茂木健のレビュー一覧

  • 完璧な夏の日 上
    面白かったです。
    フォーマフト波という波動を浴びたことで異能力を持つようになった〈ユーバーメンシュ〉と呼ばれる人々は、その為に徴収され第二次世界大戦で死闘を繰り広げました。
    大戦が終わって随分経った現在、ユーバーメンシュのひとり〈オブリヴィオン〉は〈フォッグ〉と再会し、〈オールドマン〉という上司の下...続きを読む
  • 六つの航跡 下
    クローン技術が定着した先
    AI技術が進歩した先

    これまでの物語に描かれたクローンは、「兵士」としてや「臓器スペア」としてなど、「本人」ではなかった。

    「マインドハッキング」と「クローン再生」で、治すより殺して再生した方が早い世界。
    こぞって自らクローン化を望む世界。
    生命とは何か、意識や感情とは...続きを読む
  • 時間旅行者のキャンディボックス
     シンプルに面白かった~!SFを主にしてミステリ要素もあり、ストーリー展開も楽しめた。

     舞台はタイムトラベルができる1960年代のイギリス。タイムトラベルという技術を独占し、管理するコンクレーブという巨大組織は悪なのか?正義なのか?コンクレーブ内の給与体系や所得税徴収における節税方法、組織内の法...続きを読む
  • 六つの航跡 上
    恒星間移民船ドルミーレ号では乗組員が自分自身のクローンを作成しながら何世代にも渡って目的地を目指している。ある時、クローンが緊急に再生された。目覚めたクローンは、眼前の自分たちの死体に驚く。6名の乗組員で生き残ったのは船長のみ。ただし昏睡状態。AIはまともに動いていない危機的状況。宇宙船内の閉鎖空間...続きを読む
  • 時間のないホテル
    ホテルという空間に閉じ込められた男の物語。
    つまり密室モノ…なのだがその密室は無限の空間的拡がりを見せており、閉塞感がなんとも独特なのである。

    その独特な閉塞感と、ビジネスホテルチェーンの無機質無個性感が楽しい。ただ、日本のホテルチェーン店よりは、なんとなく贅沢やねんなぁ。この物語を東横インやらア...続きを読む
  • 贋作
    フィクションではあるけど実在の画家が出てきて、とてもリアルに感じる。平行して二人の女性の生が語られるけれど、ラストには深い感動が残る。サラの晩年が幸せに包まれたものでありますように、と願わずにはいられない。
  • 六つの航跡 下
    乗組員たちの過去がハッキリしてくると敵対関係が明らかになる。それでも誰が自分たちを殺したのかが分からない。
    宇宙船というクローズドサークル。さらにクローン、そのためのマインドマップなどのSF要素がストーリーを面白くしている。
    最後はドタバタした感じではあるが、綺麗に纏められている。
  • 六つの航跡 下
    遺伝子をちょびっと改竄して3Dプリンターでクローンを出力、記憶を移植してビョーキなんぞ発症しない若い健康体を手に入れたい!
  • 六つの航跡 上
    #日本SF読者クラブ 読むときのポイントは次のとおり。[1]クローンは、実質的に「延命」、「不死」のために使われている。[2」クローン体にインストールされるマインドマップ(要は人格とか記憶)は、改竄できる(違法だが)。ここを押さえるとストーリーが飲み込めると思う。ヒューゴー賞、ネビュラ賞候補作だけあ...続きを読む
  • シスターズ・ブラザーズ
    ゴールドラッシュの米国、殺し屋兄弟の物語。

    なにごとにも速い兄と、なにかとトロい弟、典型的な2人組でありながら、
    ドライで深い人生観がチラホラ顔を出し、単なる物語では終わらない。
    気楽に読めて、考えさせられる、なかなかよく出来ている。
  • 時間のないホテル
     これは何の話なの? と聞かれたら、どうこたえてよいのか悩むタイプの小説。ホテルに泊まった時、あるいは見知らぬ大きな建物に初めて足を踏み入れた時。この廊下がどこまで続くのだろうと感じたことはないだろうか。
     無限に続く廊下、終わらない非日常。

     主人公は世界中で開催されているコンベンションに出席し...続きを読む
  • 贋作
    一枚の絵がある。十七世紀初頭のオランダ絵画だが、フェルメールでもレンブラントでもない。画家の名前はサラ・デ・フォス。当時としてはめずらしい女性の画家である。個人蔵で持ち主はマーティ・デ・グルート。アッパー・イーストに建つ十四階建てのビルの最上階を占有する資産家の弁護士だ。絵はニューヨークがまだニュー...続きを読む
  • わたしの本当の子どもたち
    一気読み。ジャンルとしては、歴史改変ものとか幻想ものに入るんだろうけど、そうと意識させないジョー・ウォルトン独特の雰囲気がある。「図書室の魔法」のモリと同様、ここでもパトリシアに肩入れしながら読まずにいられない。

    ある決断を境に、パトリシアの人生は二つに分岐する。二つの世界で彼女自身の人生は大きく...続きを読む
  • わたしの本当の子どもたち
    二通りの女性のそれぞれに過酷な人生が描かれているが、波乱万丈とはいえ普通にありえる人生。それを読ませるリーダビリティは翻訳の良さもあるんだろうな。
  • わたしの本当の子どもたち
    パトリシアという女性の一生を描いた物語。ただし2人分。
    パットとトリッシュで分けられた彼女の人生は、世界ごと全く違う道を歩んでいく。
    ひとつの名前に愛称が複数ある海外の名前の特徴をうまく使っていておもしろい。やはり名前は人生を決定するほどの力を持つのだ…。
    と思っていたが、どちらにしてもパトリシアは...続きを読む
  • わたしの本当の子どもたち
    ジョー・ウォルトンは『図書室の魔法』に続いて2作目。前作がかなりはっちゃけた感じだったのに比べて、こちらは余韻とじんわり染み込む感じがとても素敵な作品。
    たらればSF(?)なんだけど、「選択」って、もう、善いも悪いも、ないんだよね、ただでも、それを主体的に行うことそのものに善さはある気がする。結果は...続きを読む
  • わたしの本当の子どもたち
    一つの決定がかくも人の未来を変えるのか……と。
    ヒロインの結婚という決断を起点に、それぞれ二つの世界が並行して描かれるパラレル小説。
    秀逸だなあと思ったのは、どこまでも人間ドラマを描きながら、私たちが知り得る「現実」とは少しずつ違うこと。
    それは「ちょっとした決断で、世界は大きく変わり得る」と思わせ...続きを読む
  • わたしの本当の子どもたち
    芯のしっかりした女性があるときはレズビアンとして、あるときは夫に強いたげられる妻として生きていく。設定がSFなのに回りの人たちとのやり取り、社会との関わりがやけに具体的でリアルで、小説読まされてる感がない。運命はわからない、どんな人生になるかわからないが、社会参加しながら生きてくことが大切だと思った...続きを読む
  • わたしの本当の子どもたち
    私たちは日々選択している。日々は選択の積み重ねで出来ている。
    選択しなかったほうの人生はどうだったのか、そっちのほうがよかったのか、と考える瞬間がたまにあるかもしれない。考えてみたところで、選んだ今を生きるしかないのであるが。

    選んだ人生と選ばなかった人生をリアルに細かく描いて膨らませていくのであ...続きを読む
  • わたしの本当の子どもたち
    普段SFはあまり手に取らないのですが、ファージング3部作の作者なので読んでみました。同じく歴史改変もので今回も楽しめました。このページ数とは思えない中身の濃さです。
    カズオ・イシグロ「わたしを離さないで」もそうですが、設定がちゃんと確立されているSFなら苦手な人も読めるということですね。