検索結果
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-牡猫のムルは魔術師のアブラハムに拾われたが、ご主人が声を出して本を読むのを聞き、文字を目で追ううちにドイツ語を習得した。ムルは才能にめざめ、羽根ペンで自伝を書くようになる。ホフマンの友人がムルの原稿を目にし、ホフマンに渡す。ホフマンは出版社を見つけてやり、見本刷りを見てびっくりした。自伝は各所で別の文書で中断されていた。ムルはインクの吸取り紙として、手元にあった『クライスラー伝』のページを破って使っていたのだ。だが、ホフマンは『クライスラー伝』の価値を認めていたので、目印を入れてそのままの形で出すことにした。なので原書の正式名は『牡猫ムルの猫生観ならびに偶然の反古に含まれた楽長ヨハネス・クライスラーの断片的伝記』となった。こうしてアイロニー豊かなムルの伝記部分と、犯罪推理小説仕立ての「クライスラー伝」が交互に展開する奇妙でおもしろい本書が完成した。
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4.0
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3.3たとえば「鬼門」、たとえば「十三日の金曜日」、あるいは「媚薬」。今となってはただコッケイな昔の話から、身近に残るちょっとこわいことがらまで、迷信のパワーはすごくて、魅力がある。―「どうでもいいことの力」「役に立たない知識の面白さ」をしみじみ感じさせる、変り種の百科全書。
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-世界のからくりや不思議を語らせたら随一、教え子であり本書編者でもある諏訪哲史をして「日本の人文科学が世界に誇るべき“知の無限迷宮”の怪人」と言わしめた種村季弘―本書はその博覧強記のエッセンスをぎゅっと詰め込んだアンソロジーだ。ヨーロッパ各地に伝わる吸血鬼伝説を渉猟した「吸血鬼幻想」、自動人形論の金字塔「少女人形フランシーヌ」、ぺてん師研究の白眉「ケペニックの大尉」、怪物誕生を神話の源泉に探る著者畢生の名作「怪物の作り方」などの代表作はもちろん、著者の素顔が透けて見える自伝的随想・講演・読書論・対談まで網羅。没後20年、インチキと不寛容に満ちた現代に放つ文庫オリジナル。