『天国大魔境』序盤2巻をまとめて紹介!(ネタバレあり)
★2023年5月1日 追記★
TOKYO MXほかにて放送中、ディズニープラスで全世界独占配信中のアニメ「天国大魔境」。原作マンガも、月刊アフタヌーン(講談社)で連載が始まるやいなや、
作りこまれた世界観や、謎が謎を呼ぶ展開が読者のハートをつかみ続けています。
(アニメはBiSHが歌う主題歌も話題ですね!)
そんな大人気マンガ「天国大魔境」を詳細解説した、『ぶくまる』人気記事をプレイバック!
(原作2巻までのネタバレを含みますので、予めご了承ください)
2023年4月現在8巻まで刊行中です。
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かつて起こった“災害”により文明が衰退した日本で、「天国」と呼ばれる約束の地を探す少年と少女。彼らの探す天国とは何なのか? そもそも世界はどうして崩壊したのか――? どこかノスタルジックな風景を残す近未来日本を舞台にしたディストピアSFミステリー『天国大魔境』。『それでも町は廻っている』(少年画報社)の石黒正数先生の人気作です。
本作最大の魅力は、散りばめられた謎解きの面白さ! 『このマンガがすごい!2019』オトコ編堂々第1位を獲得した話題の作品を、2巻までに判明したさまざまな謎の振り返りを中心に紹介します。
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※当記事に記載の内容は全て「ぶくまる編集部調べ」です。また、当記事にはネタバレを含みます。
目次
謎がいっぱい!『天国大魔境』のあらすじと魅力
物語は、「壁に囲まれた施設」と「壁の外側の崩壊した日本」の2つの世界が平行して描かれていきます。
「壁に囲まれた施設」は、主人公のひとり、トキオが暮らす世界。そこでは10歳前後の少年少女たちが大人の監督を受けながら平和に暮らしており、彼らは壁の向こうのことは何も知らない様子。
そんなある日、トキオは
「壁の外を知りたいですか?」
というメッセージを受け取ります。
さらに予知能力を持つ少女ミミヒメから「壁の外から2人の人が来て、自分を助け出してくれる。そのひとりの顔がトキオにそっくり」と告げられ、外の世界へ興味を持つことに。
しかし施設を仕切る“園長先生”に外のことを聞くと、外の世界は「あさましい怪物がうごめく汚れた世界 地獄です」と一蹴されてしまいます――。
もうひとりの主人公マルは、「壁の外側の崩壊した日本」を旅する少年。ボディガードのキルコ=“おねえちゃん”とともに、「天国」という場所を探しています。東京を出発し、郊外を彷徨う彼らの手がかりは、その天国にはマルと同じ顔の少年がいるという情報のみ。
道々、“人食い”と呼ばれる不死身の魔物に襲われながらも、キルコが持つ出自不明の光線銃と、触ることで人食いを殺すことができるマルの特殊能力のみを頼りに、2人は手がかりを求めていきますが……。
影響された漫画家のひとりに、大友克洋の名前も挙げている石黒正数先生。『それ町』の日常系コメディから一転して、『AKIRA』を彷彿とさせるハードSF的な世界観が展開……と思いきや、そこはかとなく漂う牧歌的な雰囲気、差し挟まれるマルとキルコとの軽妙なやりとりで、構えることなく物語に引き込まれてしまいます。そして気づけば考察が止まらない――!
張り巡らされた数々の伏線が、ここからどのように回収されていくのか。ライトな漫画ファンからコアなSFファンまでもれなく考察厨に陥れている本作を、2巻までおさらいしていきましょう。
『天国大魔境』の登場人物
さまざまな人物が複雑に絡み合い、謎が謎を呼ぶ本作。抑えておきたい主要人物を整理します。
●壁の中で暮らす子どもたち
トキオ
マルと同じ顔をした少年。ある日、テスト中に「外の外に行きたいですか?」というメッセージを受け取り、壁の外へ興味を抱く。コナのことが好き。
タラオ
謎の病気で寝たきりの少年。トキオのことが好き。2巻で瀕死の状態となり、トキオに「ここから逃げて」と伝える。
ミミヒメ
予知にも近い能力を持つ少女。トキオに「トキオと似た顔の人物が壁の外からやってきて、助けてくれる」と告げる。
コナ
大人っぽい雰囲気を持つ少年。絵がうまく、見たことないはずの人食いの絵を次々に描いている。
クク
推定年齢10歳。驚異的な身体能力を持ち、他の子どもたちは入ることができない侵入禁止区域に出入りしている。
●外の世界の人たち
マル
15歳。不死身なはずの人食いを殺す特殊能力を持ち、ケンカも強い。「天国」と呼ばれる場所にいる自分と同じ顔の人物を探し出し、薬を打つように言われ旅をしている。その理由は不明。キルコのことが好き。
キルコ
自称18歳か20歳。便利屋として東京・中野で働いていた際、マルのボディガードとして雇われる。一見女性だが、マルがキルコを「話せる相手」として好きになったのには、ある理由が……。ネーミングセンスがない。
竹早桐子
弟・春希とともに孤児院で暮らし、浅草の電力車レースで活躍する選手だったが、5年前に人食いに襲われ、行方不明となる。
竹早春希
シスコンをこじらせた桐子の弟。桐子とともに人食いに襲われた。
稲崎露敏
春希が慕っていた孤児院のリーダー的存在。現在行方不明。災害で妹を亡くしている。
医者
孤児院に出入りし、人食いの研究や人体実験を行っていると噂されていた男。人食いに襲われた桐子と春希に何らかの処置を施し、行方をくらます。
少しずつ明かされるこの世界の謎
じらしながらも徐々に明かされていく作品世界。2巻までに判明したことをまとめます。
1巻でわかったこと
・壁に囲まれた施設の中で暮らす子どもたち
トキオたちが作物を育てたり勉強したりと平和に暮らす壁の中の世界では、自動掃除ロボットが走り、AIが勉強を教える高い科学技術が温存されている。壁を超えることは許されておらず、少数の大人たちが子どもたちを監督し、外の世界は地獄だと教育。子どもたちには運動能力や知能、芸術センスなど、それぞれ常人以上の特殊な能力が備わっている。
・壁の外は荒廃した日本
15年前に大きな災害があり、日本は崩壊。郊外の家にはいまだ死体がそのまま放置されていたりする。文明は衰退し、水や電気などの生活インフラも機能していない。生き残った人々は、過去の文明の遺物を掘り起こして生活している。
・“人食い”、“ヒルコ”と呼ばれる怪物がいる
頻度は低いが、人を食べる不死身の怪物が出現する。鳥のようなもの、魚のようなもの、透明になるものと、大きさ、形はさまざま。人食い、怪物、ヒルコ、化物と、人や地域によって呼び方はまちまちらしい。
・マルは人食いを倒せる
銃でも倒せない人食いに直接触れることで、急所をつぶすことができる能力を持つマル。その能力はキルコによって「マルタッチ」(センスゼロ)と命名された。しかし本人もなぜ自分にそんな能力が備わっているかはわかっていない。
2巻でわかったこと
・施設の中では奇妙な赤ん坊を育てている
ククに「本物の赤ちゃん トキオも見に行く?」とそそのかされて、施設の立ち入り禁止区域に侵入したトキオ。そこで培養されていたのは、人間の赤ん坊とは異なる奇妙な姿の生き物だった。
・ミーナと呼ばれるマザーコンピューター
施設は建物全体を管理するマザーコンピューターによって管理されている。ミーナと呼ばれるそのコンピュータとは会話も可能。女性の体を思わせるグロテスクな見た目をしている。
・キルコの正体は竹原桐子(体)+春希(脳)
キルコは、実は5年前まで電力車レースで活躍していた竹原桐子本人。しかし、弟の春希ともども人食いに襲われ際、2人とも瀕死の状態となり、理由は不明ながら桐子の体に弟の春希の脳が移植されたという。要するにキルコは見た目は女性、中身は男性。それを聞いて、キルコのことが好きなマルは大混乱……。
『天国大魔境』の感想
謎が謎を呼ぶ展開から目が離せない『天国大魔境』。読者からの感想をピックアップしてご紹介します。
面白いな~。
天国と外、二つのシーンに共通点を持たせつつ行ったり来たり。
大災害で滅んだ世界と、はびこる怪物、特殊能力を持ったキャラクターと、まあ、目新しいシチュエーションではないんだけど、石黒ワールド特有のひっくり返ってひっくり返って、またひっくり返って…でポンポン展開していくのが楽しい。
自分の想像しない答えにたどり着くんじゃないかと言う期待が大きい事もあって、1巻の期待値は高い。
このマンガがすごい!2019の男編1位ということで読んでみました。
流石に1位を取るだけあって面白いです。
退廃した近未来が舞台であり、AKIRA等へのオマージュを含んでいることは作者さんもインタビューでも語っていました。
内容は主に2つの舞台で話が進みますが、いつどのように交錯するのか。
また、個性的なキャラクターの過去も少しづつ明かされていきますが、想像以上の展開になりそうです。
今後の期待も込めて★5とさせて頂きました。
終わりに
今回は謎の考察に終始してしまいましたが、もちろん本作の魅力はそれだけにとどまりません。マルを守るのは(一見)女性のキルコという男女ペアながら、互いに信頼し合う2人のバディアクションとしても楽しめます。もちろん石黒先生本人が「姉萌え」と白状している通り、そんな2人のカップリングに萌えるもよし!
どこか肩の力が抜けた空気感も魅力の話題のハードSFミステリー。考察を巡らせながら、共に新刊を待ちましょう!