都筑道夫のレビュー一覧

  • 暗殺教程~都筑道夫コレクション〈アクション篇〉~
    基本的にはさまざまな方法で絶体絶命の境地に立たされた主人公がほとんど武器も道具もない状況から脱出し、反撃するという繰り返しなんだけど、それがアイディアを豊富に、という言葉でも不十分なくらい詰め込んでいて読んでる間全く飽きさせない。現代の日本(少なくとも当時の)の割りに人が死にすぎたり物が壊れすぎたり...続きを読む
  • 三重露出~都筑道夫コレクション〈パロディ篇〉~
    面白いわ。特に二段組の部分のいい意味での荒唐無稽というかナンセンスというか、そういうとてつもない面白さを再確認した。一段組の部分の空気がなんとなく重いのでこの部分の明るいサスペンススパイスリラーって感じがかなり浮き出ているように感じた。また同時収録の短編「もどき」と「銀座の児雷也」はやっぱいい。面白...続きを読む
  • 魔海風雲録~都筑道夫コレクション〈時代篇〉~
    それにしてもすさまじいほどの面白さ。これまでこういう伝奇時代小説って奴をほとんど読まないできたんだけど、これ読んだら後悔するね。もうセンセーだけじゃなく他の人の物も呼んでみたい気にさせられる。それくらい面白かった。あと他に収録されてるのは時代本格だったけど「西郷星」は感心した。むう、こういう人を主人...続きを読む
  • 女を逃すな~都筑道夫コレクション〈初期作品集〉~
    何故か表題作ではない「やぶにらみの時計」は本当に面白い。処女作に近い時期であるにもかかわらず、軽妙洒脱で奥が深くて謎と論理が美しく並びあうというセンセーの特徴がすでに出ている。記憶喪失で朝起きたら他人というネタをこれでもかというくらいこねくり回し、シンプルながら綺麗に落としてくれる。他の短編もどれも...続きを読む
  • 翔び去りしものの伝説~都筑道夫コレクション〈SF篇〉~
    現代で死に瀕した青年が異世界に転生するところから始まる壮大なヒロイック・ファンタジー。2chで書かれてたけど確かに異世界の描写は少ない、でもそれを補って余りある、というかそんな些細なことどうでもよくなってしまうほど面白いストーリー運びとアイディア、展開、そしてかっこよさにはもう痺れる!って感じ。まじ...続きを読む
  • 七十五羽の烏~都筑道夫コレクション〈本格推理篇〉~
    わたしのミステリの原点都筑道夫の著書の中で、
    わたしがはじめて呼んで圧倒された記念の一冊。
    わたしの持っているのはこの本じゃないけれど、
    未収録の「七十五羽の烏」が出来るまで」
    が載っているらしいので、欲しくなってきました!
  • なめくじに聞いてみろ 新装版
    相当古い作品だが、ケレン味しかない刺客たちとのケレン味まみれのバトルは現代でも通用するものがある。一つ一つのバトルが短いのが残念、もっと熱い勝負を堪能したかった。
    作者の特長でもあるが、軽妙かつ練達な文章がぶっ飛んだ内容にマッチして心地よい。
    60年代の空気を感じ取れるのも興味深い点。
  • なめくじに聞いてみろ 新装版
    設定や話の展開セリフの内容は、いかにもなハードボイルドなアクション小説なのだけれど、とにかく語り口が軽妙で飄々としていて、2020年代からすると一周回って洒脱な感じがする。
    それは本編のみならず岡本喜八の解説(というより映画化の経緯)も同様で、とにかく読み口の楽しい本だった。
  • 猫の舌に釘をうて
    ● 感想
     都筑道夫の「猫の下に釘をうて」の束見本に淡路瑛一の殺人の告白と告発をしたという手記が掲載されているというメタミステリの構成の作品。この構成は面白い。こういう現実世界とリンクさせたメタ的な仕掛けのあるミステリは非常に好み。
     「私はこの事件の犯人であり、探偵であり、そしてどうやら、被害者に...続きを読む
  • 吸血鬼飼育法 完全版
    今読むと昭和レトロな短編連作。一匹狼・片岡直次郎のトラブルシューター活劇。江戸時代に実在した小悪党と同姓同名らしい。大悪党でないところがポイント。基本的に利益優先で、己の不利にならない程度に仕事をこなし、据え膳は食う。犯罪の片棒を担ぐような依頼も受けるし、バレない程度に現金や宝石をくすねるあたり、ま...続きを読む
  • 猫の舌に釘をうて
    北村薫「ミステリ十二か月」で言及されていたので手に取った。やはり、この人のチョイスに間違いはない。

    「シンデレラの罠」の上を行く技巧ミステリ。読みどころは、主人公が犯人・探偵・被害者の3役というだけではない。ミステリで、恋愛小説で、私小説で、さらに懐かしの東京を描く「都市文学」でもあるのだ。

    ...続きを読む
  • なめくじに聞いてみろ 新装版
    アクション要素がふんだんに盛り込まれたエンタメ小説。時代がかりの気障な言い回しはクセになる。

    だが、テンポは良いものの、展開が少し平坦。12人の殺し屋と対決するのだから、そうなるのは仕方ないのだが、もう少し捻りが欲しいところ。
    殺し屋が繰り出す殺人方法も思っていたほど奇抜ではなく、また倒し方もイマ...続きを読む
  • なめくじに聞いてみろ 新装版
    ひとりの天才科学者が、12人の殺し屋たちに12種類の奇抜な殺人道具を託して死んだ。残された息子は、父の負の遺産を葬るため、12人の殺し屋を次々に探し出し、殺害していく…という筋の娯楽小説。
    昨今のライトノベルのような突飛な設定、持って回った気障な台詞回し、トランプや蝙蝠傘、マッチといった日用品を改造...続きを読む
  • 女泣川ものがたり(全)
    読み応えがありました。
    短編が13編。人情噺もちらほら入れつつ、ハードボイルドだなあ、と思います。
    実際にこのような長屋があったかどうかは虚構の世界だから別にして、このような雰囲気を湛えた長屋は江戸のあちらこちらにあったのではないかと思わせる筆の冴えです。主人公と若侍3人の関係性も作中での変化も、江...続きを読む
  • 夢幻地獄四十八景
    いろはにひとつずつ題材を得たショートショート集。どれも短いながらも読み応えたっぷり。谷川俊太郎さんによる解説も凝っています。
    お気に入りは「夜の声」。これ、たぶん「風見鶏」の原型ですよねえ。もちろんあの短編よりぐっと短いのだけれど、それでもエッセンスは充分に効いています。
    ホラー好きとしては「沼」「...続きを読む
  • 退職刑事6
    退職刑事第六弾。

    え、これがシリーズ最後だから退職刑事さんが殺される?
    と思わせておいて、夢だったというのはどうだろう。
    元刑事の性で犯人に立ち向かうのかもしれないが、
    お年寄りなだけに例え夢でも後味が悪い。

    印象的だったのは、
    作家先生から手紙(!)がきて、
    桜の咲く露天風呂から若い女性が消え...続きを読む
  • 紙の罠
    『危いことなら銭になる』の原作。ちょーど、読んでる時にガラスのジョーを演じたエースのジョーの訃報を聞いちゃったわ。
  • 退職刑事5
    退職刑事第五弾。

    だんだん、ひねり過ぎてというか、
    趣が深すぎてちょっとついていけなくなっている気がする。

    犯人と目された人物が女に殺されるラストはちょっと面白かったし、
    退職刑事の方が、現職刑事と小説家に昔の事件をするという
    新しいパターンもあったが。
  • 退職刑事2
    退職刑事第二弾。

    言語は生き物だとはよく言われるが、「スタイリスト」には驚いた。
    自分では使ったことはないが、
    その昔、「おしゃれ」に近い意味で使われていたことはわかる。
    決してテレビ等の出演者の服を用意する職業のことではない。

    「デラックス」はもう少し新しい。
    自分で使ったことは多分無いが、以...続きを読む
  • 退職刑事1
    「ミステリなふたりアラカルト」の後ろの広告で。

    想いがけず、また古い話だった。
    というのも「トム・ホーソンの事件簿」を読んだばかりだったので。
    家に帰ったら洋服から和服に着替える位の。
    都営地下鉄三田線が都営六号線と呼ばれていた位の。

    五人の息子のうち末っ子の現職刑事の家を度々訪れる退職刑事。
    ...続きを読む