出久根達郎のレビュー一覧
-
出久根さんの本に触れ、また講演でお会いして早18年が過ぎる。古本屋にまつわる小説も数多読んできたが、氏の生業が題材であるだけに虚構なのか実録なのか判じかねることしきり。極めて日常的な話の流れからして体験に基づくモノなのだろう。いずれにせよ、どれほどの儲けがあるのやら、帳場であれほど暇な稼業でよく食べ...続きを読むPosted by ブクログ
-
古本にまで手を伸ばしたら収拾がつかなくなるので、あまり古本屋巡りをすることはなかったが、古書・古本に関する本を読むことは好きだった。今では文学全集を筆頭に古書の価格は下落しているし、大体の価格もネットで分かる時代になってしまったが、自分が上京してきた頃は、文学書の初版を収集したり掘り出し物を一所懸...続きを読むPosted by ブクログ
-
前巻の巻末で安政の大地震に見舞われることが予告されていたもんで、いつ揺れるのか、誰か犠牲になるのかと案じながら読み進める。茂右衛門は残念だったけど、予見したかのごとく引退したのちで、十六屋を支える仲間たちは皆無事でよかった。まどかと清太郎だけど、惚れたはれたの恋仲については著者らしく有耶無耶というの...続きを読むPosted by ブクログ
-
年老いた2人の母と、愛犬のパピヨンのビッキの赤裸々な介護生活を書いたエッセイだ。
ペット飼育に対する知識は古いものがあったが、2人の母へのそして、愛犬への愛昔の念が強く感じられる。
表題の剽軽なイメージからは考え思いつかないほどの心に染みる内容だった。Posted by ブクログ -
古書店店主であり小説家でもある作者の古書店エピソード日記。本に対する愛情がひしひし。読書を楽しむ者の共感を得るこの手の本はもっとあってもよいと思えるジャンルと思う。
自分も同じように読書に関するエッセイを書きたくなり、時折妄想してしまって読む妨げになってしまった。古書の価値にはあまり興味はないが人の...続きを読むPosted by ブクログ -
軽いですね。悪く言えば軽薄。でもなんだか明るくて、スピーディーで良いです。
著者・出久根さんは古本屋のご主人。どちらかと言えば、ちょっと重い感じの作品が多かったと思うのですが、これは妙に軽い。飛脚問屋を舞台にしたせいでしょうかね。
何も残らない作品だとは思いますが、爽やかな一気読みでした。
Posted by ブクログ -
出久根さんの本は、何故か肌触りの悪さみたいなものを感じることが覆いのですが、これは殆どそんなことが無かったですね。なかなか良い出来です。
一つには古本屋・小泉屋の娘・おしんの存在が大きくなった所為かも知れません。話全体に少し色気が出てきたのが良かったのかな。
あまり高い評価はしていませんが、一気...続きを読むPosted by ブクログ -
将軍家の蔵書を管理する小役人・東雲丈太郎の周りで生じる事件簿。ささやかないざこざかな。どこか頼りなげでいて芯のある主人公の設定は梶よう子さん、ほのぼのと心暖まる展開は伊藤桂一さん、江戸情緒をきっちり伝える台詞や情景描写は故杉本章子さん、それぞれの作家と作風が通じる。糶取師の新六は、後々の事件にも絡ん...続きを読むPosted by ブクログ
-
なんだか、分かったような、よく分からないような、フワッとしたまま終わる感じの話が多い。ミステリ未満ミステリ?
当時のお役所がどのように貴重な本を扱っていたのかが分かって面白かった。本1冊でワクワクする丈太郎にはなんだか親近感がわく。Posted by ブクログ -
御書物方をのどかなどと感じたが、今でこそ空調と機械警備に任せて古文書を管理しているものの、あれを人力でやるならば相当難儀に違いない。無事であってあたりまえながら、一日24時間、永劫に大事を許されない重責であると思い直す。Posted by ブクログ