『うつヌケ』田中圭一が読んだ“キッカケ本”4冊
お下劣パロディ漫画家として活躍する一方、自身のうつ病脱出体験などをまとめた『うつヌケ』を刊行し、話題の田中圭一。
今回は、約10年間うつ病に悩んだ田中圭一が実際に読み、あらゆる“キッカケ”となった本4冊をセレクト。うつ真っ只中に出会い、うつ脱出のヒントになった本や『うつヌケ』執筆に関してヒントになった本など、田中圭一の背中を押した“キッカケ本”とそのポイントについて、田中圭一本人が紹介します。
うつの理解・脱出の“キッカケ”となった本 『自分の「うつ」を治した精神科医の方法』
完結『自分の「うつ」を治した精神科医の方法 薬に頼らず、心身ともに元気を取り戻すために――』 全1巻 宮島賢也 / 河出書房新社
うつトンネルの中にいたボクがコンビニで偶然出会い、うつ脱出のきっかけになった本です。特に効果的だったのが「アファメーション」(肯定的自己暗示)で、『うつヌケ』でも紹介させていただきました。それだけではなく「うつ」の正体についてや、「うつ治療」における薬の役割など、うつを構造的に理解できる良著です。作者の生い立ちから人生観まで、うつに関連する思想や考え方についてもわかりやすく物語風に説明してくれています。
マンガではないのですが、読みやすく理解しやすい文体で、うつの人でも頭に入りやすかった(少なくともボクにとっては)本です。
『自分の「うつ」を治した精神科医の方法 薬に頼らず、心身ともに元気を取り戻すために――』を試し読みする
『うつヌケ』をインタビュー形式にしようと決めた“キッカケ”のひとつになった本『サブカルスーパースター鬱伝』
完結『サブカル・スーパースター鬱伝』 全1巻 吉田豪 / 徳間書店

「サブカルで飯を食っている人が40代になると高確率でうつになる…」という噂を元にプロインタビューアの吉田豪さんが11名のサブカル者を取材した「うつインタビュー本」の草分けにして金字塔。『うつヌケ』執筆に際して、多くの人を取材して(インタビューして)様々なケースを紹介しようという方針になったのは、この『サブカル・スーパースター鬱伝』があったからです。
サブカル界隈の有名人が語る、うつの苦しさや対処の方法など、興味深くて内容も深い、それでいてユーモラスな話が満載です。
『サブカル・スーパースター鬱伝』をチェックする(徳間書店のサイトに飛びます)
「うつ病」と「未病」の症状について似ている点や違う点を知る“キッカケ”になった本『9年めの未病生活 不調な私のセルフメンテ術』
完結『9年めの未病生活 不調な私のセルフメンテ術』 全1巻 青木光恵 / KADOKAWA / メディアファクトリー

エッセイマンガ家の青木光恵さんを、ある日突然襲った「謎の不調」。それは健康でもない、かといって病気でもない状態「未病(みびょう)」だったのです。自律神経が不調になるためか、集中力の低下や身体の冷えなど様々な症状が襲いかかってきます。これを青木さんは「うす布に包まれている状態」と表現しています。
『うつヌケ』では「濁った寒天に包まれているような感覚」と表したように、どことなく症状が「うつ」に近い部分もあり、とても気になる闘病記です。
『9年めの未病生活 不調な私のセルフメンテ術』を試し読みする
話題になっていたのが“キッカケ”で読んだ本。これもひとつの「うつヌケ」だと感じた『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』
完結『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』 全1巻 永田カビ / イースト・プレス

作者の永田カビさんが患った「うつ」と「摂食障害」そして「自傷行為」。その辛い日々から脱出するためにカビさんが選んだのは「レズ風俗」でのスキンシップ。独身で性的経験のない人にとって、「風俗」とはいっても「肌と肌の触れあい」や「女性に甘えられる機会」があることはカビさんの身体と心にとって大きな栄養だったのでしょう。
このマンガは永田カビさんの「うつヌケ」の記録だと思います。
最後に
田中圭一がうつを脱出し、『うつヌケ』を執筆・発行するまでに出会った4冊の“キッカケ本”。『うつヌケ』を読んだ方もそうでない方も、気になる作品があったらお手に取ってみてはいかがでしょうか?
今まさにうつ病に悩んでいる方や身近に悩んでいる方は、「うつ病・双極性障害を知るための漫画6選【体験談から専門家の解説まで】」で、ヒントになりそうな作品をご紹介しています。『うつヌケ』も紹介しておりますので、うつ病や双極性障害について理解を深めたい方は併せてご覧ください。