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『まくむすび』廃部寸前から全国大会へ…高校演劇に賭ける青春【ネタバレ注意】

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『まくむすび』バナー

アツい青春気分を味わいたいなら、やっぱり外せないのが“部活モノ”。サッカー部モノ、野球部モノ、バレー部モノ、バスケ部モノ、卓球部に水泳部に……うーん、もうひと声、新鮮味がほしい! というあなたに今おすすめしたいのが、ずばり演劇部モノ。
実は近年、高校演劇モノが密かに盛り上がりを見せているんです。

2015年にももいろクローバーZ主演の映画『幕が上がる』が公開され、話題となったこともあってか、漫画界にも『アクトン ベイビー』(秋田書店)『あめんぼあかいな』(小学館)『暗転エピローグ』(KADOKAWA)『開演のベルでおやすみ』(集英社)などなど、高校演劇をテーマにした作品が増加。
中でも、今、その本格的な展開で高校演劇経験者からも一目置かれているのが、今回ご紹介する保谷伸先生の『まくむすび』(集英社)です。

演劇を通して葛藤・成長を重ねていく少女たちの青春を見守るうちに、自然と高校演劇の魅力を知ることもできてしまう、注目の青春コミックの魅力を紹介します。

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※当記事に記載の内容は全て「ぶくまる編集部調べ」です。
また、当記事にはネタバレを含みます。

『まくむすび』作品紹介

『まくむすび』あらすじ

土暮咲良は、星見高等学校に入学したばかりの高校1年生。小さいころから漫画を描くことが大好きだったが、自分の漫画について親友のカレンから言われたひと言、

「ぜんぜんわかんないや」

がトラウマとなり、人に作品を見せることをやめてしまっていた。

『まくむすび』あらすじ

それでも漫画を描くことがやめられなかった咲良だったが、高校入学をきっかけに自分を変えることを決意。漫画を描くこと自体を諦めようと、これまで描きためた大量のノートを処分するものの、翌日、誤ってそのうちの1冊を学校にもってきてしまう……。

一方、昨年の全国高等学校演劇大会地区大会での“トラブル”のせいで、部員が3人にまで激減し、廃部寸前に追い込まれていた星見高校演劇部。部員のジャス子は、なお全国高等学校演劇大会出場への夢を諦めておらず、新入生勧誘に闘志を燃やしていた。

『まくむすび』あらすじ

そんな中、各部活動が新入生に自部の魅力をアピールし、勧誘する新入生歓迎会が開かれる。トリを務めた演劇部が演じたのは、あろうことか処分したはずの咲良の漫画と同じストーリーだった。

盗作されたことにパニックになる咲良。しかし、いつの間にか舞台上で繰り広げられる世界観に魅了されてしまう。そこには、自分が漫画では描き切れなかった物語があった。

終演後、猛抗議にやってきた咲良を「素晴らしい戯曲だった」と絶賛し、演劇部に誘うジャス子。

『まくむすび』あらすじ

「いやです」と即断する咲良だったが――。

『まくむすび』登場人物

むすび(土暮咲良・1年生)

高校入学をきっかけに漫画を描くことを諦めようとしていたさなか、自分の作品が舞台で上演される喜びを知ったことをきっかけに、演劇部へ。部名として、むすびと命名される。かつてのトラウマから自分が作る話に自信がなく、基本的にネガティブ思考。だが一度スイッチが入ると周囲を気にせず、創作にのめり込む。
街で偶然見かけたライバル校の青葉高校の主演女優に心を奪われ、彼女の存在を心にとめながら演劇への想いを深めていくように。

『まくむすび』登場人物:むすび

いもに(栗原芽衣・1年生)

歓迎会でジャス子が演じた舞台に感動し、演劇部へ。控えめでおとなしい。入部当初は自分の創作センスのなさに劣等感を感じ、部を早々に辞めようとしていたが、演技する中で自分の役割を見つけていく。他校にそっくりな双子の姉がいる。

『まくむすび』登場人物:いもに

リューグー(松島蓮・1年生)

お菓子につられて演劇部に入部。一見ボーッとしているように見えて、要所の言葉の切れ味が鋭い。常にマイペースながら、舞台上ではいざというときにとっさの機転を発揮し、場の流れを変えるなど頼もしい一面も。

『まくむすび』登場人物:リューグー

ジャス子(佐藤萌佳・2年生)

主に役者を担当。教師を発声練習で黙らせたり、教室で突然ロミオになりきって演技を始めたりと、恥の概念を置き忘れてきたように見えるザ・変人。1年生当時、入部後、すぐに主演に選ばれたという才能の持ち主でもある。むすびの戯曲の才能に惚れ込み、強引に勧誘する。
なまじ才能がある故に、他人への説明はヘタクソ。
全国高等学校演劇大会に出場することに異様な執念を燃やしている。

『まくむすび』登場人物:ジャス子

ママ(西田菫・3年生)

演劇部部長。主に演出や照明を担当。部名の通り、母性を感じさせる包容力の塊。一見癒し系ながら、顧問でもある教頭先生からむすびが書いた台本の書き換えを命じられた際は、部の廃部を辞さず抗議する姿勢を見せるなど頼れる存在。巨乳。

『まくむすび』登場人物:ママ

ボーズ(隅田麗奈・2年生)

音響担当。小柄で無口なため存在感は薄いが、常に沈着冷静で、確実に仕事をこなすタイプ。

『まくむすび』登場人物:ボーズ

カレン(1年生)

むすびの親友。かつてむすびに自信をなくさせる決定的な一言を告げてしまったことがあるが、本人は無自覚。中学時代から引き続き高校でも吹奏楽部へ入部。

『まくむすび』登場人物:カレン

立川先生

やる気のない新人教師。部活に燃える生徒や、張り切る先生を一歩引いた目で見がちな性格。

『まくむすび』登場人物:立川先生

金成百合

青葉高校演劇部現部長。演出を担当。過去のなんらかの因縁から、ジャス子を目の敵にし、粘着している。

『まくむすび』登場人物:金成百合

班目寅夫

地元の劇団「タンタンコロリン」の劇作家・演出家。例年合同発表会「あおはるマルシェ」の審査員を務めていた同じ劇団の女優がインフルで倒れたため、講評の代理として派遣されることに。

『まくむすび』登場人物:班目寅夫

高校演劇の面白さがド直球にわかる! 漫画『まくむすび』の魅力とは?

高校演劇をテーマにした本作ですが、経験者が共感できるだけではありません。演劇なんて全然わからん、という人も読めばぐいぐい引き込まれてしまうはず。その理由をご紹介しましょう。

演劇の楽しみ方がわかる

演劇初心者のむすびたちが主人公であるため、演劇そのものの仕組みや見方も丁寧に描かれているのが見どころの一つ。舞台での演技は映像とどう違うのか、演出によって舞台がどう変わるかなどなど、舞台の基本的な楽しみ方もさりげなく紹介されており、演劇はほとんど見たことがない、という人も置いてけぼりになりません。
しっかりと作り込まれた華やかなセットの舞台がある一方で、ボックスを2つ並べただけの状態で最初から最後まで進行する舞台も成立してしまうのが、演劇の面白さ。

一人の人間が何もない空間を横切る
それを誰かが見ている
そこに演劇における行為の全てがある

とは、作中でジャス子が引用するイギリスの演出家、ピーター・ブルックの言葉。

『まくむすび』の魅力とは?

明確なルールが存在しない、圧倒的自由の中で自分たちの世界観をゼロから作り上げていくという作業は、スポーツ漫画にも決して負けないスリルがあります。読めば、演劇に、そして高校演劇に興味が湧くこと間違いなし!

創作する人なら誰もが共感できる内容

むすびたちの葛藤は、演劇の世界に携わっている人だけに限らず、創作者を目指す人、趣味で創作を楽しんでいる人など、創作にかかわる人すべてが共感できる内容です。
思い通りの表現ができなかったり、自分のセンスのなさに落ち込んだり、誰かのまったく異なる表現方法に衝撃を受けたり、何気ない一言で自信をなくしたり……。演劇をはじめたことで、立ちはだかる小さな壁一つひとつに全力でぶつかって、砕けて、悩むむすびたちの姿に誰もが勇気をもらえるはず。

「この作品が少しでも創作をする人にとっての『燃料』になれたらうれしいです…良くも悪くも」

と、作者の保谷伸先生があとがきに記している通り、高校演劇の世界を通して、全創作者にエールをくれる物語なのです。

『まくむすび』の魅力とは?

やっぱり部活モノはアツい!

廃部寸前の弱小部に人が集まり、はみ出し者同士が力を合わせることで、絶対に無理といわれていた夢に一歩ずつ近づいていく――、本作は、そんな部活モノの王道セオリーを正しく踏襲している作品でもあります。
むすびたちが目指す夢は、「全国高等学校演劇大会」。既刊2巻までで、むすびたちはまだ「演劇とは何か」を学びはじめたばかりです。しかし、すでに地元の強力なライバル校の存在も明らかになっており、前哨戦は始まっているといえます。一方で、廃部の危機も完全に去ったわけではなさそうです。
部員6人だけの星見高校演劇部、しかもほとんどが新人で、演劇のいろはもわからない素人。彼女たちが人手も資金も潤沢な他校にどう立ち向かっていくのか。
ハードルが高ければ高いほど、そこに生まれるドラマのアツさに期待できます。

『まくむすび』やっぱり部活モノはアツい!

“甲子園よりも遠い場所”「全国高等学校演劇大会」とは?

作中でむすびたちが目指すことになる「全国高等学校演劇大会」は、実際に行われている高校演劇の全国大会です。
加盟校数は全国約2100校(2019年/※参照)。その中から地区大会→都道府県大会→ブロック大会を経て推薦された12校が参加券を勝ち取り、全国大会の舞台に立つことができます。
さらに、上位4校は、「全国高総文祭優秀校東京公演」として、国立劇場で上演する権利を得られます。

全国高等学校演劇大会が、「甲子園より遠い場所」といわれる理由はもうひとつあります。作中では語られていませんが、地区大会からブロック大会までが開催されるのが、毎年7月~翌年1月にかけて。しかし、そこから選出された12校(持ち回り枠1校含む)が参加する全国大会は、次年度の7月~8月に開催。
つまり、ブロック大会に出場した3年生は、翌年の全国大会には出場できない、というなんとも非情な設定があるのです。この設定が星見高校演劇部にも大きく関わってくるのでは…と思うと気が気ではありませんね。

『まくむすび』全国高等学校演劇大会について

(弱小)高校演劇部あるある?

高校演劇経験者にとっては2倍楽しい? 高校演劇の細かいあるあるがさりげなく登場するのも本作の面白さ。特に規模小さめな演劇部に所属していた人、身に覚えがあるやつなのでは……?

発声練習にビビられる

「あえいうえおあお……」「あめんぼあかいなあいうえお……」「拙者親方と申すは……」など演劇部独特の発声練習は、聞きなれない人にとっては突然の怪奇現象です。

『まくむすび』発声練習にビビられる

変人の集まりと思われている

普段の会話もなんか芝居がかってしまい、リアクションがでかくなりがち。あとジャス子のような超・変な人が絶対1人はいる。

『まくむすび』変人の集まり

常に人数が足りない

人数が足りなくて、常に役割をかけもち。裏方の兼任は当たり前だし、登場人物が多い既成作品は諦めざるを得ない。外部コーチがいたり、豪華なセットを組める強豪校が超うらやましい。

『まくむすび』常に人数が足りない

男子がいないと男性役も女子が担当

女子高の演劇部はもちろん、部員数不足の演劇部ではサラリーマンだろうが、おじいちゃんだろうが、女子が演じることに。もちろん、逆もしかりです。

『まくむすび』男性役も女子が担当

読者の声

『まくむすび』1巻の感想

「変わっていく姿に期待!」

自分にはなんの取り柄もないような気がしている。
何かに思いっきり打ち込みたいけど、人の目が気になる。
そういう人にお勧めしたいマンガです。
この作品の主人公・むすびは最初から自信と才能にあふれていたわけではなく、
友達のなにげない感想に深く傷ついて、
自分の表現したいことを押し殺している子でした。
彼女が星見高校演劇部の面々と出会うことで、
大きく変わっていく、
そこがこのマンガの読みどころかなと思います。
彼女たちはまだ一歩を踏み出したばかりですが、
歩みを見守っていきたいです!

表紙のキャラクターの表情に惹かれて手に取りました。
『まくむすび』…ごはんのお話かと思ったら
高校演劇のお話でした。「まく」がメインだったか(笑)。
面白いなと思うのは、主人公含め演劇部に入った面々に
「演劇を志していた人」がひとりもいないこと。
主人公はもともとマンガを描こうとしていた子だし、
入部した後も演技より「物語を作る」ことに惹かれている。
普通に考えるお芝居ものとは少し違うけれど、
「何かに興味を持つこと」「やってみたいと思うこと」
そこから新しい世界や閉じられていた扉の先への
道が拓けるんだなぁと感じました。この先の展開に期待。       Posted by ブクログ

タイトルの小ネタがわかる人ー?

演劇ファンであれば、1巻のサブタイトルにもにやりとさせられるかも?

・第1幕「劇的なるものをめぐって」

60~70年代に、鈴木忠志が演出のもと劇団・早稲田小劇場が上演した作品。早稲田小劇場は「ひよっこ」「いだてん」などにも出演している白石加代子などが活躍した劇団です。

・第3幕「贋作ロミオとジュリエット」

名作をリメイクしてタイトルに「贋作」とつける手法には、野田秀樹の代表作であり、歌舞伎化もされた戯曲『贋作 桜の森の満開の下』の影響がみられます。

・第5幕「ビー・ヒア・ナウ」

近年では新聞の人生相談コーナーでも活躍する鴻上尚史が手がけた戯曲。さまざまな劇団によって上演されています。

知ってる? 高校演劇出身の有名人

意外と多い、高校演劇出身者の著名人たち。俳優だけじゃなく、あの有名クリエイターも経験者だそうです。高校演劇のポテンシャルの高さ、おわかりいただけましたでしょうか……?

【俳優】
・黒木瞳
・堺雅人
・六角精児
・黒木華
・山本美月

【声優】
・梶裕貴

【漫画家】
・久保ミツロウ

むすびたちは全国大会にどう挑んでいく?

既刊2巻までで、演劇の世界に触れたむすびたちが初めての舞台に挑戦し、さまざまなハードルを乗り越えて初上演を成功させるまでが描かれます。
劇中でむすびたちが初めて作り上げた「けむり」という作品自体も、演劇の世界に足を踏み入れたばかりのむすびたち、それぞれの葛藤を昇華させていく装置として機能しています。

『まくむすび』のこれから

どんなに恥ずかしくても、情けなくても「届いた」瞬間の喜びを知ってしまったむすびたち。いよいよ全国大会に挑戦していく彼女たちが、次にどんな舞台を作り上げていくのか、強力なライバル校にどう立ち向かっていくのか、楽しみは尽きません。
高校演劇漫画の新星『まくむすび』に期待です!

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