飯田亮介のレビュー一覧

  • コロナの時代の僕ら
    今も決してコロナが消滅したわけではない。 でも、日常は、たくさんの人達が、通常生活にもどっている。だからこそ、危機感を持たなければなという思いから手にとって読みました。この本が執筆されたときは、コロナ感染真っ只中。著者のイタリア国内では、外出許可書を警察に提出しないといけなかったり、世界中で、コロナ...続きを読む
  • 狼の幸せ
    山に登りたくなる、山の麓に住んで暮らしてみたくなる作品。淡々とした文章だけど、その文章や表現の中に作者の山に対する気持ちや山に関わる人のことが描かれていた。
    心を穏やかにさせてくれる作品だった。再読したい。
  • 狼の幸せ
    訳者です。コロナ禍でひととの触れ合いが難しい日々に執筆していたため、互いに寄りそい、触れ合う人々の優しさ・温かさを「狼」では描きたくなった、そんなことを作者はどこかのインタビューで答えていました。だから本作はいわば「帰りたい山」への郷愁の物語なのかもしれません。

    早川のnoteで訳者あとがきを公開...続きを読む
  • 素数たちの孤独

    久々に読みごたえのある良作

    イタリアベストセラーというのが半分驚き。
    というのも中身がけっこう暗めで、マイノリティの話なので、そんな大勢に読まれるのか、と・・・。

    しかしながら読書好きは東西問わず、重さ、孤独が好きなのかもしれない。
    感情移入しながら読んでしまう。
  • リーマン・トリロジー
    大傑作。NTL版より初代三兄弟以降の登場人物が多く、同じ登場人物でもその葛藤がより丁寧に描かれていたりもして、7,500円の価値は充分にある。マッシー二の他の作品も気になる。
  • コロナの時代の僕ら
    静謐な文章だ。しかし、訳者あとがきであるように著者あとがきの「コロナウイルスが過ぎたあとも、僕が忘れたくないこと」にはかなりの熱量が込められている。コロナウイルスが過ぎ去った後には、「いったい何に元どおりになってほしくないのか」を考えている。元どおりになってほしいことではない。元どおりになってほしく...続きを読む
  • コロナの時代の僕ら
    感染症とは僕らの様々な関係を侵す病だ…

    この災いに立ち向かう為に
    僕らは何をすべきだったのだろう
    何をしてはいけなかったのだろう

    そしてこれから何をしたらよいのだろう


    コロナ時代を生きる人々へ
    イタリアを代表る小説家が送る
    痛切で、誠実なエッセイ集


    何を守り 何を捨て 僕らはどう生きてい...続きを読む
  • 失われた女の子 ナポリの物語4
    HBOでドラマ化もされたイタリアのベストセラー、ナポリの物語全4巻。とにかくはちゃめちゃに長い本なのだがあらゆる時間を削っても読ませるドライブがある。貧困と暴力にまみれたナポリのある地区。幼馴染みの女の子二人の幼少期から60年以上に渡る愛憎の物語。

    このお話は主人公のレヌーとリラの友情物語として紹...続きを読む
  • コロナの時代の僕ら
    ウイルスは変異するもの。ウイルスが変異した責任を問える相手はどこにもいない。ウイルスはただ変異するものなんだから。

    ただ……科学が万能だと信じられていた時代は過去のものだとわかってたけど、どう対応したらいいか、どの情報が正確なのか、どの意見が妥当なのか、そもそも耳を貸すべき専門家が誰なのかもわから...続きを読む
  • 老いた殺し屋の祈り
     どこかかつて観た記憶のある映画のシーンが、深い水の底から浮き上がってくるような感覚。それが本作のいくつかのページで感じられたものである。語り口や物語の進め方が上手いのは、この作家が初の小説デビューにも関わらず、映画の脚本家としてならした経歴の持ち主だからだろう。

     作家が自分の物語として作り上げ...続きを読む
  • 素数たちの孤独
    なんの話か?と思うような断片的なエピソードが重なり、人物像があらわれてくる。
    エピソードの中にはかなり生理的に受け付け難いものもあり、主人公たちが受ける心の傷を理解できる。
    理解はできるけれど、なんで、もう、そんなにも不器用なの?なんでそんなに、あちこちつまづくの?さらっと流して行けないの???
    ...続きを読む
  • 素数たちの孤独
    過去の傷を引き摺る男女の人生を辿りながら、その出会い、交錯、別れ、再会を繊細な筆致で綴る傑作。処女作で権威あるイタリア文学賞を受賞し、人口6000万人のイタリアで200万部を売り上げたのも納得。物語全体の完成度の高さはもちろんのこと、一文一文の表現の巧みさまで語り尽くしたくなる作品です。原語が読めた...続きを読む
  • 失われた女の子 ナポリの物語4
    終わってしまった…読み終わったばかりでまだ咀嚼しきれていないけれど、とりあえず読みながら考えていたのは、これほど女性の友情をリアルに率直に描いた作品を読んだのは初めてかもということ。全く違う個性の他人同士がお互いに惹かれ合い、気が合い、友達になる。相手への共感や憧れ、好意、信頼だけでなく、相手には負...続きを読む
  • 失われた女の子 ナポリの物語4
    いよいよ最終巻。1〜2巻の華やかな展開に比べ、3巻はフェミニズム、政治を中心に勝ち目のない絶望的な圧で喘ぐ2人にこちらも息ができなかった。4巻は2人の安定な暮らしの危うさとリナの脆さの秘密がちらりと見えてそして。読み終えてしまった。初めて「リラとわたし」を手に取って夢中でページを繰った、2人に出会え...続きを読む
  • コロナの時代の僕ら

    新コロナは全生態系の危機

    未だ新コロナの感染が拡がる状況の中で、グッド・タイミングの出版です。物理学出身である著者の数学的な説明も簡潔で判り易く、しかしあまり数学的、或いは統計的なデータの解析を展開する事無く、人類史的・文化的・文明的な洞察に溢れています。今回のパンデミックが国境を超えた全人類の危機というだけでなく、地球上の...続きを読む
  • 失われた女の子 ナポリの物語4
    3年がかりで刊行された「ナポリの物語」が、遂に完結した。してしまった。最終巻を読みながら、残り少なくなっていくページが惜しくて惜しくて。ずっと、このなかにいて、リラとエレナを見ていたかった。
    最終章を読み終えて、一巻の冒頭へ戻り、また反芻して。。面白い本は、読み始めて数秒でブラックアウトする感覚があ...続きを読む
  • 新しい名字 ナポリの物語2
    2巻も勢いは落ちないどころか、怒涛の。途中で本を置くことなどとてもできず一気読み。すっかり日が暮れた。残りも読ませて…
  • リラとわたし ナポリの物語1
    「自分の意見は断固主張しながらも、非の打ち所がない普段の行いによってあらゆるひとたちから信頼を得てバランスを取るのだ。」(376頁)
  • 狼の幸せ
    ミラノ生まれの作家、パオロ・コニェッティは子どもの頃から夏になると一九〇〇メートル級の山地にあるホテルを拠点にして登山や山歩きを楽しんできた。三十歳を過ぎた今も、モンテ・ローザ山麓にあるフォンターネという村に小屋を借り、その土地で目にした自然と生き物の様子やそこに生きる人々の飾らない暮らしぶりをノー...続きを読む
  • 狼の幸せ
    モンテ・ローザの麓フォンターナ・ブレッダを舞台にミラノから離婚してやってきた作家ファウストと彼を雇ってくれたバベット、元森林警備隊員のサントルソとウェイトレスのシルヴィア。この4人が関係を築き影響を与えあいながら変化していく。自然描写の息を呑むような美しさと綺麗事だけではないトイレ事情などの生活面で...続きを読む