太陽の門

太陽の門

2,200円 (税込)

11pt

4.0

デビュー3年で、主に戦国武将が主人公の11作を刊行、歴史小説に新風を吹き込む赤神諒氏が、伊集院静氏の休載期間中に日経朝刊小説欄に急遽抜擢され連載した本作は、赤神氏初の現代小説だ。
5カ月後に幕を開ける第二次世界大戦での枢軸国対連合国の戦いの構図を先取りしたスペイン内戦(1936~39年)が舞台。成立したばかりの共和国政府に対する軍部の叛乱を阻止しようと立ち上がった市民兵とともに銃を取った元米国軍人リックを主人公に、圧倒的に劣勢に立ちながら、徒手空拳で立ち上がった市民ひとりひとりをクローズアップして描くことで、ファシズムとスターリニズムから自由と民主主義を守る戦いと言われるこの「戦争」が本当は何のための戦いだったのかを浮き彫りにする、格差や分断が社会を揺るがす現在の私たちをも照射する作品に仕上がっている。

この重厚な物語にエンタテインメント性を加えるのが、主人公リックの設定である。著者が映画史上不朽の名作である「カサブランカ」の前日譚として着想し、映画でハンフリー・ボガート扮するリック・ブレインが本作の主人公という趣向。映画ではイングリッド・バーグマン扮するイルザ・ランドやほかの登場人物の前日譚としても描き、名ゼリフぞろいの映画へのオマージュとして編み出された、戦渦で恋する男女の洒落た会話にも磨きがかかり、気障なセリフ、スパイスのきいた皮肉も読みどころである。

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太陽の門 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    スペイン戦争の時代の話がメイン。アメリカ人義勇兵のリックが魅力的すぎる。
    老若男女、いろいろな人物が彼の考え方や生き様、戦術の手腕に惚れるのだけど、戦争によってその関係が続かないものもあり、突然別れが訪れたりもする。その別れの描写が様々で読めば必ず泣くとわかっているのに定期的に読みたくなる。

    0
    2023年10月09日

    Posted by ブクログ

    日本経済新聞連載時に毎日楽しみに読んだ小説。
    有名な映画『カサブランカ』の話とは知らず読んでいました

    0
    2021年06月27日

    Posted by ブクログ

    赤神さんの新聞連載小説。規定の文字数の中で、前回からを繋ぎ、盛り上げ、次を読みたいと思わせながら終わる。お上手でした!

    0
    2021年09月23日

    Posted by ブクログ

    カサブランカの前日譚としてのスペイン内戦を描いた日経新聞の連載小説の加筆修正版。元が新聞小説なだけあって文体は読みやすい。キザだけで形作られた登場人物たちが小気味良く話を進めてくれる。エンタメ小説とはいえ、歴史的事実に基づいており、このご時世、歴史は繰り返しがちであることや、歴史から学ぶことの重要性

    0
    2022年10月09日

    Posted by ブクログ

    日経新聞の新聞小説です。
    第二次世界大戦前夜、スペイン内戦(1936~39年)が舞台の物語。。

    歴史の流れもよく知らなかったし、映画「カサブランカ」の前日譚との設定だそうだけど、そのカサブランカも観たことがなかったので、著者の意図する読み方は出来なかったけれど、悲惨で不毛な戦争の悲劇はしっかり受け

    0
    2021年09月30日

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