グーテンベルク21作品一覧
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-演者によっては、田之助の弟子の沢村田之紀という、やはり親孝行な芸人のことにして話す。孝行の徳が幸福を得たというのだから感じがよい。
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-これは元三題噺である。酔っぱらい、芝浜、財布の三つをまとめたもので、現在のような名作落語に作りあげたのは円朝である。海で拾った革財布を腹がけの丼にしまうものと、財布を盤台へ投げ込むものと、また前を略して、家へ帰って来たところから始めるものと、いろいろの型がある。
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-にせ物の幽霊の噺も少なくないが、この話に出るねじべえは珍らしい善人である。雛の箱についている樟脳の匂いを嗅いで樟脳玉の燃える匂いを思い出し、魂を連想したところなどは、あっぱれ作者の働きで、名作である。
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-殿様の将棋は傍若無人、都合がわるくなると、その歩を取り払えとか、飛車が金銀を飛び越えて相手陣へ成りこむ。これならもちろん連戦連勝、おもしろくないので「負けたやつには鉄扇をお見舞いする」と宣言したが…
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-王子には昔たくさんきつねの穴があったそうである。そうして王子は江戸庶民が四季おりおりに訪れた場所でもあった。もとは「高倉狐」という上方のはなしである。
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-小網町の質屋の息子半七は碁か将棋のため遅くなって帰宅、父親に締め出されてしまう。一方、隣の船宿の娘お花も夜遅くなって締め出しを食う。半七は霊岸島の伯父のところに泊りに行くが、お花は無理矢理くっついていく。酸いも甘いもかみわけた伯父は二人を二階へあげてしまう。
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-長屋住まいの孝行娘おつるは大名にみそめられ男子をもうけて大出世。兄の八五郎をお城へ呼んだ。礼儀もなにも知らない八五郎は天衣無縫に振る舞って気に入られ、石垣杢蔵源蟹成(いしがきもくぞうみなもとのかになり)という名前を頂戴した。あるとき馬に乗っての使者に遣わされたが…
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-長屋の家主幸兵衛は世話好きだが、小言ばかり言ってうるさい。貸し家札を見て、次々と借家人がやってくるが、口頭試問は辛らつ。そこを無事通過しても、幸兵衛の想像力の飛躍はとどまるところを知らない。
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-碁がたき同士が「きょうは待ったなしでいこう」と決めて打ちはじめると、さっそく相手が「待った」。「そりゃねえだろ」からはじまっての言いたい放題の喧嘩わかれ。だが雨降りが続くと何となく碁が打ちたくなって…
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-町道場に通う熊五郎、剣術にこって商売を怠け、質においた蚊帳(かや)さえ受けだせない。女房に悪態をつかれて先生に「道場をしばらく休みたい」と相談すると、「蚊の大群など恐れるに足りない」と先生は言い、撃退の謀計(はかりごと)をさずけてくれた…
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-道楽のすえに勘当された若旦那は、船宿に居候するうち、船頭になろうという気を起こす。浅草の四万六千日に蛮勇をふるって船を出したのだが……
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-講談のほうでは佐々木小次郎に同様のがあるので、このような題名をつけたのであろう。続き話のごとく重々しく振り込んで軽く落とすところ、真打ちのやるべき大物である。
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-前に奉公していた男が上方からもどり、役者になったと挨拶にくる。「一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき)」で熊谷直実の馬の足で舞台に立つという。旦那はよろこび店の連中総出で見物にゆく。さてその結果は?
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-以前からあったちょっとした話を、幕末・明治期に活躍した円朝(えんちょう)がこれだけにまとめあげたものだといわれ、円朝得意の人情噺(にんじょうばなし)である。
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-佃祭の実話を小噺を着けてサゲたものである。これは立派な真打ち噺で、信心などをマクラをつけて、長い高座にしている。
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-これはとくに解説をいれることもない。明るく、素直にやれば、たいへんおもしろい。知ったかぶりをする人をうまく描いている。
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-「婚礼に御用捨」は「巡礼に御報謝(ごほうしゃ)」にかけたもの。上方では「…このうらふうねェに帆を上げてェ……助け船ヤーイ」」でサゲている。
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-そんな馬鹿なはなしがある? と言いたくなるみごとな最後のサゲ! 熊(くま)はテレポーテーション能力の持ち主か。
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-原話は江戸期の「醒睡笑(せいすいしょう)」(安楽庵策伝著)などの江戸小咄からに見られる。上方では単に「床」と言っている。名作である。
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-家主招待の長屋のお花見。酒も肴も盛りだくさん、ただしどれ一つとして「まともな」ものはない。やけ酒ちかくなっての言いたい放題、これがめっちゃ面白い。
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-仰々しい馬乗りのいでたち、駈けっこの末の空腹とさんまの匂い、百姓の啖呵、大名どうしのやりとり、誰も目黒がどういうところかまったく知らない世間知らず……文字で追うと、また格別のおもしろさがある。
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-中国の「笑府」に出るはなし「饅頭」がもとになっている。談州楼焉馬(だんしゅうろうえんば)編の「落噺(おとしばなし)」中には、東南西北平作として出ている。
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-運びに無理がなく明朗でおかしくて構想の奇抜なところ、まことに代表的な名作。作者の二代目正蔵の前身は僧侶だったという。
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-円朝作の三題噺〔客から適当に三つの題をもらい、一席の噺にする〕という。題は毒消し、鉄砲、たまご酒であった。落語中の大物とされている。
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-初めての子に縁起のいい名前がほしい…坊主に相談してつけた名は「じゅげむじゅげむ、ごこうのすりきり、かいじゃりすいぎょのすいぎょうまつ……」前座の口ならしに格好のはなし。諸地方の民話に似たものがあるという。
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-この噺の落ちはいく通りもある。町内の鳶頭(とびがしら)の家へ行き、宝船の図を見て「いい六だなァ」と褒めると「ナーニ七福神だ」とさげる。これが一番古いらしいが、ほかにも「これァ六だろう」「ナーニ質の流れだ」というのもある。江戸小噺から取ったものだが「膝栗毛」にも使われている。
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-「サアサアご用とお急ぎのないお方はゆっくりとお聞きなさい…」という口上で有名。「高田の馬場」という題でやることもある。
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-およそ落語家で、道灌を演(や)らぬものはほとんど無かろうというくらい、前座咄の中での王様にも当たる。
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-人情噺 「明烏後真夢(あけがらすのちのまさゆめ)」の発端である。噺の中のクスグリをサゲにして、一席の落語にしてある。
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-江戸小咄を「新年」「春」「夏」「秋」「冬」の、5つの季節にふさわしい129の話題にそって分類。小咄、川柳を中心にすえ、季節の風物・事物・場所・言葉にまつわる来歴をまじえて、親しみやすく書き下ろした歳時記ふうの好読み物。艶笑ばなしあり、軽口あり。
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-江戸小咄を「新年」「春」「夏」「秋」「冬」の、5つの季節にふさわしい129の話題にそって分類。小咄、川柳を中心にすえ、季節の風物・事物・場所・言葉にまつわる来歴をまじえて、親しみやすく書き下ろした歳時記ふうの好読み物。艶笑ばなしあり、軽口あり。
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-江戸小咄を「新年」「春」「夏」「秋」「冬」の、5つの季節にふさわしい129の話題にそって分類。小咄、川柳を中心にすえ、季節の風物・事物・場所・言葉にまつわる来歴をまじえて、親しみやすく書き下ろした歳時記ふうの好読み物。艶笑ばなしあり、軽口あり。
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-好評の「江戸小咄春夏秋冬」の続編。この上巻は《季節を売る》で、江戸の名物でもあったさまざまな行商人を正月の「扇売り」「宝船売り」から年末の「ふぐ売り」まで21編を収める。
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-バッコスはディオニュソスとも呼ばれ、人間に葡萄から酒を造ることを教えた神、すなわち酒の神として知られている。劇は、この神が、初め小アジアからペルシア方面で多くの信徒を得た後、みずからは人間の若者の姿となり、多くの東方の信女たちを率いてテーバイに現われたところから始まる。テーバイでは、老齢のカドモスがディオニュソスを信奉するが、娘たちは、ディオニュソスが神であることを認めようとしない。とくにカドモスの孫で、現在のテーバイの支配者であるペンテウスは、人間の姿をしたディオニュソスを、神とは知らずにこれを捕え、鎖でつなぐ。そのために、彼は神罰によって恐ろしい最期を遂げる。ペンテウスの母およびその姉妹たちも、神を嘲(あざけ)った罪を罰せられ、一家ことごとく国を追われる。この作は、エウリピデスの死後始めて上演されたが、彼の傑作のひとつで、この劇ほど舞台で歓迎され、また多く引用され模倣された劇は他にないくらいであるという。
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-「アウリスのイピゲネイア」の後日譚。アウリス港で、アガメムノンは娘のイピゲネイアを女神アルテミスに生贄(いけにえ)として捧げざるを得なかった。しかし、人々の眼には儀牲となったようにみえたけれど、実は女神は牝鹿を代りに生贄としてイピゲネイアを助け、彼女をタウロイ人の国タウリケに連れて行って、そこのアルテミス神殿の女祭司にしたのだった。黒海の奥のこの辺地では、他国人を捕えるとこれを人身御供(ひとみごくう)として女神に捧げることが掟となっており、イピゲネイアは、女神の女祭司として、その生贄の儀式の最初の浄めの式を務めねばならなかった。それが、自分の血を分けた弟オレステスの浄めの式をやらねばならなくなったのだから皮肉である。オレステスはアポロンの指示にしたがって、タウリケにアルテミスの神像を取りに来たのであった。彼は親友ピュラデスと共に、黒海入り口の難所、シュムプレガデスの岩を越えてはるばるタウリケまで辿り着くが、海岸で土地の者に見つかって捕えられる。かくしてイピゲネイアが、知らずして弟に生贄の浄めをすることになる。いよいよとなったとき、イピゲネイアは妙案を考え出し、姉弟とピュラデスは神像を携えて乗って来た船で遁れる。
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-テーセウスの若妻パイドラーは自分の継子ヒッポリュトスに恋し、そのことに思い悩む。彼女は誰にもうちあける気はなかったのだが、乳母のお節介によって、ヒッポリュトスに知られてしまう。ヒッポリュトスに罵倒されるに及んで、彼女は愛する男を死に陥れるような遺書を残して自殺する……エウリピデスの代表作の一つ
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5.0メデイアは敵将イアソンと恋に落ち、父にそむき、弟を殺し、故国コルキスを離れてイアソンの故国テッサリアに逃れる。だがイアソンに王位を譲らない弟ペリアスがあるのを知ると、陰謀によってペリアスの娘たちに父を殺させる。テッサリアにいられなくなった二人はコリントスへと亡命し、二人の子供をもうける。しかしイアソンはコリントス王の娘を妻に迎える。メデイアは激しい憎悪のとりこになって……
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-みずから両眼をえぐって盲目となったオイディプスは、しばらくはテーバイに止まることを許されたが、のち追放されて、姉娘アンティゴネーに助けられつつ、諸国を流浪し、結局アテナイの郊外コロノスに辿りつく。このコロノスで、オイディプスはその最初に足を止めた所がエウメニデス女神達(復讐の魔女)の聖域であることを知って、神託による自己の終焉の地に来たことを悟る。ソポクレス最晩年の作。
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-テーバイ王の子オイディプスは、スピンクスを退治してテーバイの王位に即く。初めのうちはきわめて幸福に暮らし、先王の妃イオカステーとの間に二男二女を儲け十数年を経る。ところが突然市に悪疫が流行(はや)り出し、作物は実らず、家畜は倒れ、女は子供を産むことができなくなる。そこで、市の司祭は市民達を引き連れて王に嘆願に来る。先きのスピンクス退治同様、なんらかの方法で今度も市を救ってもらいたいというのである。王自身も前から心配していて、デルポイの神託を伺わせに使いを派遣していた。その報告によれば、「先きに非業の死をとげた先王の仇を打たないかぎり禍(わざわい)はやまない」という。オイディプスはあらゆる手段を尽くしてその犯人を探し出してみせると誓う…自らがその犯人であることを知らずして。
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-「人間の作った規則」よりも「神の定め給うた掟」のほうが大切だと言い張って死を覚悟で兄の埋葬をおこなうアンティゴネー。彼女を岩屋に閉じこめた叔父でテーバイ王のクレオーンは取り返しのつかない悲劇を招く。ソポクレス円熟期の傑作のひとつ。
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-人間に火を与えて大神ゼウスの怒りを招いたプロメテウスは、スキュティアの岩山に鎖でくくりつけられる。海神オケアノスはゼウスとの和解を勧めるが、プロメテウスは承知しない。ついで現われた乙女イーオーの物語によって、プロメテウスはゼウスの没落すべき運命を知る。ゼウスはヘルメスを派遣して自分の運命を聞きだそうとするが、プロメテウスは頑として聞きいれない。突如、雷鳴と地響きとともに岩山は崩壊し、プロメテウスは岩石に巻き込まれて姿が見えなくなる。
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-「テーバイ」はテーバイ王オイディプスの二人の息子、エテオクレスとポリェネイケースの、父の呪咀(じゅそ)を受けた権力争いを描く。この争いは後者がアルゴスの同盟軍を率いてテーバイの七つの門に押し寄せることによってクライマックスを迎える。攻撃側が七つの門に各一人の将を配したのを受けて、防御側も七人の将がこれに立ち向かう。兄弟は一騎打ちの勝負を交え、ついに相打ちで二人とも同時に倒れる。
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-アガメムノンは弟メネラオスとともにギリシアの大軍を率いてトロイアに遠征し、十年の苦闘ののちにようやくこれを征服して凱旋する。しかし、その留守中に妻のクリュタイメストラは、夫の従兄弟にあたるアイギストスと密通し、夫が帰ってきたら殺そうと企らんでいる。彼女はアガメムノンが、二人のあいだの長女イピゲネイアを、女神アルテミスに生贄(いけにえ)として捧げたことを怨(うら)み、娘の復讐をするつもりなのだ。それはギリシア勢が遠征に出る際に、アルテミスの怒りのために船出することができず、それで女神を宥(なだ)めるためにやむなく取られた処置であったが、クリュタイメストラはひたすら娘が犠牲にされたことを怨(うら)んでいた。
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-アガサ・クリスティは犯罪もの、怪奇サスペンスものでも見事な作品を残した。この短編集には犯罪もの「うぐいす荘」「事故」、怪奇もの「最後の降霊会」「第四の男」の、代表作4編を収録した。
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-「火星のオデッセイ」は1970年、アメリカSFファンタジー作家協会が実施したSF短編のオール・タイム・ベストの選出で、アシモフの「夜来たる」に次いで第2位に入った。作者ワインボウムの描いた異星の生物は、他の想像を超えた存在で、地球外の環境の描写とともに、まったくの独創だった。人間とのコミュニケーションを成立させたかに見える「トゥイール」は、その後の異星人の先駆となった。ワインボウムは32歳で一躍SF界の寵児となったが、続編を残しただけで翌年夭逝した。
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-他の恒星系への飛行は実現したが、植民星を作るにはヒトが地球適応型でなくなるしかない。それにはDNAレベルでの「播種計画」が必須である。この計画がうまく運んだ星の一つでは、ヒトは樹上生活をする小人になっていた(「屋根裏の物」)。また別の星ではヒトは水中生活をする微小な知的生物として設計された。彼らは水溜りの支配権を握り、隣の水溜りめざして遠征を企画するが、その最大の障害は途方もない表面張力だった(「表面張力」)。鬼才ブリッシュのハードSF。
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-ウィンダミア卿は評判のよくない年輩の女性、アーリン夫人に入れあげているという噂があり、妻は心穏やかでない。銀行の通帳を見ると、確かに大金が支出されている。妻の誕生日のパーティに、妻の反対を押し切って、卿はアーリン夫人を招待する。その夜、ダーリントン卿から口説かれたウィンダミア夫人の心は揺れ、決心の置き手紙をしてダーリントン邸へおもむく。その手紙を最初に発見したアーリン夫人は、いそぎ跡を追った。……「扇」が巧みな狂言まわしを演じるワイルドの喜劇の代表作。
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-アメリカ南部のさびれた田舎町のカフェで起こるエピソード。カフェの女主人ミス・アメリアは、男のような力を持ちながら、ひどい斜視の持ち主だが、ふとしたきっかけから肉体的畸型児であるせむし男に愛情を抱く。だが、かつてつかのま夫にしたことのある無頼漢で前科者のマーヴィン・メイシーと肉弾相打つ決闘を試みて、あげくの果てには、愛するせむし男そのものに裏ぎられて敗北してゆく。象徴的なトーンは、今日の人間の心の孤独、現実の世界にとりつく島も容易に見出せぬ人間の悲しい状況である。
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-カンザス名物の大竜巻に家ごと運ばれたドロシーは、見知らぬ土地にたどりつき、頭にわらの入ったかかし、心臓がないブリキのきこり、臆病なライオンたちと出会う。故郷カンザスに帰りたい一心のドロシーは、変わった仲間たちと、どんな願いもかなえてくれるというオズの魔法使いに会うために、エメラルドの都をめざす……世界中で愛され続ける魔法と冒険がいっぱいの物語。
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-自分の目にうつる大人の生活を、子供たちは独特の判断にしたがって自分たちの世界に再現しようとする。その結果、古い遊戯やわらべ歌、日常なにげなく使っている言葉や、形式だけ残っている子供の行事には、遠い祖先の生活・思想を解明する鍵が数多く含まれている。本書は児童の言葉や遊戯を民俗学的にとりあげ、その果たしている役割について考える。
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-チェスタートンが晩年に書いたブラウン神父もの最後の短篇集。特有のユーモラスな味が一層濃厚になってきて、神秘的な雰囲気がやや薄れ、なかには、純粋のユーモア小説といってもおかしくないような作品もある。だが、どれも、含蓄のあるユーモアたっぷりな書き出しでちょっと滑稽な人物紹介をやってゆきながら、いつか深い瞑想の世界へ読者を引きこんでゆく。これは探偵小説の根本になるトリックが他の追随を許さないほど独創的で巧妙だからだ。本編には「ブラウン神父の醜聞」「手早いやつ」「古書の呪い」「緑色の人」「青君の追跡」の5編をおさめた。
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4.0セント・メアリ・ミード村で静かな暮らしを送るミス・マープルは、人のうわさ好き。どんな出来事にも興味をもち、好奇心旺盛で記憶力も抜群。編物をしながら、じっと話に耳を傾けている。ガーデニングも好きで、通りかかる人物にも注意を怠らない。そして驚くべき洞察力で、事件の謎を解いてしまう。ミス・マープルは長編「牧師館殺人事件」で初めて顔をみせ、 その後、多くの短編・長編で活躍した。「ミス・マープルの物語は、書いていてとても楽しかった。わたしは、自分が作ったこのおだやかなおばあさんが大好きになってしまいました。読者のみなさんにも好きになってほしいと心から願っています」作者はこう書いた。
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-すでになくなって久しい子供たちの「遊び」の淵源を幅広くたずねて、見すごされがちな小さい世界に大切な文化の歴史を探る好著。なにげない日常の諸相の中に多くの問題意識と解明の手段とをさぐりだす柳田民俗学の方法を知るための平易な入門書でもある。「鹿・鹿・角・何本」「あてもの遊び」「かごめ・かごめ」「中の中の小仏」「地蔵遊び」「鉤(かぎ)占いの話」「ベロベロの神」など40編からなる。
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4.0「まつり」と「おまつり」の使い分け、むずかしそうな「祭礼」、暮らしのなかで出会うこうした言葉の端々から、歴史のなかで生き残ってきた「祭」の姿が徐々に姿をあらわす。全国に残る数多くの事例から、著者は古来の信仰生活の移り変わりを提示する。これから社会へ出てゆく大学生をまえに行なわれた講義で、「祭りから祭礼へ」「祭場の標示」「物忌みと精進」「神幸(しんこう)と神態(かみわざ)」「供物と神主」「参詣と参拝」の6回からなっている。
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5.0舞台はキューバの港町とメキシコ湾流の広大な海、84日間も魚を釣り上げることができなかったサンチャゴ老人は、いままた使い慣れた舟の帆を張り、ひとり外海へと出かけてゆく。目指すは《まかじき》だ。…ついに大物がかかる、二日にわたる死闘のあと、老人はとうとう「わしの大きな魚」を引き寄せ、その姿を目にする。ヘミングウェイの代表作。
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-「地獄の季節」破棄説の真相、アラビアヘの逃亡、ブリュッセル事件の前夜など、その時々に書かれた手紙は、ランボーの文学思想と人となりを垣間見るまたとない資料を提供している。
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-描きようのないものを描き、刹那に永遠の輝きをあたえた早熟な天才少年の詩の全貌を示す訳詩集。「第一詩集」「イリュミナシオン 」「拾遺」「解説」「年譜」からなり、ランボーの韻文詩のほとんどを収めている。長年、これらに親しんだ詩人金子光晴の苦心の訳でおくる。
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-「黙想なさい。孤独を求めなさい……哲理を考えるにはなによりも自省することが必要です……一人でいても退屈しないことを学びなさい。人は孤独に生きると、ますます人間がすきになるものです」と書いたルソー晩年の自我探求の書。
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