呼ばれる異能力者の存在です。彼らの能力は、創造主が与えたこの世界の「理(ルール)」の何かを否定することができるというもので、その力が自分に働く「自己対象型」と、自分以外に働く「他対象型」に分けられます。たとえば、アンディの「不死」は、自分が不死になるので「自己対象型」、風子の「不運」は他人に不運な出来事を起こすので、「他対象型」です。
このようにキャラクターや世界に緻密な設定が与えられている本作。ちょっとしたセリフに、キャラクターの属性を示すヒントが含まれていたりするので、細部まで目が離せません。

ハイテンポな展開

『アンデッドアンラック』の魅力:ハイテンポな展開

ネタを出し惜しみすることなく、ハイテンポで物語が進んでいくのも、本作の大きな魅力です。その好例が、2巻の展開。“ユニオン”の円卓の否定者となったアンディと風子が、シェンとともにUMAスポイルの捕獲という最初の課題(クエスト)に向かうエピソードです。人間をゾンビ化する強敵スポイルとの壮絶な戦いから、アンディの中に潜む、もう一つの人格「ヴィクトル」が表に出てきて、物語は急展開。その暴走を止めるために、円卓の否定者全員が集結するという、意外な方向に転がっていきます。
読者の予想を遥かに超えていく展開はその他にも多々あり、飽きさせません。

次第に明らかになる否定者たちの能力

『アンデッドアンラック』の魅力:次第に明らかになる否定者たちの能力

物語の中で少しずつ明らかになっていく、否定者たちの能力。最初は情報がなく、闘いの中で分かってくる展開が多いので「この否定者は本当はどんな能力なのか?」と、一緒に推理する楽しさがあります。明らかになった瞬間に、能力とリンクした決めゼリフが出るパターンもあり、しびれます。
円卓の否定者も、まだ能力が明らかになってないメンバーが大半ですが、さらにアンダー側の否定者も登場。今後の展開に期待です。

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『アンデッドアンラック』の感想【ネタバレあり】

注目度がうなぎ上りの『アンデッドアンラック』。疾走感あふれる展開に魅了された読者の声をご紹介します!

続きが気になる作品
今ジャンプで特に楽しみな作品の一つ。テンポが良く、キャラクターの能力から来る性格や行動が見ていて面白い。バトルもドタバタな恋愛?もどちらも良い作品。
続刊を読んだ後に読み返すと新たな発見もあるので週刊で読んでる人にも是非オススメしたい。

最高の男女バディです!
最近のジャンプの新連載でイチオシです。
とにかく主人公とヒロインの関係が好きで、少女漫画みたいな空気が流れたりもするのにスケベが元気でいやらしくないところが最高です。胸に顔をうずめてるときよりもほっぺちゅーの方がえっちな感じがする少年漫画はなかなか出会えないのでぜひ読んでください!
ストーリーもとても練られているので読み応え抜群です!

触れた者に不運を呼ぶ少女・風子と、不死の体を持つ男・アンディ。世の理から否定された二人が出会う時、彼らを取り巻く運命が大きく変わり始める。
不死の体を不運なら殺せるかもという着眼点も面白いし、相手を不幸にする風子が全力で関われる相手が不死のアンディという関係性も絶妙。世界には否定されたその存在がお互いによって肯定される心地よさがいい。しかし、その果てには確実に死が待ち受けているという物語も憎い構成で、二人のドラマにどう決着がつくのか気になる。

「人の最大の変化は死」
「生まれ…死ぬ この最大の変化…いいよなぁ…!!」
このあたりのかけ合いが好き。死を悲劇ではなく、あくまで肯定的に人間賛歌として描いているのがいいなと感じる。

それにしても、愛して接するほど相手に不幸が訪れるって最凶のデレツンだよね。「勘違いしないでよねっ!」って言いながらタンクローリーが吹っ飛んでくるシーンは笑った。敵味方ともキャラがよく立ってるし、アクションや能力バトルも、ストーリーのテンポ感もよくて、1巻にして隙が無い面白さ。2巻からもう大きな変化が訪れるようで、これからどんな風に変わって死へと駆け抜けていくのか期待。
posted.by ブクログ

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終わりに

創造主から与えられる100番目にして最後の罰「ラグナロク」の存在が3巻で明らかに。その時点で罰は99番目まで到達しているので、「ラグナロク」はすぐそこまで迫っていることになります。そんな危機的状況にあって現れる、新たな強敵・UNDER。とにかく、どんどん前へ前へと進んでいくストーリーに圧倒される『アンデッドアンラック』。この勢いに乗るなら、今が最適のタイミングです!

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