伊藤亜紗のレビュー一覧

  • 手の倫理
    「接触」を否定するコロナ禍に読んだことで大変考えさせられる読書体験となった。言葉なくとも共鳴すること、境界がなくなるという感覚は興味深い。
  • 手の倫理
     目の見えない人や耳の聞こえない人からインタビューして研究を進めていた著者が、介助の経験を通して体の接触をする中で、「さわる」、「ふれる」とはどういうことなのか、人間関係にどのように関わるのかなどについて考察したものである。

     伝統的な西洋哲学では、5つの感覚において視覚が最上位に位置付けられる一...続きを読む
  • 手の倫理
    コミュニケーションは多様である。言葉だけを記号として伝える。面前で声で伝える。身振りも交えて。また、相手に触れる。触れながら話す。黙って触れる。意識的に伝えることだけでなく、無意識に伝わることもある。
    人間は動物であり、当然、物質である。物質が運動を受ける時、さまざまな効果が現れる。人間では感情が発...続きを読む
  • 目の見えない人は世界をどう見ているのか

    新たな視点に気づかされます

    2020年中学入試では栄光学園、中大附、東京都市大附で出題、高校入試では東京学大附で出題された。
    先日、目の見えない人に道を聞かれて、説明にとても苦慮したことがあって読んでみた。
    実は足の裏から多くの情報を得ているとか、美術館で絵画鑑賞するとか、驚きの世界であった。
    大切なのは、見えている人が...続きを読む
  • 目の見えないアスリートの身体論 なぜ視覚なしでプレイできるのか
    スポーツは、目の見えない人にとっては、安全な場所。という感覚に驚いた。

    ルールがあるからこそ、自由に出来る。それは、フィールドやコートといった仕切られた空間も同様。

    ルールがあるから自由、安全という感覚は、一般的な社会においても、示唆を与える。

    とにかく、特殊な状況を理解することは、物事を理解...続きを読む
  • 目の見えないアスリートの身体論 なぜ視覚なしでプレイできるのか
    前著「目の見えない人は世界をどう見ているのか」の一流アスリート編。興味深い世界が開かれていく。視覚障害に対して、かわいそうではない、平等な地平がスポーツを通して見えてくる。
  • 目の見えないアスリートの身体論 なぜ視覚なしでプレイできるのか
    リオデジャネイロでのパラリンピックが盛り上がりは2020年に向けて障がい者スポーツへの関心のギアを一段階上げると思います。NHKの放送もソチの時は教育テレビの福祉番組が中心にあったように覚えていますが今回は総合テレビでスポーツとしての中継が存在感を増していました。本書も社会福祉的な論点ではなく身体論...続きを読む
  • 目の見えない人は世界をどう見ているのか
    小学生の頃位から目が悪いことを自覚するようになり、近視、遠視、乱視、斜視の全部アリ状態なので
    いつか見えなくなるのではという不安は予てより持ち合わせていた。
    売れているらしいことと書名が気になり読んでみた。
    発見も多かったがほとんどが中途失明者の話で先天的に視力のない人はどのように見ているのか気にな...続きを読む
  • 目の見えない人は世界をどう見ているのか
    こういう本は、インタビュー→その内容を消化→既存の研究内容とすり合わせて昇華、という構造だと思うのだが、昇華の部分が特に物足りなかった。
    インタビューの内容はかなり良い題材だと思う。しかしそれで辿り着く考察が「はぁ普通やな」みたいな話で、イマイチ感動がなかった。
    筆者の考察が面白くなくて、インタビュ...続きを読む
  • 「利他」とは何か
    冒頭の伊藤さんの話は分かりやすく読めたが段々、理解が追いつけず、最毒が必要と感じた。
    全体を通しての印象は「利他」も含め、一見、善い言葉も使うときには正しく理解しなくてはならないということ。特に利他はその最たるものの一つ、と思った。
  • 感性でよむ西洋美術
    ルネサンス前後の絵画を中心に解説をしてくれる本。
    昔の絵画についてあまり知らなかったので、ためになりました。
    他の比較しながら説明をしてくれるので結構わかりやすいです。
  • 感性でよむ西洋美術
    西洋美術の流れを大まかに伝えてくれる。要所を押さえているので分かりやすい。芸術の持つ一つの意義を提示してくれる。
  • 目の見えない人は世界をどう見ているのか
    盲目の人と接することがあり、何か得られないかなと読んでみたが、易し過ぎて特に新しい発見はなかったかな。これが初見ならばいい入門書なるのかもしれない。
    読むのならば、目の見えない白鳥さんと~でいいと思う。追加でコテンラジオの障害の歴史やヘラルボニーの活動を知ると、より理解が深まると思う。
  • 目の見えない人は世界をどう見ているのか
    目の見えない人に、何を聞いてみたいだろうか。
    そこは暗闇の世界なのか。
    聾唖の人をどのように区別し、愛するのか。
    寡黙な優しさを感じられるのか。
    盲目の世界において、美しさとは。
    価値観はどのように変わるのか。

    残念ながら、本著はそういう観点では、インタビューをしない。また、登場する「目の見えない...続きを読む
  • 体はゆく できるを科学する〈テクノロジー×身体〉
    ★★★
    今月1冊目
    科学的な本。ピアニストにエクソスケルトンをつけて物理的に動かすとできないからできるイメージがわいてジストニアがなくなる。
    このマシーンいくらするんだ?
  • 目の見えない人は世界をどう見ているのか
    目の見えない人の世界が少しだけ想像できた本。
    何か足りないことに嘆くのではなく、今の状況を受け入れて前へ進むことの大切さを改めて感じた。目が見えない状況でのスポーツに関して興味がもてた。
  • 手の倫理
    特に触覚に興味があったとあるタイミングで、後半を読み終えた。
    不道徳な触覚が持つ倫理性。私はどのようにして社会的成熟度を操ることができるだろう。
  • 目の見えない人は世界をどう見ているのか
    目が見えない人の世界の見方が面白かった。
    目が見える人は見えているようで、意外と見えていない。例えば、目が見える人は風景を見る時、立体的ではなく、平面的に見ている。目が見えない人は頭の中で想像して見るので、物を立体的に捉えている。
    また、見えない人は想像力や推理力が優れているので、人の話を聞いた時に...続きを読む
  • 手の倫理
    さわるとふれるの違いは奥が深い。
    多様性のところの
    多様性を象徴する言葉としてよく引き合いに出される「みんなちがって、みんないい」という金子みすゞの詩は一歩間違えば「みんなやり方が違うのだから、それぞれの領分を守って、お互い干渉しないようにしよう」というメッセージになりかねません。
    つまり、多様性と...続きを読む
  • きみの体は何者か ──なぜ思い通りにならないのか?
    小中学生に本を紹介するにあたって、新しく出ている「ちくまQブックス」から選んで読んでみた。やさしく書かれてはいるけれど、中身は深いと思う。著者は吃音があるから大学の教員になるなんて思ってもいなかったようだ。僕も体について悩みがある。中3のときだったと思う。ものすごくトイレを我慢したことがあった。それ...続きを読む