吉田健一のレビュー一覧

  • 舌鼓ところどころ/私の食物誌
    戦後の非常に苦しい日本の再成長への道、その中で、食そのものを楽しみ、人々に興味と日本が古来から持つ食の素晴らしさを集めた珠玉の食に関するエッセイ集。丁寧に取材し、食し、語られる文章がネットも、Social Mediaもない時代に、唯一の情報源だった人たちもいただろう。それを考えると、写真のない、文章...続きを読む
  • 吉田健一随筆集
    今まで著者の作品は旅と食のエッセイしか読んでいなかったので上流階級出身のおぼっちゃまかと思っていたが大間違い。
    とんでもない文人だった。
    西洋文学、歴史に関する深い教養に圧倒された。後半はいつもの食と酒の紀行文になったので安心した。本当の教養人とはこういう人だな。
  • 酒談義
    酒にまつわるエッセイは数多くあると思う。その中でも名作まちがいない本作は、書かれている背景は若干時代を感じるものの、作者が酒にどのように向き合って付き合ってきたか?非常に考えさせる要素がある。まぁとにかく飲んで学びましょう。
  • 父のこと
    “再軍備は蟷螂の斧、そんなものを作って貧乏するくらいなら、しないほうがマシだ。これに代わるものとして集団防備なりを考えていけばいいので、日本一国で軍備をするなんて、バカの骨頂だよ。”
  • 汽車旅の酒
    酒が好きな人は、そのディティールを細かに表現しようとするが、この著者には一切ない。とにかくぐいぐい飲んで、ぐいぐい書く。本当にかっこいい。
  • 吉田健一
    あるとき朔太郎を読んでいて、文学とはまず第一に批評である、と書かれていて驚いたことがある。それまで文学といえば真っ先に思い浮かべるのは小説だったから、なぜ批評がその上に位置するのだ、と疑問に思ったものだ。当時、批評とは「他人の書いたものをあれこれ論じて価値を定めるその時々のジャッジ」のことだと思って...続きを読む
  • 汽車旅の酒
    代表作になるとは思えないのだけれど、旅、酒、汽車と揃うとどうしても点が甘くなる。休日に気持ちいい読書ができたので5☆。そもそも金沢について書いている人なので不思議ではないが、このタイミングでの刊行は北陸新幹線開業に合わせてたものでないかと勘ぐってしまう。まあ、それはそれで。
  • 甘酸っぱい味
    今の日本人がしていることは、生きていくということとまったく見当違いのことをしていることがよくわかった。
  • ロビンソン漂流記
    もし自分が無人島に流されたら、この小説での知識をそのまま活用できそうなくらいリアルだった。とにかく面白い。
  • 余生の文学


    #平凡社ライブラリー #吉田健一 

    「余生の文学」 言葉、批評、近代の豊富と無秩序をテーマとした文学論


    「批評と文芸時評」
    詩は、人間がいい気持ちになったから作る
    小説は、人に話をして聞かせたいから書く
    批評は、あることについて自分の態度を決めたいから書く

    「文章論」
    言葉は生きものであ...続きを読む
  • 作家と酒
    小説家や詩人や漫画家たちによる、お酒にまつわる44編。
    大酒呑みの話が読みたいと思って手に取った。きっと何名かはそういう作家がいるに違いないと。
    結果的に想像以上の面白い話が読めて満足した。お酒での失敗談も、お酒にまつわる思い出も、作家の表現力で楽しく読めた。時代の空気まで伝わってくる。
    困るのは、...続きを読む
  • 英国に就て
    吉田健一氏は日本では最後と言えるかも知れない古き良き時代の香り漂う文士である。「文化などということが念頭にないのが、英国の文化に一貫した一つの性格だ」とは大見得を切ったものだが、氏の見た実用主義という英国文化の特質は、実は取り立てて新鮮でもない昔からある観察だ。その実用主義が、人間はいずれ死すべき存...続きを読む
  • 舌鼓ところどころ/私の食物誌
    吉田さんの著作は全て好きなんだけどこれはどーですかねという作品でした。
    でも読み進むとやっぱり良いんです。
  • 作家と酒
    酒という媒介によって、執筆者に対する誼の深さを問わず、ある種の古き良き時代を醸し出す文化の中で各人が実態的に肉付けされていく行程は、人類史を通じて連れ添ってきた存在の重みを改めて見せつけるものとなっている。
  • ロビンソン漂流記
    「ダニエル・デフォー」の冒険小説『ロビンソン漂流記』を読みました。

    「高橋大輔」の著書『ロビンソン・クルーソーを探して』を読んで、久しぶりに『ロビンソン漂流記』を読みたくなったんですよね。

    -----story-------------
    ひとりで無人島に流れついた船乗り「ロビンソン・クルーソー」...続きを読む
  • 地球外少年少女 後編 ~はじまりの物語~
    これは観なきゃと思ってNetflixで観た(1-6話)。
    特に前半の世界観がめちゃくちゃおもしろかった。お話の仕組みとしても、セカイ系の物語としても、すごく参考になったし、SFとしてもしっかり楽しめた。
  • 汽車旅の酒
    英文学者にしてあの吉田茂の息子による旅と酒と食のエッセイ。東京駅からひたすら飲み続け(多くは夜行)、到着した街でも午前から飲み続ける。特に金沢がお気に入りだったようで、金沢のエッセイが多い。

    当時の文豪というか文士の飲みっぷりが良く分かる。不思議な魅力の作品。
  • 汽車旅の酒
    収録されている最初のエッセイの書き出し。

    【引用】
    三ヶ月目毎に、或は大体その位の所で五、六日ずつ、或は一週間位、旅行が出来たらどんなにいいだろうと、思う。
    【引用終わり】

    まさに。
    この出だしに引き込まれた。
    また、こんなことも書かれている。

    【引用】
    全く、旅先で一晩旨い酒を飲むこと程、我...続きを読む
  • 舌鼓ところどころ/私の食物誌
    東南アジア勤務の折、日本語書店でこの本を購入。異国の暮らしを送りつつ、あれこれ拾い読み、あれも食べたい、これも飲みたい、と妄想が広がる、楽しい本でありました。著者`吉田健一`のお酒を飲む楽しさ、嬉しさ等が、じんわりと伝わってくる、楽しい本であります。
  • ロビンソン漂流記
    18世紀イギリスの文筆家ダニエル・デフォー(1660?-1731)による漂流冒険譚、1719年。子ども向けの冒険物語として知られるが、孤島に漂着して自活していくロビンソン・クルーソーは近代的な経済合理性に基づいて行動するホモ・エコノミクスの原型であり「資本主義の精神」を先取りするものであるとして、経...続きを読む