『怪物事変』とは?TVアニメ化でノリに乗る作品の魅力を解剖!
2021年1月からTVアニメがスタートした『怪物事変(けものじへん)』。怪物(けもの)と呼ばれる存在が人間社会に潜む、架空の日本を舞台にしたダークファンタジーです。
主人公は半妖の少年・夏羽。怪物専門の探偵事務所に居候することになった彼は、さまざまな事件に遭遇する中で、自分自身に隠された謎に気づいていくことに。ミステリーあり、バトルアクションあり、少年の成長あり、友情や恋の物語ありと、魅力満載の本作をぶくまる書店員が徹底解説します!
また、リンク先の電子書籍ストア・ブックライブでは、新規入会者限定の50%OFFクーポンを差し上げています。気になった方はご利用ください。
※当記事に記載の内容は全て「ぶくまる編集部調べ」です。また、当記事には一部ネタバレを含みます。
目次
TVアニメ化で話題!『怪物事変』の基本情報
『怪物事変』の作者は? キャラクターは? ストーリーは? そしてアニメのスタッフや声優は? まずは基本的な情報から紹介します。
作品の詳細を見る
『怪物事変』 1~13巻 藍本松 / 集英社
『怪物事変』を試し読みする
『怪物事変』とは?
『怪物事変』は、『ジャンプスクエア(ジャンプSQ.)』で連載中の漫画。単行本は現在、13巻まで刊行されています。作者は『週刊少年ジャンプ』にも連載経験のある藍本松(あいもと しょう)先生。本作が最長の連載作品となります。
2021年1月からTVアニメがTOKYO MXなどでスタート。アニメーション制作を亜細亜堂が手掛け、オープニング主題歌「ケモノミチ」を、人気声優&アーティストの小野大輔さんが歌うことも、SNSを中心に話題になりました。主人公・夏羽を演じるのは若手女性声優の藤原夏海さん。その周りを、花江夏樹さん、村瀬歩さん、諏訪部順一さんら実力派が固めます。
アニメのスタートとともに、漫画にも大いに注目が集まっている作品です。
『怪物事変』のあらすじ
田舎の村で、旅館を経営する叔母のもとで暮らしている13歳の少年、夏羽。生まれつき体臭がきつく、毎日、畑で土や肥料まみれになって働かされていることから、「泥田坊」というあだ名を付けられ、蔑まれていました。そんな夏羽が出会ったのが、東京から来た探偵の隠神。連続する家畜の腐乱死の謎を調べるために村を訪れた隠神は、なぜか夏羽に興味をいだいて、近づきます。
実は夏羽は、屍鬼(クーラー)と人間の間に生まれた半妖。それを見抜いていた隠神は、自分の正体に気づき、家畜を殺した犯人は自分なのでは、と落ち込む夏羽を勇気づけ、事件解決へと導いていきます。
事件解決後、閉鎖的な村から夏羽を連れ出した隠神。生まれて初めて東京にやって来た夏羽は、隠神の助手となって生きることに。そして、12年もの間、離ればなれになっている両親の捜索を、隠神に依頼するのでした。
半妖、怪物が勢ぞろい!『怪物事変』のキャラクター
屍鬼(クーラー)と人間の半妖である夏羽、その正体は狸の怪物である隠神をはじめ、半妖や怪物がぞろぞろ登場する『怪物事変』。個性豊かなメインキャラクターを紹介します。
日下夏羽(くさか かばね)
本作の主人公。血を持たない「屍鬼(クーラー)」と人間の間に生まれた半妖の子です。1歳のときに母親が叔母に預け、以来、両親とは離別。生死も分かりません。しかし、夏羽の胸には、両親が遺していった「命結石(めいけっせき)」のペンダントが。怪物特有の“渇き”を防ぎ、人間を衝動的に襲わなくなる「命結石」は、ストーリーのカギとなっていきます。
殺しても死なないという「屍鬼(クーラー)」の血を受け継いだ夏羽は、驚異の再生能力の持ち主でもあります。首を切られても、そこから下の体を時間を置かずに再生できるというすごい力で、戦いにおいては大きな武器に。
また、肉親の愛や世間の常識を知らずに育ったため、生まれたばかりのような純粋な心の持ち主。それによって周囲に愛される一方、必要とあれば相手を殺すことも全くためらわないという怖さも持ち合わせています。
隠神鼓八千(いぬがみ こはち)
隠神怪物相談事務所の所長で、夏羽の引き取り手となりました。本人いわく
「人と怪物の間に立ち 相談事からケンカの仲裁 果ては葬儀屋まで請け負う探偵事業…もとい“怪物屋さん”」
とのこと。その本性は化狸(バケタヌキ)で、飄々とした性格ですが、探偵としても優秀で、格闘もかなり強いです。また、怪物に関する豊富な知識を持っています。隠神の事務所には、夏羽だけでなく何人もの怪物や半妖が同居。にぎやかな生活を送ることに。
蓼丸 織(たでまる しき)
夏羽よりも一つ年上の14歳。蜘蛛(アラクネ)と人間の間に生まれた半妖で、隠神の探偵事務所のメンバーです。汗や唾液といった体液を蜘蛛の糸に変えて操る能力を持っています。
幼い頃のとある恐怖体験がトラウマとなり、非常に怖がりな性格。そのため、冷静さと慎重さには子供離れしたものが。最初は夏羽にツンケンした態度を取りますが、やがて親友同士になっていきます。夏羽&織コンビの成長と友情は、本作の大きな魅力です。第3巻では彼の過去にまつわるエピソードが描かれます。
岩木山雪里白那之五十六子 晶(いわきやまゆきさとしろなのごじゅうろくし あきら)
15歳。「雪男子(ユキオノコ)」という怪物。女性しかいない雪の里で100年に一度だけ生まれるという男の子なのですが、ルックス的にはほぼ女の子です。本人いわく
「カワイイと頼もしいを両立した男の子になりたいの! カリフォルニア巻き男子? みたいな」
とのこと。水を凍らせる能力の持ち主で、最初はあまり強くなく、自分はみんなの足手まといだと感じていました。しかし、その自信のなさには、とある理由が隠されていて……。晶の過去もストーリーの中で描かれていきます。
ミハイ フロレスク(Mihai Florescu)
隠神の探偵事務所の奥の部屋で引きこもっている「吸血鬼(ヴァンパイア)」。日本のオンラインゲームにハマっていて、ほぼ毎日ゲームをしていますが、ハッキングの腕は超一流。夏羽たちの活躍をテクノロジーによって支えます。「吸血鬼(ヴァンパイア)」は怪物の中でも高等種族で、不老で半不死。長い時間を持て余しているため、夏羽たちを面白半分で窮地に立たせることも。しかし、結局は頼りになるバックアッパーです。
飯生妖子(いなり ようこ)
狐の怪物でありながら、警視庁の警視という女性。実は狐の幻術によって、警視庁のすべての人員の心を奪い、自分の傀儡として操っています。わがままで冷酷な性格で、ヒステリーを起こすと周りの人間を食い散らかすという残虐さを見せます。
最初は隠神と協力関係にありましがた、夏羽が持つ「命結石」を巡って対立。メンバー全員が怪物である捜査特課の刑事たちを使って、攻撃を仕掛けてきます。
紺(こん)
飯生の下で働く狐の怪物で、14歳の少女。飯生を敬愛して、どんな命令でも冷徹にこなしていましたが、夏羽と出会ったことによって、その心に変化が生じていきます。ストーリーが進むごとにどんどん内面のかわいらしさが表に出てくる、本作きっての萌えキャラです。
野火丸(のびまる)
飯生がかかえる特課刑事たちのリーダーで、狐の怪物。見た目はかわいい少年ですが、夏羽と織のやり取りを見て、
「う~ん熱い友情 グチャグチャにしたくなるな──」
と心の中で思ったりするような、かなりの曲者です。飯生にも心から従っているようではなく、本作のキーパーソンの一人。発火能力などを持ち、物理的な戦いもかなり強そうです。
ハマる人続出!『怪物事変』の魅力
現在、13巻まで刊行されている『怪物事変』。たくさんある本作の魅力から、代表的ないくつかを紹介します。
謎が解かれていく面白さ
隠神によって東京に連れ出され、探偵の助手として働くことになった夏羽。『怪物事変』は、隠神のところに持ち込まれた事件を夏羽が解決していくという、ミステリー的な展開からスタートします。夏羽が東京で最初に関わったのは、人間の男をかどわかす猫又(ネコマタ)の事件。依頼者は猫又に恋をしてしまった男性です。他には、渋谷の地下に流れる川での作業員の変死事件、蚊婆(カノンバ)という怪物に支配された工場への潜入捜査といった、怪物専門の探偵としての活躍が描かれていきます。
物語をつらぬく大きな謎、「結石」
夏羽が両親から与えられ、肌身離さず持っている「命結石」。そこに秘められた謎が『怪物事変』という作品全体をつらぬいていくことになります。実は「命結石」のように、怪物の力が込められた石は、他にいくつも存在していることが明らかになり、やがて物語は隠神、夏羽サイドと飯生サイドとの、「○○結石」の争奪戦の様相を濃くしていくのです。そこで大きな役割を果たすのは、捜査特課の刑事たち。どの刑事も強力な力を持った怪物で、夏羽たちとの激闘が描かれていきます。
胸を打つ名言
1歳から13歳になるまで、田舎の叔母のもとで、人間らしい暮らしをさせてもらえなかった夏羽。人の情も世間の常識も知らずに育った彼は、隠神という新たな保護者や、織、晶といった友達と接することによって、生まれ変わっていきます。夏羽を正しい道に導く隠神のセリフや、純粋素朴な心の持ち主だからこそ真理を突く夏羽のセリフには、名言がたっぷり。
「お前は捨てられてないよ」
これは隠神が夏羽にかけた、最初の優しいセリフ。「命結石」という貴重な石を遺していった両親が、夏羽を捨てるわけがないという言葉は、感情を押し殺して生きてきた夏羽の、孤独な心に刺さります。
「大切な人がいるのに 大切な人がいる人のこと大切にしないの?」
最近の巻数では、人間らしい心を甦らせた夏羽の名ゼリフが多いのが特徴。これは第11巻のセリフ。大切なパートナーのためなら、他人がどれだけ酷い目に合ってもいいと考える相手に、ズバッと言い放った言葉です。
丁寧な作画による名シーン
藍本先生の丁寧な作画による本作は1枚絵として見ても見応えのあるシーンが多数。そのいくつかを紹介します。
その1 化物の描写
『怪物事変』を読んでいて、最初にハッと息を飲むのは、このシーンではないでしょうか。怪物という、人でも動物でもない存在の恐ろしさ、異様さが大迫力で描かれています。
その2 バトルアクション
夏羽と怪物たちのバトルシーンも、実に見応えがあり! 特に捜査特課の刑事たちとの直接対決が始まると、バトルアクションは一気に白熱します。
その3 キャラクターの心理描写
キャラクターの喜怒哀楽の描き方も巧み。全キャラクター中、最も感情の起伏が激しいと言っても過言ではない紺には、かわいい表情がいっぱいです。第3巻では、アイスを前に満面の笑みを浮かべたと思ったら、離ればなれになってしまった飯生を思い出して、この泣き顔。
TVアニメ『怪物事変』の見どころ
2021年1月からスタートしたTVアニメ『怪物事変』。その見どころも合わせて紹介します!
藤森雅也監督のもと、アニメーション制作を亜細亜堂が担当するTVアニメ『怪物事変』。総作画監督に加え、怪物デザイン・アクション作画監督というポジションを立て、ファンタジーアクション物としての質の向上を図っているのが特徴。漫画で見ることができた迫力のシーンが、どう動き出すのか、期待しかありません。
アニメ化にあたり、藍本先生もコメントをアニメ公式サイトに発表。「アニメ化は私にとって夢のひとつでしたが、こんなに凄い布陣で叶えていただけるとは夢にも思わず、とても嬉しいです」と語っています。
また、藤森監督は「怪物事変の原作で描かれているキャラクターの感情は、非常に深くてリアルだと考えています」とコメント。演出・作画スタッフがキャラクターを大事に描き、豪華声優陣がそれに命を吹き込んでいるアニメ版『怪物事変』。冬アニメの大注目作です!
『怪物事変』の感想【ネタバレあり】
アニメ化でこれからさらに読者が増えそうな『怪物事変』。読者のアツい感想を一部ご紹介します!
絵が繊細できれい。どのキャラクターも愛らしくて保護者の様な気分で読んでます。ほのぼのしてるシーンもありながら、世界観がどんどん気になってくる。今後の展開も楽しみ。
posted.by ブクログ
シキくん
早々に推しが出来そう〜!!!仲良くしないでおこうと思ってたのにピザまで勧めて仲良くなっちゃってんの可愛い…夏羽くん、従順なのが可愛いところでもあり少し悲しいところでもあるなあ。
おもろい
最初の巻から落ちることなく進むごとに面白く話のテンポが良いので読んでいて楽しいです。オススメです。
とても面白い
アニメを見て気になって
一巻を立ち読みしたら続きが気になり
最新巻まで買ってしまいました!
どのキャラも好きになってしまう素敵な作品です!
アツイ展開
もしかして最終決戦間近なのかもしれない…。終わってほしくないけど、ワクワクしてしまう展開になってます!ぜひ!!
終わりに
物語が進み、今では日本各地がバトルと謎解きの舞台となっている『怪物事変』。巻を追うごとにキャラクターの内面や過去が深く掘り下げられ、夏羽、織、晶ら少年組も大きな成長を遂げています。また、謎がひとつ明かされると、次の謎が浮かび上がってくる展開に、続刊が待ち遠しくなるばかり。アニメ化で本作を知った方は、漫画を読まないと絶対に損ですよ!