出久根達郎のレビュー一覧

  • 将軍家の秘宝 献上道中騒動記
    待ちに待った出久根さんの時代小説が発刊されたと知り、勇んで購入した。が、5年前に読んだ『御留山騒乱』を改題して文庫化されたものだった。それでもお気に入り本であったから、再読もまた楽し。お気に入りのわりに、ストーリーをほぼ忘れていた。氷室は『ザ!鉄腕!DASH!!』で見た覚えがある。献上氷はあったに違...続きを読む
  • 二十歳のあとさき
    若き日の日記であり、虚飾に満ちた表現もない。現実には、仲間内でも雇用主との間でも、さらには故郷の家族との間でさえ、表現されない辛苦があったに違いないが、なんだか長閑な書きぶりで、結局は登場人物がそれぞれに活きている。
  • 御書物同心日記
    小説だから事件は起こるが、退治した紙魚(しみ)の城外持ち出しをとがめられたり、お見合い相手に妹を恋人と勘違いされたり、支給された昼の弁当にあたったり、まあそんなところだ。そんなほのぼの感がますます出久根さんらしい。
  • 名言がいっぱい あなたを元気にする56の言葉
    このところ、著者は近世、近代の文豪、政治家の名言集を重ねて著しておられるが、今回は往年のアスリートや芸術家など庶民的な人物も取り上げられていて興味深い。
  • 佃島ふたり書房
    「無明の蝶」が候補に挙がって居乍ら直木賞を逃したと云うから、受賞作の方も読んでみなくちゃと手に取りました。
    出久根さんの長編て、どうももったりして、途中で視点が急に変わったりするので、読みにくいかなとあまり期待していなかったんですが、いやー面白かったです。
    佃島の情景描写など最初から素晴らしく、質の...続きを読む
  • 踊るひと
    一人称の語り口で描かれる、ミステリありホラーありの短編集。
    どれも秀逸でお流石でございますと云う感想ばかり。
    お気に入りは「花粉症」「夜の民話」「秘密の場所」。
    出久根さんの描かれる男性は(女性よりも)非常に克明で
    物語の中で自然に呼吸をしている感じがします。
    読んでいると良質のドラマを見ているよう...続きを読む
  • 佃島ふたり書房
    大正12年(1923)、昭和39年(1964)と、関東大震災、東京五輪前後の東京・佃島周辺で織り成す郡司、六司、千加子の三人の若者の本に賭けた情熱。郡司は満州へ去り、六司、千加子は夫婦に。そして約40年ぶりの郡司と千加子の出会いと千加子の娘・澄子と郡司の心の通い合い。現在の新川周辺の隅田川の情景と合...続きを読む
  • 御書物同心日記 虫姫
    それでも、退屈至極な日々はつづく……。将軍家の蔵書番、御書物同心の「退屈至極な日々」を描いた大好きなシリーズの第3弾。

    前作に続きこの《虫姫》でも、丈太郎は「本の虫」に似つかわしからぬ勇猛な一面を見せる一方(「虫姫」「州崎」)、恋愛については相変わらずの奥手ぶりが微笑ましい(「鷽替」)。

    このシ...続きを読む
  • 続 御書物同心日記
    すっかり、その淡々とした世界にはまってしまった『御書物同心日記』。この続編では、「本の虫」丈太郎の意外に剛毅な一面とも出会うことができる。

    事件というほどの事件は相変わらず起こらないが、平凡な日常の中にときどき起こる「波風」は前作にくらべればはるかに大きく、そのぶん丈太郎も文字どおりの「活躍」をみ...続きを読む
  • 御書物同心日記
    いわゆる「日常の謎」系。とはいえ、ミステリというわけでもない。「謎」は解かれたり、解かれなかったりする。主人公の心のゆらぎが、静かな波紋となって読み手の心にまで押し寄せ、不思議な読後感をもたらす短編集。個人的に、とても好み。
  • 踊るひと
    7篇収録の短篇集。手紙、日記、聞き書きなど様々な語り口が駆使されることで生まれている独特の幻惑感が素晴らしい。ミステリ風、ホラー風、奇妙な味風、などなどバラエティに富んだ各短篇のどれもがハズレなし。
    お気に入りは「くっつく」、「夜の民話」、「秘密の場所」。
  • 日本人の美風
    さあ、元気だそうって感じだな。二宮尊徳と野口英世の項に興味深い指摘あり。改めて伝記を読んでみようという気になった。
  • 面一本
     
     早稲田で代々家業として営んできた古本屋一家に様々な困難がふりかかります。
     
     バブル期の地上げの波が襲うなど一昔前の話ですが、家族が一致団結して家業を守る様は、とても上質な人情ホームコメディです。

     古本屋を生業としながら直木賞を受賞した出久根達郎さんの作品だけあって古本屋という仕事の細か...続きを読む
  • 御書物同心日記 虫姫
    お名前は存じ上げていたけれど、恥ずかしながら出久根さんの作品を読んだのは2007年最後辺り。「おんな飛脚人」(これもシリーズ、オススメ)とこのシリーズ1冊目「御書物同心日記」を古本屋で見つけて読んで、面白い!と2008年頭に一気に買ったのだった。

    将軍家の御文庫に勤める同心、丈太郎が主人公。何より...続きを読む
  • 作家の値段
    恥ずかしながら、私は近代文学をほとんど読んでいません。この本に取り上げられている作家の中では、宮沢賢治が好きで全集を読んでいますが、それ以外はぽつぽつ程度。直木三十五や火野葦平に至っては一冊も読んでいません。
    なので、こうして出久根達郎さんが丁寧に解説してくださるのは大変ありがたいです。「どの作家に...続きを読む
  • 本のお口よごしですが
     ご存じ古本屋主人の名エッセイ集。少し軽いエッセイを読みたいと手にとったのですが、うーん、100以上ある単文がそれぞれ軽そうに見えて渋みのあるエピソードで読み飛ばすことができず、時間がかかってしまいました。
  • おんな飛脚人
    偶然同じ日に飛脚問屋で働き始めたふたりの飛脚。
    ひとりは珍しい女飛脚。

    江戸の町を駆け抜けて手紙と人情を運びます。
    読みやすく、爽やかな読後感。
    おもしろかった♪
  • 作家の値段
    なかなか奥深い世界だ。
    本は好きだが、古本はあまり好きでなかったが、この本を読んで、興味を持った。
    昔、学生時代、古本屋の好きな友達がいて、一緒に神田の古書店を廻ったものだが、買う本がなく、ただ眺めていただけだ。
    今だったら、違った意味で楽しめたのではないだろうか。
  • 御書物同心日記
    将軍家の御文庫に勤める同心のお話。
    捕り物とかじゃない人も「同心」なんだーと知りました。
    珍本稀本がいっぱい出てきて大変おもしろい。
  • 本のお口よごしですが
    著書を読んでいると
    出久根さんはやさしい人なんだろうなぁと感じます。

    新聞の人生相談の回答者として、その存在を知ってから
    本を書かれていることを知りました。

    出久根さんの著書を読んでいると
    懐かしく、やさしい空気感に包まれます。