夜と星空をイメージされたそうです。相変わらず繊細で流麗な文体は素晴らしい。すごく余韻のある話。
Happyなジレジレは大好きなのだけど、今回はなんか鬱々とジリジリと鬱々と…長くて…我慢できずに途中でうがァーーーって投げ出しそうになった。
攻にも受にも、どちらの気持ちにも私は共感できなかった。
ふたり
...続きを読むがお互いに執拗に執着する理由が自分の中でストンと落ちなかったからかな。
攻の圭吾の人格がいまいち腑に落ちなかったのと、受の蒼が見た目ほど可愛いいい子じゃなかったし。
かわいそうなお姫様を助けに来たナイト的な役割の富田も中途半端だったな。
そもそも蒼がかわいそうなお姫様なんかじゃなかったし、富田はもっとクラッシャーでもよかった気がする。
読み始め、富田が蒼を略奪して、このただれた関係から救い出す展開を期待してました。全然違った・・・。
圭吾をモデルにした夜空の絵。私はゴッホの『星月夜』をイメージして読んでた。
ただの美しい夜空ではなく、暗くて、でも圧倒的な存在感で見る側を内側に飲みこんでしまうような星空。
どなたかのレビューで『橘紅緒』の『朱い熱』に似てるって読んで、あ~わかるなと思った。
過去に事件があって、時間軸を交差させながら、会話や文脈のあちらこちらに落ちているヒントを読む側が地道に拾い集めていくっていう作業が似ている。
でも、『朱い熱』の方が救いのある終わり方だったと私は思う。
この作品、お互いからは決して離れられない。ずっと一緒にいようというエンディングなのに幸せ感が微塵もない。
一緒に死んでしまおうみたいな話では全くないのだけれど、
漂うのはそこはかとない死の香りというか、このふたりから生の喜びみたいのを一切感じない。
いつ消えてしまっても構わない―みたいな現実世界への執着の無さみたいのが、読む側を暗澹とした気持ちにさせる。
正直あまり好きな話じゃなかった。杉原さん大好きだけど。
『37℃』も読後ちょっとこんな気持ちになったな。