けなげで変態な暴走乙女『上野さんは不器用』感想解説|鷹野凌の漫画レビュー

こんにちは、フリーライターの鷹野凌です。今回は、白泉社「ヤングアニマル」で連載中の漫画『上野さんは不器用』をレビューします。著者はtugenekoさんです。本稿執筆時点で単行本は4巻まで刊行中で、テレビアニメ化が発表されたばかり。恋する中3女子がトンデモ発明品を使い、文字通り“不器用”なアプローチをするさまを描いたギャグコメディ作品です。
『上野さんは不器用』 1~4巻 tugeneko / 白泉社
天才少女の不器用すぎるアプローチ
本作の主人公は、上野さん。フルネームはいまのところ不明です。中学3年生女子で科学部部長。『ドラえもん』(藤子・F・不二雄/小学館)や『Dr.スランプ』(鳥山明/集英社)に出てくるような発明品を生みだしてしまう天才です。
そんな上野さんは後輩男子部員の田中(中2)に片思いしていますが、肝心の思いをストレートに伝えることができません。そこで発明品を使い、不器用なアプローチをしては空回りして失敗する――というのが毎回のパターンです。天才ですが、バカです。紙一重です。
相手の田中がすさまじく鈍感なのもありますが、上野さんのアプローチが過激でズレてるあたりに根本的な問題があります。たとえば「見るだけで目が腐る世紀末級のドブ水ですら、氷窟から滾々と湧き出る大地の泉レベルにまで浄化することが可能」という携帯型濾過装置を作り、自分のおしっこを濾過して飲ませようとします。いや、それちょっと特殊すぎるだろ。
誘っておいてヘタレる暴走乙女
見えないよう対策した上ではあるものの、ノーパンでスカートをたくし上げ覗かせたり。穿いてたパンツ(もち粉製)を食べさせようとしたり。足のにおいを嗅がせたり。思わず「おいおい」とツッコミを入れたくなるような、身体を張ったアプローチ。しかし毎回、空回り。田中のすさまじい鈍感さもあいまって、上野さんが哀れに思えるほど。
たまに、なにも考えていない田中が、上野さんに誘われるがまま太ももを触りまくったり、お姫さま抱っこしたりと、ある意味で上野さんの望みを(何も考えずに)かなえたり、かなえそうになったりします。田中に性的な意図はまったくないのですが。しかし、上野さんはヘタレなので、そういうときはいつも顔を真っ赤にして逃げ出してしまいます。嗚呼。
それでも諦めずにアプローチし続ける、けなげで変態な暴走乙女が上野さんなのです。ポップな絵柄ということもあり、カラッと明るいおバカなエロスを楽しめる作品です。ちょっと特殊なラブコメです。







