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グルマン吉田健一の名を広く知らしめた食べ歩きエッセイ「舌鼓ところどころ」、全国各地の旨いものを綴り全一〇〇編を数える「私の食物誌」。長年にわたり多くの読者を魅了した、この二大食味随筆を一冊に合わせた待望の決定版。巻末に地域別目次を付す。 巻末エッセイ・辻 義一
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Posted by ブクログ
戦後の非常に苦しい日本の再成長への道、その中で、食そのものを楽しみ、人々に興味と日本が古来から持つ食の素晴らしさを集めた珠玉の食に関するエッセイ集。丁寧に取材し、食し、語られる文章がネットも、Social Mediaもない時代に、唯一の情報源だった人たちもいただろう。それを考えると、写真のない、文章...続きを読むのみで構成された、インスタと言えるだろう。これを想像し、その時代の人たちの生き様を感じる非常に貴重で、非常に意義深い。苦しかっただろう世代、乗り越えていく高揚感、新しいものを取り込む粋な人生を思い描き、必死に戦っていた強いアイデンティティ。 特に、ワインを葡萄酒とし、赤も白もロゼも、とにかくブルゴーニュとかそういう産地でしかない表記に、希少価値と非常にお高いワインに触れることで、食通としての地位を維持しようとする努力もまた涙ぐましい。ビールでなんとかやっていきたいという部分がなん度も出てくる。 お寿司については、もはや数百軒はあるであろう東京のお寿司屋さんだが、闇市と配給時代からくらべたら、なんと素敵な状態にあるのだろうか。お金を払えば食べられる。贅沢ですらある。 噛み締めるように、各地方の特産や郷土料理が出てくるので、お腹が空いてしまう。うなぎ、すっぽん、などなど実際に食べている姿もとても想像がつく。今でこそ、新幹線でも、東京にいればほぼ全て手に入るであろうことも、当時は本当に貴重でこの食レポをもって、想像して楽しんでいた人たちが多かったことだろう。改めて、食べることという本質的な部分に触れるとともに、豊かになった現在もまた、数十年前にはそうではなかったという事実にハッとさせられる作品である。 わさび、すだち、塩昆布などの食材自体にも目を向けて、そのおいしさを力説してくれるのだが、ハム、ベーコンなるものがある、ということもあって、なんとも言えないうまさを感じたのだろう。今でこそ当たり前の食材たちもまた、海外から入ってきて、日本で成長し、発展し、ここまできたということでもある。日本の食卓に、お米があまり上がらなくなってきたというふうに聞いた、という部分もまた、パンが一気に入ってきた証拠でもある。今でこそ、小麦の弊害を言われ始めているのだけれども、その当時は小麦の中毒性に一気にやられたひとが多くいたことを物語る。アメリカでは、すでにグルテンフリーと言われて久しい、こうした中毒性の高い、胃に負担をかける食事を控える文化圏が一定のレベルで存在していることになる。日本の食事も発展していっているが、世界の食もまた次の世代に入っていく。
吉田さんの著作は全て好きなんだけどこれはどーですかねという作品でした。 でも読み進むとやっぱり良いんです。
東南アジア勤務の折、日本語書店でこの本を購入。異国の暮らしを送りつつ、あれこれ拾い読み、あれも食べたい、これも飲みたい、と妄想が広がる、楽しい本でありました。著者`吉田健一`のお酒を飲む楽しさ、嬉しさ等が、じんわりと伝わってくる、楽しい本であります。
全国各所の素材や料理のうまさを、それを食べた時の様子と併せて綴っている本。味を伝えるためにまどろっこしい表現をすることを忌避し、〈うまいものをたらふく食べて「食べた」と実感することが食べることの醍醐味だ〉というポリシーを最初から最後まで貫いていて潔い。
嘗ての総理大臣の息子、グルマン吉田健一の名を広く知らしめた食べ歩きエッセイ「舌鼓ところどころ」と全国各地の旨いものを綴り全100編を数える「私の食物誌」の二大食味随筆を一冊にまとめた作品。
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舌鼓ところどころ/私の食物誌
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