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理想だけじゃ上手くいかない
終の棲家のはずの我が家に居場所がなく80歳にして家を出て生活しようとしている作家の女性が主人公のお話の第三巻。
前巻ではかつての憧れの男性の八百坂(やおさか)さんと彼のマンションで同棲を始めたまり子。
幸せな日々を送ると意気込んでいたがまり子も八百坂さんも老いにより生活がうまくいかない中、まり子の新作の為の取材旅行中、八百坂さんの運転する車は高速道路を逆走してあわや大惨事になってしまうところだった。
それぞれ別に警察によって事情を聴かれる二人のもとに八百坂さんの娘がやってくる。
父親が事故を起こしたことでピリピリしている彼女に追いうちをかけるように母の葬儀に来ていた女性が父と同棲していることを知り激昂してしまう。
そこにまり子の孫息子の嫁、彩花(あやか)がやってきたことで状況を収めることができたが、八百坂さんの娘に「二度と父に近づくな。」とお言われてしまう。
彼の異変に気付きながらそれを指摘しなかったこと、でも彼と一緒に暮らしていて幸せだったと八百坂さんに伝えるため彼の娘の家に行ってそれを伝えたまり子は八百坂さんのマンションを出て、前泊まったネットカフェに再びお世話になる。
その中でオンラインゲームを始めるがそのパーティーの一人とお互い自己紹介をすると、相手は75歳と自らの年齢を言った…。
話が進むにつれてどうしてもまり子よりも、八百坂さんの娘さんの方に感情移入してしまった。
年老いた親が老いらくの恋に焦がれて事故を起こすという最悪の事態で自分にも責任が降りかかってくるかもしれないと思ったら、その相手に対して攻撃的になってしまうのもしょうがないと思ってしまったし、そもそも離婚して別居した親によって世話や死後の処理が肉体的にも精神的にも2倍以上になると考えるだけでゾっとするし、遺産や生命保険じたいそのゴタゴタに対する迷惑料だとも思っているので、親に別の相手がいてその相手の為に金を使っているのがわかると攻撃的になってしまうだろうなぁとも思った。
生涯現役と思いたいだろうが子供世代からしてみればとにかくじっとしていてほしいという本音もでてきてしまうのも当然だとも思った。