オルソ”熊”と呼ばれる男がいる。
その名の通りの195センチの大男で、鍛えられた肉体を持つ。
数多くの逸話で語られ、齢60を過ぎても組織のトップ、ロッソの右腕。恐れと尊敬を持って扱われている未だ現役の殺し屋だ。
物語はそんなオルソが病院で目覚めるところから始まる。
心臓発作を起こして目覚めたオルソ
...続きを読むは死を間近に感じて、それまで唯一心から愛した女性アマルの現在を知ろうとする。
アマルが妊娠したことをきっかけに組織を抜け、2人で生きようと決意したことがある。だが組織内で特に信頼されているオルソのことをロッソは手放そうとはしなかった。逆にアマルと娘のグレタの命を危機に晒すことになる。オルソは2人の安全と引き換えに組織に戻ることにする。
アマルの前から姿を消して40年の歳月が経とうとしていた。
ロッソの静止を無視してオルソは2人に会いに電車に飛び乗るが、そんなオルソを襲撃する謎の男たちが現れ……。
著者のマルコ・マルターニはイタリアで50以上もの作品を手掛けてきた脚本家。
そのためか内面描写よりもアクションを軸に映像が浮かぶような筆致で語られる。そのため500ページ以上ある長編であるにも関わらず、リーダービリティが高くあっという間に読み終わってしまった。
ありきたりというわけではないが、「そうそう、こういうの!」と求めているポイントをちゃんと提示してくれているのも手練の脚本家だからか。
そして、やはりと言うべきか既に映画化権も買われている。
しかもルッソ兄弟が手掛ける予定だという。これ以上の適役はない。
ドルフ・ラングレン、リーアム・ニーソン(でも『96時間』あるしな)、もっと若かったらイーストウッド、ジャン・レノもイタリア人だし良いかもな、なんて頭の中でキャスト考えたりするのも面白いかも。