都筑道夫のレビュー一覧

  • ベッド・ディテクティヴ
    「泡姫シルビア」シリーズの一冊です。吉原のソープランドに「シルビア」という源氏名で務めている女性が主人公の連作短編です。

    七話が収録されていますが、殺人現場に居合わせるものだけでなく、シルビアの身の回りで起こったちょっと奇妙な出来事の謎を解き明かすような、ライトな作風のものも含まれていて、気軽にた...続きを読む
  • 吸血鬼飼育法 完全版
    六〇年代東宝活劇映画のノリ。よく考えてみれば、都筑氏自身が脚本などで関わっているんだから当然なんだが。異常なまでにドライかつシニカルなスラップスティック・アクション・コメディ。流石に人を選ぶ気はするが、アイデアの乱れ打ちはお見事というしかない。
  • 紙の罠
    紙幣づくりに使われる紙が大量に強奪された。
    これが意味するものをいち早く察知し動き出した近藤だが、ライバルの土方も同じく動き出していた。
    二人はある家の前で鉢合わせ。家の主人は坂本という老人で、彫金の名人である。

    というはじまり。
    軽やかに男や女が金を目当てに入り乱れて、誰が追って誰が追われている...続きを読む
  • 退職刑事4
    退職刑事第四弾。

    推理作家が第三の登場人物になりつつある。
    その推理作家が、本への書き込みを持ち込んで、
    友人が殺人を犯したのではないかと心配する話が良かった。

    ショートショートの脇に書き込まれた内容から
    退職刑事は推理をしたが、
    実際には真実の近似値を話し、
    作家の気持ちをおもんばかったところ...続きを読む
  • 前後不覚殺人事件
    「マンション探偵滝沢紅子」シリーズの長編第3弾。

    美智留のクラスメイトだった寺西徳治(てらにし・とくじ)という少年が、メゾン多摩由良近くの工場内の密室で殺害されるという事件が起こります。彼は死の直前に美智留に会っており、彼女に小さな紙包を預けていました。一方、徳治の兄の寺西慶太(てらにし・けいた)...続きを読む
  • まだ死んでいる
    「マンション探偵滝沢紅子」シリーズの長編第2弾。

    メゾン多摩由良の空き室を訪れた不動産屋と客二人が死体を発見しますが、彼らが警備主任に連絡して部屋にもどってみると、忽然と死体は消え失せていました。さらに、マンションの住人の兼坂という男や平岡民雄までもが、死体を見かけるもほんのわずかな時間その場所を...続きを読む
  • 殺人現場へ二十八歩
    「ホテル・ディック」シリーズの第一弾です。

    元刑事で現在は浅草のホテル「ハイライズ下町」の警備をしている主人公の田辺素直(たなべ・すなお)という男が、ホテルで起こる事件を解決していく連作短編となっています。

    トリックは本格的ですが、登場人物たちのキャラクター造形はユーモア・ミステリ風で、浅草の変...続きを読む
  • 怪奇小説という題名の怪奇小説
    著者(都筑さん)と、「怪奇小説」を執筆している「私(氏名不詳)」の区別が曖昧であり、また、
    「現実の話」といままさに書かれている最中の「怪奇小説」の区別も曖昧になっており、不思議な世界感が演出されている。

    作家である主人公は「怪奇小説」を書くことになっていたが、どうしても気分が乗らず、ある外国のミ...続きを読む
  • 怪奇小説という題名の怪奇小説
    初めましての作家さんだったらしい。
    読んだつもりになってました。

    知らないうちに怪しくて不気味な世界に迷い込み
    先が知りたくて、どんな結末が訪れるのか
    気になってしょうがない。
    そしてたどり着いた結末は・・・
    これは悪夢ですか?
    面白いじゃないですかぁ~
    たまにはこんな本もいいですね
  • 退職刑事1
    私の大好きなミステリ作家、都筑道夫さんによる「安楽椅子探偵」もののシリーズ第1作。
    退職した刑事と現職刑事の息子・五郎の対話によって事件が解き明かされる。
    その場所は常に五郎のアパートであり、登場人物はこの二人の他は五郎の妻のみ。
    五郎が語る事件のあらましを聞くだけで、「退職刑事」がその真相を解明す...続きを読む
  • 宇宙大密室
    タイトルに反し、ミステリはほんの一部。
    SF も半分くらいかな?
    都筑作品は中学生の頃にかなり読んだので、この本も懐かしい感じで楽しめました。
    天狗の話と民話のパロディが楽しいですね。
    現代を舞台にした SF は流石に古くさく感じるかもしれません。
    ま、ノスタルジックなエピソードだと思うことにしまし...続きを読む
  • 未来警察殺人課[完全版]
    Psycho-Passと設定が似ているとのことで読んでみたけれど、まったく別の作品でしたね。(当然だけど。)SFでハードボイルドな刑事ものということで、これはこれで面白かったのだけど、Psycho-Passがいかに面白かったというのを再認識することになってしまった(^^;未来警察殺人課敵な流れから、...続きを読む
  • 東京夢幻図絵
     『九段の母』が読みたくて。なにで知ったかは忘れてしまいました。多分、2ちゃんねるのまとめサイトの、後味の悪い作品とは、とか、オススメの小説家は、とか、そういったもので見つけた可能性が高いです。
     主人公は、いわゆる、名探偵コナンのような、なにか事件事故が起きたらそこに顔を突っ込んで少しヒントを与え...続きを読む
  • 怪奇小説という題名の怪奇小説
    引越しのバタバタで、読書状況が滞っちゃってます… 生活必需品ではないから、書棚の整理は手付かずの状態。そんな中、片手間に読めそうな薄い本ってことで、これをとりあえず手元に置いといてみた。サラッと読み流せるからではなく、全然ピンとこなくて急ぎ読み。「ドグラマグラ」は途中で挫折したけど、それと同じ匂いが...続きを読む
  • 未来警察殺人課[完全版]
    私はアニメ「PSYCHO-PASS」が好きなので、おそらくその制作のもとになったであろう本書に興味が沸き、読んでみた。
    70年代半ばから80年代半ばにかけて連載されたものをまとめたものなので、さすがにディテールに古さを感じるが、面白さは全く色褪せていない。SFというよりも、ハードボイルド色やトラベル...続きを読む
  • 南部殺し唄
    かつて滝沢警部が逮捕した女。彼女が冤罪だったのではないかと考えた父親たのまれ遠野に春江と共にやって来た紅子。殺害された女。彼女の家族を惨殺した犯人の正体。
  • 髑髏島殺人事件
    今谷少年探偵団。『髑髏島殺人事件』をモデルにした連続殺人事件の推理をする滝沢紅子率いる今谷少年探偵団。
  • デスマスク展示会
    『手のひらの夜』
    兄嫁と関係することをやめるように言う女の訪問を受けた雄治。身に覚えのない雄治と関係を持つ女。翌日失踪した兄嫁。兄嫁の訪問と八鉢合わせた恋人の絹子。

    『還魂記』
    長屋に住む藤六が酒をのみ倒れた直後に記憶をなくしたと相談をうけた如月源三郎。自分を大商人の田丸屋の藤六だと言う長屋の藤六...続きを読む
  • 怪奇小説という題名の怪奇小説
     気づいたら、夜の森を歩いていた。空には月が見える。
     足裏にしめった土の感覚がある。存外暗い中でも歩けるもので、ふらふらと、森の中に進んでいく。

     なぜ森の中を歩いているのか?
     理由はさっぱり分からないけれど、暗く恐ろしい森の奥に何かがあるような気がするし、月明かりも足下まで届く。逆に引き返す...続きを読む
  • 怪奇小説という題名の怪奇小説
    帯に「道尾秀介を生んだ一冊」と書かれており、解説も道尾秀介が書いている。道尾さんがよくいう「小説でしかできないこと」が何なのかをこの作品が表している。恐怖小説ではなく、たしかに怪奇な小説だ。