四方田犬彦のレビュー一覧

  • いまだ人生を語らず
     2023年に七十歳となった著者が、「忘却について」「読むことについて」「詩作について」など、章ごとにテーマを絞り、自身のこれまでの活動や思うことを語っている。「幸運と若干の後悔」という章では、著者のこれまでの人生で幸運と感じたことと後悔していることが箇条書きにされているのだけれど、「幸運6 一九五...続きを読む
  • 月島物語
    学部の卒制で敷地にしてからなんとなく意識している月島。まさにその卒制のストーリーは、新しくて古い月島の"下町情緒"や路地が不動産開発によって失われる計画を知ったところから始まったのだが、本著はその前者、月島成り立ちの頃からそこに住む人たちや祭りといった地域文化との関係性が、もんじゃだけでなく、レバカ...続きを読む
  • 愚行の賦
    四方田犬彦という名前は、本来、四方田丈彦だった由。トアルところで、丈という字が、犬という字に変化、その変化を楽しんでいる著者であります。愚行が氾濫する時代の中で、改めて、愚行についての論考を深める著者であります。奥が深いというか、何やらカミュ的世界へのいざない、のような気も致します。★三つであります...続きを読む
  • 犬たちの肖像
    人間のもっとも古い伴侶、犬。
    小説、映画、漫画に至るまで、作品のなかに顕れる「犬」の存在をめぐるエッセイ集です。

    四方田様らしいハードボイルドを存分に堪能。
    献辞はかつての愛犬へ。
    犬に「兎吉」と名付けるところも素敵です。

    先日TV番組に紹介されたせいでTwitterに川端康成が5匹の子犬を抱え...続きを読む
  • 再会と別離
    別離と再会、ではなく。再会と別離についての往復書簡。再会とは、誰かと再び出会うだけのことではなく、自分とも再び出会うことでもあるのだなぁ、と。そして、誰かとの別離は自分の一部と別れることでもあるのだなぁ、と。
    往復書簡という形は、相手に触発されるものがありながら、熟考という時間が間にあって、自らの思...続きを読む
  • ゴダールと女たち
    気難しいゴダール論が多い中で、さらっと読めるゴダール論の新書。
    大島渚が
    「(自己変革が)到底不可能な女に、自己変革しろと迫るのがゴダールの趣味なのかもしれない。どうもゴダールにはそういう不可能へ寄せる情熱のようなものがある。そして美女たちは結局逃げ、ゴダール自身はそのことによって必然的に自己変革を...続きを読む
  • ゴダールと女たち
    ゴダール「映画史」を見るために読んだ本。
    しかしあまりに素人過ぎて読んだことが映画鑑賞に全く活かされず。

    ただ、これくらい気軽に読めるゴダール本はもっと増えてほしいです。
  • ゴダールと女たち
     ジーン・セバーグ、アンナ・カリーナ、アンヌ・ヴィアゼムスキー、アンヌ=マリ・ミエヴィルの4人の女性の生涯を語ることで、ゴダールの作品に言及していくという試みに惹かれました。
     ゴシップ的な内容も多く、作品に対する批評も軽めでありますが、僕のような非マニアにはゴダールの作品をいったん俯瞰するにはとり...続きを読む