【感想・ネタバレ】ディスコ探偵水曜日(下)のレビュー

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Posted by ブクログ

『好き好き大好き超愛してる。』でみせた「愛は祈りだ。僕は祈る。」の信念を、言葉だけでなく実践してみせた、怪作にして舞城の最高傑作。
序盤は村上春樹的な奇想のロードムービーをやり、中盤ではがっつり密室モノのミステリをしつつ序盤の奇想までもを伏線として回収してゆく。大勢の"名探偵"たちによる壮大な推理合戦は、その論理が披露されるごとに新たな真相がアップデートされてゆく。この感じは麻耶雄嵩が『翼ある闇』で試みたそれと近いものがあるのだけど、本作においてはその推理は十三回にもおよび、長大だ。「名探偵は必ず真相を解き明かすがゆえに名探偵である」という循環論理はメタ的には真理で、そのことにさえ自覚的な名探偵たちは「自らが真相を創っている」という考えにいたる。かくして世界は人が思うような姿で在り、それぞれの世界観のつながりのなかで揺らいでいるというさまを解き明かしてゆく。密室の謎を解くことが、世界の成り立ちの謎へと接続する。
超常を一つ一つ許容してゆくごとに世界が拡張してゆくさまはまさに快楽で、下巻では論理のインフレが次第にディストピアSFへと変幻する。
迷子探し専門の探偵、ディスコ・ウェンズデイが子攫いのキャッチャー・イン・ザ・ライになるまでを描く一代記。すなわち愛の実践。

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2019年02月13日

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ネタバレ

中巻の続きから始まらない上になかなかエグい展開だと思ったら、ディスコの現実逃避!
でも、読み終わってから振り返ると、これも後の展開につながってる。

未来のディスコの「よう、これが合図だ。動き出せ。踊り出せよディスコテック。急いでな。恐怖に立ちすくむような贅沢なんて、お前にはもう許されてないんだ」って台詞が好き。そして、未来のJJに会ったあたりからさらに面白くなってきた。上巻、中巻の内容がちゃんと活かされているのがいい。というかよくこんなの考えたなー…。
ハッピーエンドといえるのかわからないけど面白かった。

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2016年12月06日

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舞城王太郎作品を読むのは初めてだったけど、予想以上に面白くてぶっ飛んでた。ぶっ飛び過ぎてて理解が曖昧のまま読み終えてしまったけど、それでも面白かったと言えるし、分からないままでも読ませる勢いがある。「踊り出せよディスコテック」でシビれた。

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2012年04月01日

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『違う。何ができるかじゃない。何かをするんだ。何でもするんだ。』

『世界は人の信じるように在り、その世界観は絶えず他人によって影響され、揺らいでいる。』

『深刻ぶってたって問題は解決しねえぞ? 罪悪感だか自己憐憫だか知らないけど、くだらねえ情緒的な苦しみなんか苦しんでないで考えろよ。』

『何しろ知識も経験も論理も時間も、全て積み重ねなんだからな。』

『親は頑固でも意地っ張りでもないし世界を敵に回しても構わないとも思ってない…護りたいものを護るだけなのだ。』

『俺に正しく強い意志があれば、運命はちゃんとついてくる。』

『…え?酷いって、どれくらい』
『世界が終わるくらいだよ』

『俺には誰かを愛するための愛情があり、それを小枝に注いでみたい。』

『弱いのが悪いなら、悪は弱いんだよ』

『小枝が隣で笑っていてくれるのだけが俺の救いだ。毎日の希望そのものだ。』

『いつもピンチになれば必ず俺が来ると思うなよ』

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2012年01月08日

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この本を読んでる最中に「JOJOノベライズ」の発表を知った。参加した作家は三人。おおっ上遠野浩平!作品からリスペクトがあふれてるもんな。西尾維新!自身が尊敬する上遠野先生と一緒に大好きな漫画をノベライズするなんてヤバい。舞城王太郎…?えっ?以外ッ!!そう思ってた時期が僕にもありました。しかし、時空を超える能力をディスコが得るプロセスと丞太郎がザ・ワールドを得るプロセスはなんだか似ていると気づいてしまった。ぶっ飛んだ会話と世界観も近いかも?え?本の感想?舞城スゲェっすよね。

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2011年04月17日

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ネタバレ

上中下巻の「下巻」

≪あらすじ≫
時空探偵となったディスコは過去へ未来へ飛びまくり。
パインハウスの31人失踪事件
パイナップルホームとムチ打ち男爵
≪吊るされた男≫自殺事件
ラミア症候群(3億人の子供攫い)
すべての謎を解決すべくディスコは未来のJJのもとへ向かう。

そして明らかになる子供の虐待を商売とする『梢式』。
梢が起こした魂の分裂よろしく
子供を虐待することにより魂を人間に入れ出し空の肉体を作成し
需要者は意識の転送を行うことにより不老状態となる。
それを商売とし億万長者となったJJ。

子供を虐待していたのはブラックスワン(黒い鳥の男)であり
その計画を防ごうとラミア症候群・子供攫いをしていたのはディスコ本人であることがわかる。

パインハウスをメビウスの輪に・・・水星Cはパックマンに・・・


≪感想≫
言葉の渦に飲み込まれ疲れた。。。
中巻の探偵による謎解き合戦はどれもこれもそれが正解で良いのでは?と思える程の素晴らしいものだったけど、結局どれも不正解なんだよねぇって解っていながら読むのはナカナカしんどかった。
でも先が読めない展開はさすがでした。

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2011年04月11日

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怒濤のクライマックス! 一気読みの下巻、603P!!
正直半分くらいはついて行けない様な展開なのですが
そこを脳みそを必死コイてのフル稼働で、喰らい付いて
行く先には、なんとも言えない脳内麻薬がジワーっと!
いやー、凄い、もの凄い作品ですなー。
ストーリーの着地点は途中から見えては来たものの、
そこに至るまでの運びは何度もハラハラさせらるし、
中盤での推理合戦がこうやって後半に活きてくるのを
感じるだけでもニヤニヤしてしまう。
そして何より...「水星C」の存在感! 133Pで書かれた
イラスト図がこんな伏線だったなんて!! 最高にカッコいい!!

単に紙に印刷された文字の羅列を目が追い、その内容を
理解しようとするだけで、自分の中で、その紙に書かれた
活字は上下左右、奥行きを持ち、自由に脳内にその世界を
構築するのだ。きっと自分が小説を読む事が止められない
理由がそこにあるんだろーなー。
ラストに書かれるインドのムンバイのカエルのシーンには
あまりの美しさに思わず涙が溢れ出てしまった。

もっと自分がジジイになった時に必ず読み返そう!

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2011年02月25日

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久しぶりにこの作者の本を読んだけれど相変わらずのスピード感。上・中・下と割と長いのに全くそれを感じさせなかった。沢山のキーワードと大量の文脈があったけれどあまり混乱せずに最後まで読めたな。内容は読んだらわかるというかスケールがでかすぎる話。主人公ディスコも面白い奴だったけど水星C、お前最高に面白い奴だよ。

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2020年01月31日

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『ドグラマグラ』のように堂々巡りし、『黒死館殺人事件』のように奇想夢想蘊蓄がゴージャスに詰めこまれ、『虚無への供物』のようにメタメタしく人を食った一大衝撃小説。
ついでに終わり方は『ナルニア王国物語』を思い出した。
こんなものよく書けるな。凄まじい。

と、感心はしたけれど、途中のディスコが時空を好き勝手しはじめたあたりから正直気持ちはさめてしまった。
何でもありすぎてどうでもよくなったと言うか。

それにディスコと小枝が最後まで好きになれなかった。
どうしても「親の気持ち」を考えてしまう。
熱狂的な子供好きの、けれど「親」ではない男(その子供の成長した姿とセックスする夢を見るような)が
「俺が幸せにしてあげるから!」と独断で自分の子供を拐い、どこかにやってしまうって、悪夢だ。
それに子供の意思は?
新しい世界で本当に幸せなの?

崇高な目的があったって、結局ロリコンの誘拐犯そのものじゃない。

そう思ってしまう。
ディスコの掲げる正義と愛が好きになれない。
一番外側にある《好き嫌い》の問題。

水星Cは『ブラック・ジョーク』の小玉で、双子世界は佐々木マキの絵で思い浮かんだ。
頭を引っ張り回される、記憶に残る読書だった。

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2014年04月18日

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相対性理論が天下を獲ったこの現代に、時間や空間の概念そのものを覆した話をでっちあげたのがミステリ作家というのがまた面白いではないか。そりゃ、SF的視点から見ればパラドックスやラグナレク(時間の折り返し)のところは相当怪しいんだけれど、それもまたいいじゃないか。そこに近寄らせない勢いがこの作品にはある。今はまだ習作の域を出ていないかも知れないが、この作者はいずれとんでもない傑作をものするに違いない。いや、ひょっとしたらもう書いているかも知れないわけで。そんなわくわくを感じることができた。80点(100点満点)。

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2012年09月17日

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水曜日の次は木曜日とかになるシリーズモノかと思ったら、、

普段どうりの舞城王太郎節。読んでて気持ちいい。

内容よりも活字のリズムとかで好き。

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2012年04月10日

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この壮大な内容をこの文体で書ききったことを賞賛すべきだろう。
舞城王太郎を一度でも読んだことのある人なら分かるだろうが、舞城の文体というのは、一人の人間の意識を途切れさせずに一本の糸のように描いていく。
読者は一つの人格の思考をひたすら追いかけていくうちに、世界観の大きな変容とコペルニクス的転換を何度も何度も体験することができる。

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2011年09月09日

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我思う、故にセカイ有
そんな、セカイ系ロマンの実現したような世界で
セカイ系犯罪者とセカイ系探偵が戦うスーパーセカイ大戦
うんざりしつつもこれを書き上げたことに頭が下がる

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2011年07月22日

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武者震いで進める下巻。
ちょっと悪が弱い気もするけれど、
世界と時間を向こうにまわしてなので、
楽しめた。

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2011年04月02日

Posted by ブクログ

前半の推理合戦を読むのがつらくて、いつ投げ捨てたろうかなと思いながら読んでいたけれど、たまに出てくる笑いどころで、ぶふぉあと笑ってしまい、また読み進んでしまう。だけど、中巻の後半、第四部方舟の手前から怒涛の展開で、ここからは結構面白い(それまでも面白いけど)。
ロバート・ランキン「ブライトノミコン」のハチャメチャさと、リチャード・マシスン「ある日どこかで」、楳図かずお「漂流教室」を足したような感じ。
文庫で出ている舞城作品くらいは全部読んでから読んだ方が作品をより楽しめる。

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2011年03月01日

Posted by ブクログ

ストーリーに面白いところもあるんだけどね、何しろSF的なところが分からん、というか理解しようという気持ちになれないのよ。どこらへんまで推理なのか、推理の前提のSF的なところが頭が固くて追いつけないのか。まぁ何にしても分からん。
しかし水星のオールラウンダーっぷりが半端なくて、これに比べればいちいち言い訳ばかりの水曜日はヘタレでしかなく、水曜日がのび太なら水星はドラえもんであって、そうなるとなぁ、インチキじゃんてなるけどまぁのび太ものび太なりに頑張った。

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2019年09月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

うぁ~また『九十九十九』的なアレかぁ……とまず思った。パインハウス内で名探偵たちが次々と推理を披露して死んでいくところは冗長というか、事がどのように収束していくのかまったく予想できないだけに苦痛としか言えなかった。そうして長いイントロダクションが終わってやっと本編……みたいな。こっちはわりと楽しめたかな。

幼児への性的虐待を許容し、そのうえで現在よりも繁栄する〈未来〉っていう世界設定がこの上なく舞城王太郎っぽくあり、そんなでも不思議とリアリティがある。子どもの犠牲に成り立つ世界というのは、けど考えてみれば現在ともそう大差ないのかもしれない。

けどやっぱ、なんか希薄なんだよな。梢ちゃんにしろ小枝ちゃんにしろ、その想いっていうのが言葉だけというか、あくまで〈設定〉であって、まあそこまでイっちゃってるのが面白いんだろうけど……長篇になると重心みたいなものが計れなくてふわふわ~っと漂うような味気なさを感じてしまうのだ。舞城は。

ディスコ・ウェンズデイって世界を変えるために闘志を燃やすようなタイプじゃない。絶対。納豆でも豆腐でもどっちでもいいやつだと思う。

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2014年10月02日

Posted by ブクログ

めまぐるしく転がるストーリーに、上手く乗れなかった。sfアイデアがちょっと抽象的すぎることもあって、一読しただけではイメージできない場面も多々あった。展開自体は面白かったのできちんと読んで話についていきたかったのだけど、どうも長すぎてダレてしまった…

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2011年04月21日

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