異星人が猫の可愛さにメロメロ『カワイスギクライシス』感想解説|鷹野凌の漫画レビュー
今回は『カワイスギクライシス』をレビューします。地球の調査に来た異星人が、初めて遭遇した猫の可愛さにメロメロになる作品です。著者は城戸みつる(きど・みつる)さん。集英社「ジャンプSQ.」で連載中。4月に単行本1巻が出たばかりです。
『カワイスギクライシス』作品紹介
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『カワイスギクライシス』1~巻 城戸みつる/集英社
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本作の主人公はリザ。異星人です。外見は地球の女性風ですが、頭に2つ角っぽい突起があります。地球を調査に来たものの、人類の文明レベルが低いから、滅ぼしてしまおうと考えるような、ちょっと過激で危ないやつです。ところが、同僚から休憩を勧められ、たまたま入ったのが猫カフェだったのが運の尽き。猫のあまりの可愛いさに、ハートをわしづかみにされてしまいます。
腰が抜けたり、吐血したり、失神してしまうリザ。可愛い過ぎて、命が危ないくらいの勢いです。リアクションが過剰で、異常で、可笑しい。優秀なはずの彼女は、あっというまに腑抜けになってしまいます。地球の生命は猫の可愛さによって、異星人に滅ぼされる危機を免れるのです。めでたしめでたし(終わってません)。まあ、猫は可愛いですし、可愛いは正義なのです。
そんなリザは、衰弱した捨て猫と運命の出会いを果たします。そういえば私が昔飼っていた子も、捨て猫でした。ダンボール箱に入れられ、こっちを見上げて必死で「ニャー」と鳴く姿。気がついたら、後先考えずに連れ帰っちゃったのを思い出しました。心を奪われるというのは、ああいうことなのか。猫の可愛さに我を忘れるリザの姿が、他人事とは思えません。
うちの子がいちばん可愛いって、自慢したくなる気持ちもわかります。当時、SNSはまだ無かったころですが、自分のホームページに猫の写真、ばんばんアップしてましたから。もしいま猫を飼ったら、毎日Twitterに「うちの子が可愛い」って投稿してるんだろうなあ。容易に想像できてしまいます。
……とまあ、私はどちらかといえば猫派なのですが、犬を飼っていたこともあります。そして本作にももちろん、犬も登場します。犬派も納得。猫も犬も、可愛いですよね。他にも、ハムスターとかハリネズミとか、いろんな可愛いが登場します。可愛いは正義だ! 可愛いは世界を救うのだ!!
新型コロナウイルス感染症により巣ごもり生活が続き、苛立たしいニュースばかりの毎日に、気持ち安らぐ「可愛い過ぎる」清涼剤。異星人の過剰なリアクションに、ペットの魅力を再認識できる作品です。疲れた脳も、リセットできますよ。
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『カワイスギクライシス』1~巻 城戸みつる/集英社
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