言わずと知れたサイバーパンクの始祖。
冒頭から特殊な用語が連発され、怒涛のごとくイメージの洪水を浴びさせられる。単語の意味を把握するのが大変で、読み進みにくいということでも有名だ。急な場面転換、つかみにくい人物の行動に混乱することも。500ページ超の大作ということもあり、小説としては読み切るのに気合
...続きを読むがいる類だが、それだけの見返りはある。個人的には第二部のラストから突如面白くなってきて興奮した。挫折している人には、後半は面白くなるから頑張れ、と無責任に言っておく(笑)。
数多の映画やアニメなどに影響を与えた起源ということで、源流的な素朴さを想定して読んでみたが、以外にもこのジャンルで考えられそうなすべての要素がすでにあるのでは?と思うほど盛りだくさんの密度がある。「原点にして頂点」という言葉があるが、サイバーパンクでこれ以上他にやることがある?と思ってしまったほどだ。ラストの数ページでさらにガツンとやられ、 [ヒューゴー賞・ネビュラ賞] 受賞の文字が頭に染み込んできた。なるほどの衝撃だ。
作中で描かれる電脳空間を中心としたSFガジェットは、時代が進むにつれますますリアリティを増している。1984年の小説にもかかわらず、古さを全く感じさせないのはそのためか。きっとまた読みたくなる作品だ。