松原隆一郎のレビュー一覧
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相当ハイレベルな内容を圧縮して詰め込んだ本。
ケインズ、ハイエクそれぞれに、経済学だけでなく、哲学、歴史など多様な要素が含まれている。その分楽しめるとも言えるが、自分の知識をいかようにも試され、降参してしまう。
それにくらべて、年金制度の行き詰まり、トップダウン故につまづいている貨幣経済など、今...続きを読むPosted by ブクログ -
要約を好む人は多い。「一言で言うと?」というのは慣用句。しかし事実は複雑で、くだくだとしたプロセスを追わなければ概略すら理解してとは言えない(せいぜい、知ったような気になるだけで、正しくもなければ利用も出来ない)。
本書ではケインズとハイエクの数十年にわたる思考の過程を追っていく。難しいが彼らの理解...続きを読むPosted by ブクログ -
小泉政権下での構造改革や規制緩和、低金利政策による円安誘導など一連の政策を、輸出企業の国際競争力強化を図る「重商主義」と定義し、輸出企業が稼いできた利益が国民に分配されなかったことや内需が絶対的に弱ってしまったことで実質的には行き詰ったもの、と断じている。
一方で、民主党政権による政策については、結...続きを読むPosted by ブクログ -
民主党政権には、国民の歓心を買うためにカネをばら撒くのではなく、将来不安の解消や公共心を培うための公共ストックの充実に向けて使ってもらいたい。それが重商主義時代の終わりに臨む政治の構え方。Posted by ブクログ
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この著者については,朝日新聞「論壇時評」のときから注目していた。経済学者でありながら,社会の動きに広く目配りをして,説得力ある論旨を展開していた。本書はその改稿を含め,現在の日本社会・経済・政治の問題点を指摘し,それに対して(著者なりの)一定の処方箋を与えようとしている。自民党の高度成長期が終了する...続きを読むPosted by ブクログ
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偉大な経済学者であるケインズとハイエクの思想、理論を、時代背景や経済学会の動向、政治、経済、戦争などの状況と並べ、解説したもの。景気循環や政治的都合と共に、ケインズもハイエクも蘇るのだが、それは経済政策的に最適だからというだけでなく、政治の事情や国民の意識が絡んでいることがよくわかる。景気というと単...続きを読むPosted by ブクログ
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とても正しく、ピュアな主張。
例えば、電柱(電線)有無の写真を比べて感覚的に良さを訴えてくるあたりもよい。
おそらく小池氏も松原氏(『失われた景観』の著書がある)も、もともとは景観上の観点から無電柱を主張し始めたはず。それでも、おそらくあとから、防災を看板に加えたりオリンピックもきっかけに加えたり...続きを読むPosted by ブクログ -
電柱は害悪(景観上)とする立場も、電柱は日本の道路・建築事情と経済原理と災害即応性を考えた必然とする立場も、それぞれに言い分はある。
しかし、そもそもコストが必要なものであってすべての人が撤去促進に賛成しているわけでもないのに、実質的に自分の美意識(と快適さ)だけをよりどころにしながら、「一義的に事...続きを読むPosted by ブクログ -
デフレの英国1920年~、金融対策の困難な現実に対処するケインズと、経済の景気循環説を貨幣理論により唱えるハイエク。
今の金融危機と対比して読むと面白そうです。Posted by ブクログ -
戦後一貫して政治経済社会と広範囲にアメリカの影響を受けてきた日本。
政権交代があったが、自民党時代よりも混迷を深める様相を見せる民主党政権。
なぜ「経済」をめぐる迷走が続くのか、「国際競争力」という幻想、構造改革、公共性の問題点をするどくえぐる著作である。
ソ連崩壊後の米国、ヨーロッパの迷走、...続きを読むPosted by ブクログ