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諸事多難
旅から帰って来たら来たで、諸々の事件が、小藤次を、ゆっくりさせてくれない。篠山から一緒に来た、お鈴が、篠山だから忙しいかったのではなく、江戸でも忙しいんですねって。そうなんです。小藤次の行くところ、諸事多難なんです。読者には、それが、面白いんですが。
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赤目小藤次も五十路を超え、剣術の技をひけらかす活躍から、謎解きをして事件を解決する方向に変わってきたように思われた。そのほうが面白みが増す気がする。
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佐伯泰英の著作で、他のシリーズは終わったものが多いのだが、これはまだ終わっていない。
このシリーズは「酔いどれ小籐次」とこの新シリーズがあって、新シリーズは、世間を大いに賑わせた小藤次が、次々と刺客を派遣されるのだが、その一人、まだ乳飲み子を抱え出奔した剣客須藤平八郎のたっての願いで、もし自分がこの果たし合いで死んだら、その子供を小藤次に託す、、、というものだったため、研ぎ仕事をしながら赤児を育てて、長い間の思い人、おりょうとも、夫婦になり三人の暮らしぶりから始まる。
その中で腕を江戸市中に知られる小藤次は、様々な事件や陰謀の解明に駆り出され、支援者も増えた。将軍家斉のお目見えも叶ったほど。
今回の話は、その俊太郎の亡き父母の故郷に帰り、母の墓前を弔い、江戸のある父の墓に一緒に入れ弔うこと。他にも兼ねてから付き合いの深い老中青山の統治する藩に、中々帰藩できないため、藩の内情に喝を入れるという働きも依頼された。
常に事件が小藤次に寄ってくる。
今回も無事事件を解決し江戸に帰る。
帰って早々、残虐な強盗団の噂が届く。
何と言っても、このシリーズは、幼子の成長ぶりや思春期になる俊太郎との関わり方、教えなど、背中で語る小藤次と愛妻おりょうとの家族愛が主軸で痛快な話の中に、家族とは?との主人公たちの自問自答が見えて、ほのぼのする。
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特に緊迫することなくいつも通りの小籐次一家だが、駿太郎が見事にいい子に育って来てこのまま素直に大きくなってくれと思う。事件そのものは残虐だが、さほど深みはなく、いつもの如く小藤次が捌く