香山さんの最新本『貧乏クジ世代』を布団の上でゴロゴロしながら読みました。
貧乏クジ世代=団塊ジュニア世代(1970年代以降の人々のこと。現在の20代後半から30代前半)。
団塊のジュニア世代とは、バブル崩壊直後くらいに社会出た人たち。
この世代の特徴を現代社会の様々な現象に照らし合わせて挙げています
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たとえば「自己啓発系の本」を読みたがるのは、この世代の人たちが、
少し前の学園紛争など不満を社会に吐き出していた世代と違って、
「個性」だとか「自己実現」だとか言われるようになったちょうど初期の頃で、
視線が社会から個人の内へ内へという内向き志向が強いためなんだとか。
さらにちょうどバブルが崩壊し、職もない、いまさら社会に目を向けて、
自分たちの力で変えようにもどうしていいかわからない、
そんな宙吊り状態が拍車をかけている。
また、内向き志向はさらに「血液型」や「守護霊(『オーラの泉』とか?)」といった超越的なものにすがる傾向に現在は強くなっているそうです。
この世代に限らず、現代の若者たちは、社会的地位や富から安定した生活を求めるといった香山さん風に言うと「超安定志向」が強まっているとか。
(まさに、今年の発表でやったところですね!)
不況・雇用環境悪化・将来不安という不運な日本社会(=貧乏くじ)の中で、
あきらめに近い感覚から、安定した生活さえ送れれば、という考えが高まってきているのだと。
浅田真央、安藤美姫、宮里藍、綿谷リサといった同世代の活躍は、
成功者に嫉妬することもなく、素直にその成功を喜び、
どこか遠い世界のことだと感じていて、自分は「安定でいい」と考えている。
「オレはビックな人間になる」と豪語していた時代はいつぞや・・・と。
(この辺は『下流社会』に通じるところもあるのかしらね。)
格差が広がり階層化が進みつつある日本社会だけど、
自分の置かれた環境を恨まず、もちろん恨んでしまうのも仕方ない
様々な外発的要因はあるけれどもさ、肩の力をすっと抜いてポジティブシンキングで行こうよ!
ってな感じの本でございました。