四方田犬彦のレビュー一覧

  • 「かわいい」論
    面白かった。特に大学生のアンケート結果が興味深かった。女子と男子とではもちろん違うだろうと予想はしていたが、斜め上の発想や個性的な回答が多くて楽しかったし、そこはかとない時代感を感じた。記載されていた女子の回答の、イラスト付の回答がノスタルジック。

    「かわいい」ものが好きでかわいいものを見たり聞い...続きを読む
  • 戒厳
    127非常に面白く閉鎖的だった時代の韓国の市民の描写がいきいきと描かれていて一気に読んだ。軍事政権ですぐ逮捕される。されたら帰って来られない、と言うことを刷り込まれていた世代からすると、当時日本人が教鞭をとっていた事実にも驚かされる。時代と民族と国家と、何かと考えさせる物語でした。
  • いまだ人生を語らず
    四方田犬彦のエッセイ

    この本と出会うまで、四方田と言う方を存じ上げなかったと思う。
    読んでいくうちに当然だが著者にも興味を持ち、web検索したのだけど、テレビでお見かけしたかも…。恐れながらそのような程度でありました。

    歳を重ねる大変さは痛感しているが、なんとか明るく前向きになれるヒントを得たい...続きを読む
  • さらば、ベイルート ジョスリーンは何と闘ったのか
    日本の大学を辞し、パリで日本映画の解説などをして過ごしていた「私」は、レバノン出身の映画監督ジョスリーン・サアブと親しくなる。日本赤軍の重信房子とその娘メイを題材にした新作を撮りたいというジョスリーンのため、日本とのパイプ役を務める「私」。だがジョスリーンの体は癌に侵され、死が間近に迫っていた。ある...続きを読む
  • さらば、ベイルート ジョスリーンは何と闘ったのか
    「レバノンの名家に生まれ、パリで客死したある女性映画作家の生涯 脅威と感動のノンフィクション」と帯にある。中東の歴史や文化にまったく明るくなくて、主人公のジョスリーンという映画作家も、著者の四方田さんのことも存じ上げなかったのだけど、多和田葉子さんと斎藤真理子さんが帯に言葉を寄せているのが気になって...続きを読む
  • ブルース・リー ──李小龍の栄光と孤独
    「わたしの部屋は…中略…さながら李小龍(ブルース・リー)グッズの展覧会といった様相を呈している」という著者の思い入れたっぷりのブルース・リー評伝。
    リーの子役時代の映画から「ドラゴン」シリーズまで、ほぼ全ての出演映画の解説ぶりは舌を巻くほどのマニアックぶり(と言うか、オタク度)全開。「ドラゴン」シリ...続きを読む
  • ハイスクール・ブッキッシュライフ
    著者が高校生の頃、つまり、この本が書かれた時点から遡って30年前に読んだ本を、もう一度読み直すという営みから、洞察に富む、深いエッセイを紡ぎ出すもの。私自身、読めてない本も結構取り上げられていますが、他方で、共通するものも多く、ただ、自分の「読む」営みが如何にも表層的であったことに改めて気づきました...続きを読む
  • 「かわいい」論
    そろそろ真剣に論じられていいと思ってた「かわいい」について。
    これから、もっともっと研究対象になってもいい分野なんじゃないかな。
    入口として面白い本だった。
  • 「かわいい」論
    四方田犬彦という名前が本名であるとすれば、そのように名づけた親とは一体どんな人だったのかと常々考えてきたのだが、ひょんな誤植から生まれた筆名だったということを最近知った。

    高校生になりたてのころ、浅田彰の『構造と力』が話題になり、わかりもしないくせに現代思想の本を読んでいたころのことだ。『GS』と...続きを読む
  • 「かわいい」論
    【日本語としての「かわいい」】

    歴史的に「かわいい」という言葉がどういう位置づけであったか、性別による印象の違い、海外との比較、「美しい」との差などかなり本格的に「かわいい」という言葉を分析している本です。

    面白かった話は
    ・「きもかわ」は自分だけ気付いた魅力だから
    ・ぬいぐるみは実はグロテスク...続きを読む
  • ゴダールと女たち
    世にジャン=リュック・ゴダールの信奉者かずかずあれど、つまり、たしかに私も著者の四方田犬彦も、そのうちのひとりのはずですが、以前からこころに思ってはいましたが、恐れ多くて、けっして口には出せないし、出してはいけない、出せば世間のひんしゅくを買うこと間違いないと思われること、そう、

    ゴダールは、女に...続きを読む
  • 月島物語
    92年の「月島物語」。まだもんじゃ焼きがブームになりつつある頃。まだあんなに高層ビルが建っていなかった頃の月島を漂着者からやがて長屋の住人になって見ていく。しみじみと好きな本です。
  • いまだ人生を語らず
     四方田さんの思索集かな。
     1回ではなく、いくたびも繰り返し読んで楽しみたい本。
     何度も書棚から取り出して、拾い読みしたくなる本。
  • 署名はカリガリ―大正時代の映画と前衛主義―
     『カリガリ博士』が日本で公開されたのは1921年5月。当時映画製作者として活動していた谷崎潤一郎は、かつて『人面疽』という映画と狂気を扱った自らの短編小説の映画化を計ったが挫折していた。『カリガリ博士』に共鳴した谷崎は絶賛と注文の混じった熱い批評を書く。1923年、溝口健二は、大泉黒石の原作をもと...続きを読む
  • 世界の凋落を見つめて クロニクル2011-2020
     過去十年、腹を立てつづけた四方田犬彦!がおもしろい。
     今は、きっと、もっと腹を立てていると思うと、ちょっと笑っていられない気もする。でも、もっと、腹を立てていてほしい。
  • 「かわいい」論
    終始「かわいい」の話題だけで一冊の本ができるのがすごい。文学の視点が入っているので、そういうのが好きな人にちょうどいい一冊です。アウトサイダーアートというものを初めて知りました。
  • 「かわいい」論
    かわいいは美とグロテスクの境界領域にあり小ささや未成熟、懐かしさといった性格を持つばかりではない。

    かわいいは
    ・一方では他者依存のための戦略としての媚態であると解釈され、
    ・もう一方では少女たちにおける意味作用に結実する以前の指示行為、すなわち「かわいい」と指差して叫ぶと言う身振りそのものと考え...続きを読む
  • 復刻版 少年滿洲讀本
    日中戦争下の1938年に刊行された少年向け満洲紀行。父親が出張ついでに、長男・次男と満洲在住の姪(その名も満洲子)を連れて全土を旅行する設定である。「青銅の基督」の作者がこういうものを書くようになっていたとは知らなかった。

    「満洲」の風俗や産業を分かりやすく伝えると同時に、当時の日本が他のアジア地...続きを読む
  • ゴダールと女たち
    ゴダールの映画は何本観ても何回観ても難しい。
    「女たち」でフォーカスしてもまだ難しいが、少しずつゴダールの深みに入る手助けをしてくれる一冊。
  • 「かわいい」論
    2015.11記。

    「かわいい」とはそもそもなんなのか。

    古代ギリシアが「調和・均衡」を最も尊び、また西欧でも「成熟」こそ優れたものと捉えていたこととの対比において、古くは枕草子に「かわいいもの。スズメがちゅんちゅんと寄ってくるところ」とあるように、小さく、かよわい、といったものに対する愛着は日...続きを読む