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「途方もないものを読ませていただいた」──蓮實重彦・東大元総長の絶賛を浴びて早稲田文学新人賞を受賞した本作は、75歳の著者デビュー作。昭和の知的な家庭に生まれたひとりの幼子が成長し、両親を見送るまでの美しくしなやかな物語である。半世紀以上ひたむきに文学と向き合い、全文横書き、「固有名詞」や「かぎかっこ」「カタカナ」を一切使わない、日本語の限界に挑む超実験小説を完成させた。第148回芥川賞受賞作。小説集『abさんご』より表題作のみ収録。
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Posted by ブクログ
爆裂に読みづらいけどきっとすげえ名作に違いない! だって芥川賞だぜ!? って思いながら読んだけど意味がほとんど頭の中に入ってこない! もうすごいな! ははは…本当に同じ日本語かよ…表題作もそうだけど、収録されている普通の文体の方もなかなか強者で、私ただ文章の美しさに見惚れていたのであった。 ただこ...続きを読むこまで文章が理解できなかった本について感想を書くこと自体がはばかられるため、私は個人的には「虹」が一番好きかなって感じである。 芥川賞作家がみんな多作かというとそんなことなくて、この本のようなきっとすごく特殊な事例もある。 この本が世に出てきて、正当に評価された…それ自体素晴らしいこと!
正直、読むのはかなり苦痛だった。読みにくいし、ストーリーも面白くないと思った。 それでも、他にない文体を持つ小説という一点で芥川賞受賞、そして後世に残すべき作品であると思う。こういう書き方があるのか、という驚きがある。
みるく色のそらと,みるく色のうみのあわいで,はい色をしたにほんごが,きまぐれにたゆたっていました. このそらはきおくで,このうみはゆめなのかもしれませんでした.だから彼女が,彼女だけが,みるく色にゆびをひたし,まどろむにほんごをすくい出すことができました.すくい出したにほんごを,(彼女にとって)ふさ...続きを読むわしい頁へ,(彼女にとって)ふさわしいにほんごのとなりへそっとよこたえ,いみを,けしきを,もの語りを,めざめさせることができたのでした.
芥川賞受賞作である「abさんご」と著者が二十六歳の時のデビュー作、他に二編の合計四編の短編が「リヴァーシブル形式」で掲載されている。 「リヴァーシブル形式」がどういうものかは、本屋さんで手に取って確認してください。 まずデビュー作である「毬」。 そしてその「毬」と同じ少女が主人公である「...続きを読むタミエの花」と「虹」の三篇。 少女の名前は「タミエ」。 けっして良い子ではない……というよりも今だと「問題児」扱いされるのかな。 読んでいるうちに僕なんかはこの「タミエ」にどうしようもなくシンパシーを感じてしまった。 なんとなく「タミエ」のことが理解出来てしまうように感じられるし、特に「タミエの花」における、自分の世界を必死に守ろうとするタミエの姿には共感できた。 そんな心理状態で「虹」を読んだから、けっこう衝撃は大きかった。 タミエが思い出した幼少時の出来事。 果してこの出来事を知ってからも、タミエに対してシンパシーを抱き続けることが出来るかどうか。 三篇ともとても面白く読めた。 さて受賞作の「abさんご」。 ネットで検索してみると「難解」だの「読みづらい」だの「読者に不親切」だの「こんなのが芥川賞?」なんて書き込みが結構見受けられた。 結論から先に言ってしまえば、少なくとも僕にとっては難解でも読みづらくもなかった。 確かに「実験作」ではあると思う。 かぎかっこや固有名詞を使用せず、漢字もかなり開いてひらがなを多用する。 しかも縦書きではなく横書きで掲載する。 そんなあたりは「実験作」だな、と思える。 でも決して読みづらくはなかった。 ひらがなをいちいち頭の中で漢字に変換して云々している方もいるみたいだけど、僕なんかは前後の文章から意味が解れば、いちいち漢字になんか変換することなどしなかった。 横書きの文書にしたって、ネット上では殆どが横書きだし。 問題は「固有名詞」を使用していない、ってことにあるのかな、なんてことを感じた。 例えば単語で「蚊帳」と書けば一言で済むところを、文章で三行費やして表現していたり、「傘」と書けば一言で済むところを「天からふるものをしのぐどうぐ」と表現していたりする。 このあたり、読む人によってはとてもうっとおしく感じるのかも知れない。 あるいは回りくどく感じ、それが結果として「読者に対して不親切」あるいは「著者の独りよがり」という印象となるのかも知れないな、と推測してみたりする。 僕なんかはこういう表現をされると、「はて、これは一体何を意味しているんだろ」と、ああだこうだと考えることが出来て非常に楽しい。 あるいは「こういう言い回しも出来るんだ」と新しい文体を獲得できて得した気になったりもする。 「読者に不親切」どころか「著者のサービス精神満載のプレゼント」みたいに思えてしまうのだ。 この受け取り方の違いがこの作品の評価を大きく分けているのかも知れない もちろん、どちらの受け取り方が良い、悪いではない。 ましてはどちらが正解でどちらが不正解なんてことではない。 ただ、「ちょっとこの表現は強引に結びつけすぎなんじゃないかな」なんて思える箇所も正直あったりもした。 きちんとしたストーリーも存在している。 読み始めは少し曖昧模糊としているだろうが、読み進めるうちに明確なストーリーは浮き出てくる。 ただ、浮き出てくる前に「読みづらい」ということで放棄されてしまう可能性もあるのかなと思う。 それと時間軸が結構幅広くあっちいったりこっちいったりする。 しかも視点はこの物語を語る人物の一人称なのだけれど、この人物の幼年期を回想したりする場面では、あえて俯瞰した三人称的な視線を使用したりしている。 このあたりのブレ(いやいや、ブレじゃないんだけどね)も、読んでいて難解な印象を与えてしまうのかもしれない。 そういえば「abさんご」ってどういう意味なんだろう・ aとbがさんごのように分岐しているってことなのだろうか。 そしてどちらを選ぶか。 まるで人生の岐路を表しているのかもしれない。 当作品の冒頭ではaもbも選択されない。 当作品の最後ではaからもbからもさまざまな匂いがあふれよせてくる。 ちなみにこの最後の箇所、泣きそうになってしまった。 自分なりに色々と分析らしいこともしてみた(柄にもなく、ですね)。 それだけ、色々なことを考えさせてくれた。 いずれにしても、非常にクセのある作品だと思う。 だから評価もかなり大きく分かれると思う。 僕にとっては、これは非常に面白い作品だった。 前にも書いたけど、決して難解な作品でも読みづらい作品でもなかった。 少なくとも「実験作」ではあるが「前衛作品」だとは思えなかった。
雑誌で出たときに読んでたけど、単行本買って再読。早稲田文学7での対談読んでからの再読だから、前よりも多くの言葉に良い意味でのひっかかりを感じることができた。あの時間の遠近感が、自分が子供だったころの懐かしい諸々(もちろん負の感情も)を思い出させてくれる要因かも。人が嫌いで興味が薄く、物ばかり書いてい...続きを読むるという黒田さん。言われてみればその通りだ。なんせ片親がどちらの親かすら書かれてはいないのだから。物や景色、見えたもの見えなかったもの、使われなかったもの、「言えなかった」という事実だけが残る言葉たち。過ごさなかったもうひとつの時間。自分の来し方をこんなふうに綴ることができたら素敵だ。
少しずつ読みすすめる物語。 この感覚が心地良い。 黒田夏子さんがテレビ番組で特集されていて、気品のある落ち着いた佇まいにほっとしたと、同時に、本屋へ走った。 著者も何十年もかけて書き綴ったのだから、私は何十年もかけて読みたい。 固有名詞や時間の流れに留められない文学がある。 難読には変わり...続きを読むはないが、難解ではない。 平仮名と漢字の波に呑まれるリズムが懐かしいようで、優しい。考えられるだけの思いやりと愛が書かれた本だと思う。
読みづらいという意見ももっともだと思うけど、こんな文章が読めるのはこの作者だけ!家の描写とお盆の描写がとても美しくてずっと覚えています。
わかるひとにはわかるのだろう そう書いている人じしんがよくわかっているのかは じしんにもなに一つかくしょうはないまでも、もしくはほぼそれはないと思われてもなお いつのまにかひきこまれ限りなくあたたかいきもちにさせられる作品
最初は読みづらく感じたが、三章ほど読めばだんだんになれてきてさほど苦もなく話の筋は理解できた。ストーリーはかなりあっさりとしていて、簡単にいうと、死んだ父親との関係とそれをこわした家政婦のことを軸に、自分の半生をふりかえり、もっといろいろできたけど何もしなかったなあ、という話。あらわしきれなかった家...続きを読む族への愛、そして家政婦への憎しみ...けっして美しい話ではなくむしろとてもどろどろとした話だ。美しいのはいつでも溢れている過去・空想・選択肢と、それをあたかも水に浮かべたかのような文体。最後まで読んだらかならず第一章に戻ってほしい。時系列では最初が一番後の話で、一見尻切れトンボなラストを補完してくれる。
abさんごは2012年早稲田大学文学新人賞受賞、「毬」「タミエの花」「虹」は1963年読売新聞短編賞受賞。その間50年半世紀あまり。一作家の時を経てその作風がわかる。「abさんご」は75歳で芥川賞受賞という話題性もさることながら横書きひらがな多用な文章で個性が群を抜く。読みづらいことをがまんして読み...続きを読む進めると不思議なことにそれに慣れてくる。言葉の表現の美しさに感心しながら読み終えたとき、ぼんやりとこの作品の姿がみえてきた。一人っ子の生い立ちから大人になって両親を見送るまでの物語。 aとb、aかbか、選択しなかったもう片方はどんなだろう。など、文章のあちこちに垣間見えることがこの作品の意図でしょうか。 「毬」他二作はタミエという少女を通して見る世界。子どもが解釈する大人社会や境遇が謎めいてみえる。こんなふうに子どもの頃はみえたのかななど懐かしさとともに怖さを感じた。 時間を費やしました。
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黒田夏子
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