北欧を舞台にしたヴァイキングの物語。主人公・トルフィンの少年時代は、殺された父親の仇を取ることだけが生きがいでした。少年ながらに、侵略・略奪・戦争を繰り返し、その過程で人を傷つけることを平気に感じてしまう。そんな彼が、戦って、成長して、失望して、希望を見つける過程が、ゆっくりと描かれていくマンガです。
「世の中から……戦争と奴隷を失くすことは、できないもんかな…」
いつしかトルフィンは、そんな夢を口にします。
ヴァイキングとしての過去の過ちを悔いながら、殺してしまった多くの人の魂を背負って夢に進むトルフィン。彼を通じて「本当の強さとは何だろう」という問いに対する答えが、あるいは願いが、丁寧に丁寧に描かれている傑作です。
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13巻もの巻数を掛けて、ついに物語は一つの結実を迎えた。「戦士の誕生」は、それは父から引き継いだものであるという意味でも、あるいはトルフィンが初めて確信を持って生きる道を選んだという意味でも、兄弟と言って同胞を救った意味でも、涙なしには読めない一話だった。本当に、この感想を書いているいま現在も、喉が痛い。
とはいえ、クヌートの陰謀はほとんど達成しようとしているが、エピソードそのものは半ばを過ぎた頃である。ここでの結末は、いま少し巻を割く必要があるのだろう。
間の巻である。だが、星五つは欠かさざるところだろう。
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愛の限界を知って、覇道を進むクヌート。
愛を限界を知るために、国を作ろうとするトルフィン。
どちらも、愛が基点。ベクトルは、正反対だけど。
愛に絶望を感じて、進みだしたクヌート。
愛に希望を感じて、歩き出したトルフィン。
このマンガのテーマは「愛」。そういうとこっぱずかしいし、陳腐な言葉になるかもしれないけど、そうなんだから仕方ないです。
マクロとミクロの視点の違いも、絡んできそうだ。どっちがいい悪いじゃないんですけどね。
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長きに渡った奴隷編が終了する13巻
復讐のために盗みや人殺しをしていた主人公が戦争のない国ヴィンランドを作る決意をします。
色んな出来事があって考え方が変わる主人公は多いですが、ここまで振り幅が大きく変わる主人公も珍しい。
それもなぜ主人公トルフィンは変わることができたのか、それがストーリーと絵を通して語られるので読む側としては自然と引き込まれてしまいます。
ようやく物語の核心部分に迫ってくるこれからの展開がとても楽しみです。
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無いならば創る。
向かうべき道は定まった。
クリティカルな第13巻。
果たして呪われていない人間など、
この世に存在するのだろうか。
こんなにも孤独で、絶望に満ちたこの世界で。
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アルネイズの夫ガルザル逃亡事件後に、ケティル一族が農場に戻る。
トールギルはクヌート王に抗戦することを伝えずに兵を組織。
ケティルは唯一の救いと思っていたアルネイズが逃亡を企てたことを知り、豹変。温和だった人格が崩壊する。
極限状態で人間性がどう変わるのか、そして死ぬことにしか希望を見いだせぬ状況でかけてあげられる言葉はあるのか。
恐らくここまでがヴィンランドを目指すトルフィンの動機付けとなる序章、ということなのだろう。末恐ろしい作品である。
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ようやくスタート地点、「戦士の誕生」。
長い長い旅路と苦悩の果てに、自分が為すべき事を見出したトルフィン。
かつてクヌートが誓った決意と同じというのがまた…。
目に光が宿ったのもいいんですが、エイナルを兄弟と呼んだのが泣ける。いや、ホモいとかそういうんじゃなくてさ(^_^:
道を見出したのと同時に友達・信頼できる中も手に入れたんだなぁ、と。
ケティル悲惨。巻き込まれたアルネイズは更に哀れだけど。
…戦争の被害者なんだよなぁ…。
それにしても蛇強ぇ…。ヨーム戦士一太刀やん。しかも2人。
あれだけ壊滅的な状況で奮戦できるって只者じゃないですな。
…出来ればトルフィンの仲間になって欲しいけど…多分、ケティルと一緒にクヌートの前にしょっ引かれるんだろうなぁ…。惜しい。
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物語がとてつもなく動いた。
いろんな要素が凝縮され、最後へとつながっていく。
それぞれの思いや行動が素晴らしく絡み合って紡がれていて、誰しもが主人公級の魅力を放っていた。
だが、やはり最後はトルフィンの「兄弟」の一言だろう。何なんだ、この高揚感は。
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同時に読んだトリコとは逆に、農奴編も好きだったんだけど、バトルシーンがより楽しみな漫画。
ヴィンランドを目指すトルフィンがどこへ行くのか。剣は捨てられるのかね。
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若干ネタバレ
人はなぜ生きるのか?
あたしにも、この答えはわからない。
解決できないことを暴力で解決してきたこともたあった。理不尽だけれど平和や安全なんてものは、絵空事でしかない。
作中でトルフィンが
「いつも最初の手段を選びとれるようになりたい」と言っていた。
人は大切なものを失わないと気づけない生き物なんだろうか…。
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やっぱりヴィンランドサガは戦争が描かれてこそだな。この躍動感。トルフィンの思いとは反するが。やっとヴィンランドの話が出てきてちょっとゴールが見えてきた。
ヴィンランドへ
相変わらずの戦闘シーン。残酷な運命に弄ばれる人たち。マンネリ感も出てきた。そしてようやくヴィンランドの話が見えてきた。
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11世紀のヨーロッパを舞台にしたヴァイキング叙事詩。財政難解決のためケティル農場接収を図るクヌート軍。策に気づいた農場主ケティルたちは戦いの準備を始める。そんな中、ケティルの寵愛篤い女奴隷アルネイズは、元夫の逃亡を幇助した裏切り行為をケティルに責められ身重の体で暴行を受ける。戦いと悲劇を経て、いよいよ主人公トルフィン復活か!
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戦争、というか、一方的な虐殺だったけど。
トルフィンとエイナズがついに立ち上がった。
ここからが本当の「ヴィランド・サガ」がはじまるのだろう。
2巻から一気にここまで読んでしまった。面白かった。
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クヌートは血塗られた覇王の道を進み、トルフィンは争いのない新天地を目指す。
ヴィンランドへーー。
コロンブスより500年も早く新大陸を発見したのはヴァイキングだったそうです。
ヴィンランドは実在の地だったんですね。
移住したのは豊かな土地でした。
でも先住民と揉めてたみたいです。
言葉は通じず、姿かたちも文化も違う。侵略者なのかと警戒されて当然です。
暴力を失くすのは難しいことですね。
だから理想を掲げ、少しでもマシな世界にしようと足掻くことが必要なのかもしれません。
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ついに奴隷編終了。
長く、辛い展開続きでしたが、大きくお話が動き始めましたね!
奴隷も戦争もない地ヴィンランド。
ここでやっとタイトル「ヴィンランド・サガ」に繋がるのですね。
主人公トルフィンは良い表情を見せるようになりました。
最初の頃の誰彼かまわず噛み付いていた、
あの好戦的な少年はいずこへ?(笑)
続きが楽しみです♪
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世界を楽園にするため、肥大化した自らの欲を守るため、血沸き肉踊る戦いのため、そして死を超えた救いを作るため。それぞれの生きる目的が衝突する第13巻。
なんの為に生きるのか。現実でもフィクションでもヒトは数多の目的をもって日々生きています。今作品は現在に至るまでキャラクターの葛藤を描き、その生きる理由を示して来ました。今回は暴走した欲と愚かな自尊心、それに伴った犠牲が描かれました。この世に絶望し、全てを終わったことにしたまま逝ってしまったアルネイズ。死を受け入れてしまった人にどんな言葉で相対するのか。何の為に生きるのか、未来に対して希望を抱かせる言葉をどうこれからトルフィンが紡ぎだすのか注目せざるを得ない。
現実的な力をもって楽園を作り出すクヌートに対してまだ見ぬ理想の楽園に向かって歩き出したトルフィン。理想と現実が衝突するときどんな事態になるのか、次巻も実に楽しみです。
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今までの話は最後の"戦士の誕生"までの長い道のりだったかー。
「死を超えるものが欲しい」ってセリフが出てくるのすごいなぁ。自然だった。
読み終わった後の作者あとがき「ボク達はなにか共通の目的を持って生まれてきたのかもしれない。そのために持てる全能力全時間を使い、そのためならためらわず死ねる、そんな大いなる目的。人類存続の理由。」を含めた一連の文章も最近の自分の環境と重なってとても良かった。
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この漫画、キャラがどんどん変化する主人公、クヌート殿下、アシュラッド。
今巻では、あれほど善人ぶっていた人が外道に墜ちる。
人は正にも負にも変化するのです。