赤神諒のレビュー一覧

  • 誾(ぎん)
    誾千代という女武将がいたことを初めて知った。

    戦乱の世で、生を受けた美しい女子が、
    武士として戦いたいという、「男勝り」で成長し、
    体は女でありながら、心が男であることに苦悩する。

    「虎女」を検索すると、虎御前が出てきて、
    「鶴男」は出てこないので、著者の造語?

    現代の性的少数者の問題を歴史小...続きを読む
  • 誾(ぎん)
    読み始めしばらくしてジャンヌダルクを思い出した。身体は女性でありながら精神は男として生を受けて、それも秀吉や徳川の生きた時代だ。現代とは余りにも違う時代想像を絶する苦難の人生だったと。この様な小説は初めてではないだろうか。実に素晴らしい書籍だった。
  • 太陽の門
    スペイン戦争の時代の話がメイン。アメリカ人義勇兵のリックが魅力的すぎる。
    老若男女、いろいろな人物が彼の考え方や生き様、戦術の手腕に惚れるのだけど、戦争によってその関係が続かないものもあり、突然別れが訪れたりもする。その別れの描写が様々で読めば必ず泣くとわかっているのに定期的に読みたくなる。
  • はぐれ鴉
    素晴らしい本に出会えた。久しぶりに感動を味わった。隠れキリシタンが形を変えながら人の心に深く根付き、二人の純愛に幸多かれ、江戸は地方と比べると生きるのに大変な面もある。しかし地方も不作の年もある。どちらも生きて行くのは大変な時代だったろう。
  • 読んで旅する鎌倉時代
    「13人」の小説家が「鎌倉」時代について書いた作品集。どの作品も面白いし、最新研究や資料を読み込まれている感じがして、興味もそそられる。
    この本片手に鎌倉を歩きたい。
  • 読んで旅する鎌倉時代
     歴史小説が苦手な人にも読みやすいと思います。
     
     様々な思惑がうごめく武家のはじまりの時代。その時代背景がよくわかりますし、素敵な話もたくさん。

     そして、何より出かけたくなる。あー、修善寺の温泉でゆったりしたい~。
  • 仁王の本願
    玄任の言う「民の国」、現在の日本は正にそうだろう。民意によって選ばれた議員たち、それらによって選ばれた総理や党首たち。
    全てが思い通りになるとは思わない。意見を出し合い、折り合いをつけながら、前へ進めていく。民の気持ちを尊重した政治を行っていってほしいものである。
  • 太陽の門
    日本経済新聞連載時に毎日楽しみに読んだ小説。
    有名な映画『カサブランカ』の話とは知らず読んでいました
  • 大友二階崩れ
    大分に関わりのある方からの推薦本。「大友二階崩れ」に改題する前の「義と愛と」というタイトルが本書のストレートなテーマです。戦国時代の国東半島周辺を舞台に大友家の家臣の吉弘鑑理・鑑広兄弟を主人公にして、権謀術数渦巻く時代に「義の人」であろうとした兄と「愛の人」であろうとした弟の生き方の葛藤を描いていま...続きを読む
  • 大友二階崩れ
    もどかしいほどの鑑理の義の貫き方、それが報われない展開にやるせなさを感じたが、最後のどんでん返しにホロっとさせられた。最終章あらためて読み返してしまった。
  • 大友落月記
    大友シリーズ、第三弾。悲しい、哀しい作品で、心が震えて、泪が零れました。
    秋の夜長に月を見つつ、読みたい一冊。
  • 大友二階崩れ
    また素晴らしい歴史小説作家が現れてしまった……

    鑑広がひたひたと死から逃れられなくなって行く様、愛してやまなかった楓の死。読んでいて、苦しく、哀しく、久々に本を読みながら泣きました。

    最後の鎮信の「義は苦しきものなれど、弱きものではないやもしれませぬな」という言葉にも考えさせられた。愛か、義か。...続きを読む
  • 大友二階崩れ
    時は戦国時代
    今の九州大分県にあった大友氏のお家騒動「大友二階崩れの変」がタイトルなんだけど
    話の軸になるのはそんな大友家家臣 吉弘家。
    大友家の今後の家督は正室の子か
    それとも側室の子かで真っ二つに意見が割れて
    側室派の中心人物が大友館(まさにここで言う大友二階)で
    殺害されるというまぁなかなか、...続きを読む
  • 読んで旅する鎌倉時代
    鎌倉三代将軍家の時代の13篇の短編アンソロジー。
    タイトルは『旅する』だけど、旅自体を扱った作品はなかったような?(^_^;)各作品の冒頭に、作品にちなんだ名所の写真と説明がついています。
    前半は頼朝と政子の逸話が多く、後ろになるにしたがって時代があとになります。
    砂原浩太朗さんの「実朝の猫」が好き...続きを読む
  • 誾(ぎん)
    「わたしは、わたし。」

    立花誾千代の話。最後まで読んで、また「序」を読む。
    なかなかの新解釈だが、現代に引き寄せて考えても、とても大切な視点。読みながら、共に苦しみ、悩む。最後は淋しいけれど、胸に爽やかな風が吹き抜け、青い空と青い浪を見たくなる。

    カバーも、一度外して見て欲しい。
  • はぐれ鴉
    「大友二階崩れ」読もうとして、そのままになってた。姫ダルマ、愛媛以外にもあったんだ。「富とか身分とか、面倒くさいものを全部取っ払った裸づき合いが温泉の醍醐味」まさに温泉巡りの最中で、大変面白く読めた。アンコールワットのように樹木の根っこに抱かれた竹田城思い出した。確かにあり得そう。
  • 立花三将伝
    大友家傘下の立花家には武勇に優れた藤木和泉、知略に優れた薦野弥十郎、2人を慕い成長する米多比三左衛門の3将がいた。侵攻してくる毛利家も和を結び、大友家に叛旗を翻した立花鑑載と主席家老の安武右京は反対する弥十郎、三左衛門の父を謀殺してしまう。立花家から離反する弥十郎と三左衛門、立花家に忠節を尽くす和泉...続きを読む
  • はぐれ鴉
    一行目:またひとつ、血の花が咲いたらしい。

    いやいや、大変面白かった。
    冒頭から一家惨殺のシーン。藩城代の息子、次郎丸は、大好きで慕っていた叔父巧佐衛門の凶行を目撃。信じられないまま、逃げ延び−十四年後、才次郎と名を変え、剣術指南役として故郷に戻ってくる。仇討ちのために…

    だが、そこで目にしたの...続きを読む
  • 仁王の本願
    一向一揆は、どうしても織田信長の小説の挿話としてしか知らなかったので、新鮮で面白かった。宗教といっても、かくも人間くさいものか。
  • はぐれ鴉
    「大友二階崩れ」など大友サーガが印象的な赤神諒氏の作ということで、お手並み拝見といった風情で読み始めたら、なんだか謎解き要素がありつつ、ストーリーの進行役となる山川才次郎の若者らしい初々しさと世間知らずなちょっととぼけたところなど、くすりと笑わせる場面などがあり、意外や読み物として楽しみながら読み進...続きを読む