生まれながらに持った才能を自分では全くそれと気づかない人間がいるらしい。才能のある状態がその人にとっての「普通」だからだ。特に何の才能もない書店員にはうらやましい話である。本作の主人公のモブこと影山茂夫・中学2年生もそんな類の人間で、生まれついての超能力者だが、本人はそれを「人を傷つけかねない力」と認識し、特別ステキな才能だとは思っていない。それどころか超能力を持たない秀才の弟と自分とを比べて「僕も何者かになりたい」と渇望してさえいる。
超能力でも手に入れられないものがあることを彼はよく知っている。例えばモブの幼なじみのツボミちゃんは、手を使わずに物を宙に浮かすことができるモブよりも、脚の早い男の子に夢中になった。既に自身に備わっているものに満足できないのは、大人になってからも変わらないし、それが10代ならなおさらのこと。アイデンティティーの獲得にもがき苦しむ彼らの状況を「それが若さだ」と一言でまとめることは簡単だけども、そんな単純なものではないはずだ。当の本人たちの心中など、とうに大人になった私たちの記憶からは薄れてしまっている。苦しみながら自己を獲得していくキャラクターたちの誰かは、かつての自分だったかもしれないのに。
『ワンパンマン』原作者・ONEが描く本作。迫力ある超能力バトルも必見。
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匿名
欲しかった
公式漫画アプリで全話無料で読めるんだけどさ。やっぱりすごい面白い作品って集めたくなっちゃうよね。この作品もそう。
Posted by ブクログ
主人公や、その周りの人々が感化し合い、友達になっていく物語。敵ばかりでなく、仲間どうしも時に深刻に対立し、それをきっかけに、わかっているようでわかっていなかった部分も分かり合い、絆が強まる。
メインパートは、戦闘回のようで、実は日常回の方。すべての経験は、日常に還っていく。力をもっているために、心の動きが可視化されるが、その動き自体は万人がもっているが、見えないというだけ。
超能力がテーマなのに、超能力を持たない霊験師匠がめちゃくちゃかっこいい。大好き。
おもしろい
調味市にある塩中学校の2年1組に通う影山茂夫通称モブは幼い頃から超能力が使える少年。
超能力を使って周りの人間を驚かせたり喜ばせるために見せていた彼は次第に周りがそれに慣れて驚かなくなることを感じていた。
初恋の人、ツボミちゃんもやがて超能力が使えるモブではなく足の速い男子に夢中になっていったことで不安になっていった。
そしてモブは今、自称霊能力者の霊幻新隆の弟子として時給300円で除霊のアシスタントをしていた。
霊能力が全くない霊幻に利用されているモブ。
人と違う能力を持っていることを誰にも相談できなくて不安に感じていた時に相談に乗ってくれたことがきっかけでアシスタントを始めたとはいえ、このままでいいのかという思いもあった。
その思いに突き動かされて肉体改造部に入ったもののついていけないモブ。
筋肉をつけてもモテないんじゃないかとまたもや不安になった彼の前に怪しい被り物をした人物が現れてある団体に連れていかれるのだった。
アニメは観たことあったけど原作漫画はまだだったので読めてよかった。
キャラの持つ熱さと冷めた感じのギャップの絶妙な感じが笑えた。