米原万里のレビュー一覧

  • オリガ・モリソヴナの反語法
    まったくなんのジャンルの物語なのか予想もつかない、やけにインパクトのあるタイトルが長年気になっていたのだが、やっと最近読み終えた。

    一言、おもしろかった!

    長い長い物語なのに気になって気になってどんどん読み進めてしまった。
    久しぶりに物語を読むことができる、ということの楽しさ、喜びを心から味わっ...続きを読む
  • ヒトのオスは飼わないの?
    愛猫、愛犬の生い立ちや、それを通して語られる人々との出会いが、作者のユーモアたっぷりな語り口で進んでいく。
    肩肘張らずに楽しく読める。
    作者の急逝が悔やまれる。
    あの猫たちや犬たちはどうしたのだろうか?
  • 米原万里の「愛の法則」
    4つのテーマにもとづく講演。
    1 愛の法則
    2 国際化とグローバリゼーションのあいだ
    3 理解と誤解のあいだ
    4 通訳と翻訳の違い

    ここまで、いっていいのかと思うほど
    口が滑らかで 言いたい放題。
    そのなかに 洞察力(インサイト)がきらきらと輝く。
    さすが、米原万里。
    その大胆さと下ネタの爽やかさ...続きを読む
  • 不実な美女か貞淑な醜女か
    尊敬する米原さんのエッセイ。米原さんの口調は軽やかだけれども、エッセイと呼ぶには奥深く、同時通訳という特殊な世界での数々の驚きのエピソードが非常に面白いです。私が翻訳の仕事を始めた頃にはすでに故人になられていて、生でその同時通訳の肉声を聞いてみたかったと思えてなりません。軽やかなパフォーマンスの裏に...続きを読む
  • オリガ・モリソヴナの反語法
     スターリンの支配するロシアで収容所での暮らしを生き延びたオリガ・モリソヴナの謎を解き明かす物語。

     不幸な時代をしたたかにしかも他者への思いやりを持って生きたオリガ・モリソヴナの姿には強い共感を覚えます。

     作者の米原万理さんはゴルバチョフの通訳も務めたロシア語通訳者ですが、残念ながら亡くなら...続きを読む
  • 不実な美女か貞淑な醜女か
    言わずと知れたロシア語同時通訳の第一人者であった米原万里の通訳論。何度も読んだがやはり文句なしの名著。通訳を目指す人ではなくても、言語そのものに興味のある人は読んでおいて絶対に損はないだろう。

    学校の英語の授業では基本的には字句通りの解釈を求められる。もちろん、それが外国語を学ぶ上で必要不可欠なこ...続きを読む
  • 心臓に毛が生えている理由
    心臓に毛が生えている理由、わかりますか?

    いえ、これはあなたの心臓にということではなく、米原万里自身の話。通訳を仕事にするということは、言語における文化の違いを仲介することにもなる。日本語のように、名詞に男性形や女性形がない言語をこれとは異なる国の言語に同時通訳で訳す時、スピーカーの言葉を最後まで...続きを読む
  • 不実な美女か貞淑な醜女か
    言語を学ぶ人間としては、筆者の「言語」に対する考え方・捉え方は新鮮で、読んでいて新しい世界の見方を得れる感覚があった。
    その見方も突飛過ぎず、「言われてみればそうだね」という適度な距離感なのがさらに印象深いものにしている。
    また、全体を通してユーモアが散りばめられており、思わず吹き出してしまうことも...続きを読む
  • ガセネッタ&シモネッタ
    「音楽においては美しい音も汚い音もない。大切なのは伝えたいメッセージを最も的確に伝えられる音だ。そのメッセージにふさわしい音、それがいい音だ。」と。著者が通訳を担当した有名音楽家が、記者からの音楽にとって最も大切なことは?の問いにそう答えた。
    「まさに、言葉もそうで、言葉にとって、一番大事なことは、...続きを読む
  • オリガ・モリソヴナの反語法
    かつて通ったチェコのプラハ・ソビエト学校の舞踏教師オリガ・モリゾウナの半生を、大人になった主人公が振り返り辿っていく物語。
    オリガの圧倒的存在感と、苛酷なスターリン時代が生き生きと描かれている。
    人名がなじみがないので、時折あれ、これ誰だっけ?と行きつ戻りつしたり、読みづらいところもあったけれど、後...続きを読む
  • 不実な美女か貞淑な醜女か
     鳥飼久美子著『歴史をかえた誤訳』を読んでこの本の存在を知った。鳥飼氏は私が中学生の頃から憧れた同時通訳者で、ほとんどアイドル的存在だった。本書の著者米原万里氏は今回初めて知った。ロシア語通訳で、エリツィンやゴルバチョフが大統領の頃から活躍しているという。

     ロシア語通訳としての豊富な経験から多く...続きを読む
  • 不実な美女か貞淑な醜女か
    刺激的なタイトルに惹かれて思わず購入。
    ロシア語の同時通訳者として活躍する著者の『通訳』という仕事の妙を教えてくれる作品。

    外国語もからきしだめ、日本語もおぼつかない私からすれば、バイリンガルな人の頭の中は奇々怪々にしか感じられないが、この本にはわかりやすくそれを解説してくれている。更には著者や他...続きを読む
  • 真夜中の太陽
    日本で生まれて日本で育ったことを、恵まれているとは思いつつも、どこか不完全感をぬぐえない自分が生まれてくるよう・・・
  • 打ちのめされるようなすごい本
    ロシア語同時通訳者の米原万理さんは大変な読書家だったようだ。平均1日7冊読むそうで、自称本好きの私でも足元にも及ばない。
    この本を読むと、彼女が博識でとても頭がいい人なのだということがよく分かる。紹介されている本のうち何冊かは既読だが、彼女の洞察力、読解力は並外れているし、感じたことを文章にする力も...続きを読む
  • 米原万里の「愛の法則」
    国や民族について、米原万里ほどの経験で以って、しかもそれを的確に表現できる人もなかなかいないだろう。米原万里の言葉には単に外国に迎合したり、あるいは逆に最近特に多い「日本ってこんなに素晴らしい!」などという井の中の蛙のような日本賛美ではない、世界のそれぞれの国の文化(もちろん日本を含めて)に対する強...続きを読む
  • 不実な美女か貞淑な醜女か
     通訳から言語、国際関係まで自身の経験から面白くかつ、鋭く切り込んでいる。外国語を学んでいる人には是非読んでほしい。久しぶりに人に薦めたいと思う本に出会えた。
     通訳という職業について様々な苦労と失敗談が語られているが、エピソードの紹介に留まらず考察を深めているところが凄い。差別語から差別の実態につ...続きを読む
  • 米原万里の「愛の法則」
    日本でいう「国際化」は、世界最強の国一辺倒…と喝破するあたりが、とても身につまされた。英語圏の帰国子女として、ナショナリストと英語偏重と両方を味わったことを思い出した(第2章ら辺)。たとえとして引き合いに出される小噺が具体的でわかりやすく(第3章のシツラクエンじゃなくトシマエンでした など)、コミュ...続きを読む
  • 打ちのめされるようなすごい本
    打ちのめされるようなすごい書評集。
    あの本を読んでみたい、この本も読んでみたいと、付箋だらけになってしまった。
    優れた書評集は優れた読書ガイドとなる。
  • 心臓に毛が生えている理由
    さすが米原氏、いろいろと目の付けどころ鋭く、ユーモアも超一流。
    先生、私、そこで笑えます!!
    文化や言語に関する考察も鋭い。
    次はぜひとも、嘘つきアーニャ…を読まなくてはなりません。

    『ドラゴン・アレクサンドラの尋問』良かったです。
    怖いけど良い先生ですね。
  • 魔女の1ダース―正義と常識に冷や水を浴びせる13章―
    マリさんの本を読むと、言葉のセンス、世の中のや人に対する見方にとても感心します。多分彼女の人生経験と読書体験の凄さ、仕事で培ってきたであろう人脈と言葉の感覚、多角的なものの見方・・・もっと話を聞きたい!と思わせてくれます。いくらなんでも魔女の集会に参加した日本人ってそうそういないだろうなあ。
    本書は...続きを読む