四方田犬彦のレビュー一覧
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日本の大学を辞し、パリで日本映画の解説などをして過ごしていた「私」は、レバノン出身の映画監督ジョスリーン・サアブと親しくなる。日本赤軍の重信房子とその娘メイを題材にした新作を撮りたいというジョスリーンのため、日本とのパイプ役を務める「私」。だがジョスリーンの体は癌に侵され、死が間近に迫っていた。ある...続きを読むPosted by ブクログ
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「レバノンの名家に生まれ、パリで客死したある女性映画作家の生涯 脅威と感動のノンフィクション」と帯にある。中東の歴史や文化にまったく明るくなくて、主人公のジョスリーンという映画作家も、著者の四方田さんのことも存じ上げなかったのだけど、多和田葉子さんと斎藤真理子さんが帯に言葉を寄せているのが気になって...続きを読むPosted by ブクログ
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「わたしの部屋は…中略…さながら李小龍(ブルース・リー)グッズの展覧会といった様相を呈している」という著者の思い入れたっぷりのブルース・リー評伝。
リーの子役時代の映画から「ドラゴン」シリーズまで、ほぼ全ての出演映画の解説ぶりは舌を巻くほどのマニアックぶり(と言うか、オタク度)全開。「ドラゴン」シリ...続きを読むPosted by ブクログ -
著者が高校生の頃、つまり、この本が書かれた時点から遡って30年前に読んだ本を、もう一度読み直すという営みから、洞察に富む、深いエッセイを紡ぎ出すもの。私自身、読めてない本も結構取り上げられていますが、他方で、共通するものも多く、ただ、自分の「読む」営みが如何にも表層的であったことに改めて気づきました...続きを読むPosted by ブクログ
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『カリガリ博士』が日本で公開されたのは1921年5月。当時映画製作者として活動していた谷崎潤一郎は、かつて『人面疽』という映画と狂気を扱った自らの短編小説の映画化を計ったが挫折していた。『カリガリ博士』に共鳴した谷崎は絶賛と注文の混じった熱い批評を書く。1923年、溝口健二は、大泉黒石の原作をもと...続きを読むPosted by ブクログ
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過去十年、腹を立てつづけた四方田犬彦!がおもしろい。
今は、きっと、もっと腹を立てていると思うと、ちょっと笑っていられない気もする。でも、もっと、腹を立てていてほしい。Posted by ブクログ -
日中戦争下の1938年に刊行された少年向け満洲紀行。父親が出張ついでに、長男・次男と満洲在住の姪(その名も満洲子)を連れて全土を旅行する設定である。「青銅の基督」の作者がこういうものを書くようになっていたとは知らなかった。
「満洲」の風俗や産業を分かりやすく伝えると同時に、当時の日本が他のアジア地...続きを読むPosted by ブクログ